イエレン議長の続投か?新議長の任命か?注目のFRB議長指名と歴代議長の業績

続投か?新任か?注目を集めるFRB議長の役割と歴代議長の業績

アメリカの金融政策を左右する連邦準備制度理事会(FRB)議長の任期が2018年1月末に迫り、トランプ大統領による後任選びが本格化しています。FRB議長はどのような仕事をしていて、どのように選ばれるのでしょうか。

今回は、組織としてのFRBの役割やFRB議長の選出方法、現在の世界経済に大きな影響を与えた、直近3代のFRB議長の業績を見てみましょう。

アメリカの金融政策をコントロールする連邦準備制度理事会(FRB)

連邦準備制度理事会(FRB)は、アメリカの中央銀行制度である連邦準備制度(FRS)の最高意思決定機関(中核機関)です。

FRBの主な機能には、公開市場操作を含む金融政策の決定をはじめ、連邦準備銀行や加盟銀行業務の監督や加盟銀行に対する支払い準備率の設定、各連邦準備銀行の設定する割引率(いわゆる公定歩合)の審査と決定などがあります。

7人のFRB理事の中から大統領が任命するFRB議長

FRBはアメリカ議会上院の助言と同意を得て、大統領が任命する7人の理事で構成するとされていますが、空席があるままで運営されるケースも珍しくありません。FRBが監督する連邦準備制度(FRS)は、全米で12の連邦準備銀行(FRB)と連邦公開市場委員会(FOMC)、加盟銀行などから構成されます。

FRB理事会の7人の理事はFOMC委員を兼任し、任期は14年で2年ごとに1人の理事の任期が満了します。FRB議長と副議長は大統領が理事の中から任命されます。任期は1期4年ですが再任もできるため2期から3期程度を務めるのが通例です。

アメリカの金融政策をコントロールするFRB議長

大統領が直接任命するものの、金融政策に関する決定権限を持つことから大統領に対して政府機関の中でもっとも強い独立性を持つのがFRB議長職の特徴です。

また、世界の国内総生産(GDP)の4割を占めるアメリカの金融政策を左右するため、世界経済に対する影響力は極めて大きく、「FRB議長はアメリカで大統領に次ぐ権力者」と考えられています。

直近3代のFRB議長とその業績

「マエストロ」と呼ばれたアラン・グリーンスパン

在任期間:1987年8月11日-2006年1月31日

史上最長の5期19年の長きにわたってFRB議長を務めたマネタリスト経済学者のアラン・グリーンスパンは、言質を取らせない言葉で金融政策を望むままに誘導するその手際から、「金融の神様」「マエストロ」と呼ばれていました。

そのもっとも強烈な例として知られているのが、就任早々の1987年10月19日に起きた「ブラックマンデー」への対応です。わずか1日でダウ工業株平均が約20%下落するという記録的な株価下落を記録した翌朝に発表した声明は、市場の崩壊を防ぐために効果を発揮したと言われています。

しかし、1990年代に入ってから金融政策の引き締めを図らず低金利政策を続けたことで、2007年のリーマン・ショックの原因となった住宅バブルの引き金を引いたとも言われています。

「ヘリコプター・ベン」の異名を持つベン・S・バーナンキ

在任期間:2006年2月1日 - 2014年1月31日

グリーンスパンの後任を務めたマクロ経済学者のベン・バーナンキは、「デフレ克服のためにはヘリコプターからお札をばらまけば良い」と発言したことから、「ヘリコプター・ベン」「ヘリコプター印刷機」の異名で知られるマクロ経済学者です。

FRB議長としては2008年に発生したリーマン・ショックと世界金融危機への対応に当たりました。従来型の金融政策に加えて、ゼロ金利政策や量的金融緩和(QE)などの非伝統的金融政策の導入により、アメリカ経済の素早い立て直しの立役者として知られています。

量的金融緩和(QE)縮小に踏み切った初の女性議長ジャネット・イエレン

在任期間:2014年2月1日- 2018年1月31日

現FRB議長であるハト派の経済学者ジャネット・イエレンは、FRB初の女性議長として取り上げられることが多いFRB議長です。

しかしその手腕は確かなものであり、好況を維持しながら最盛期には850億ドル(約9兆6500億円・2017年10月末の為替レート)に及んだQEの終了やゼロ金利政策を解除など、金融政策の正常化に着実にすすめています。

議長就任が確実視される中立派のジェローム・パウエル氏

各種報道では、トランプ大統領は時期FRB議長としてジェローム・パウエルFRB理事にする意向を決定したと報じられています。比較的ハト派と見られているパウエルFRB理事とはどのような経歴の人物なのでしょうか。

著名な役職には、ジョージ・H・W・ブッシュ(父ブッシュ)政権での財務次官補(国内金融担当)と財務次官があげられ、退任後の1997年から2005年までは投資ファンド「カーライル・グループ」の共同経営者を務めています。2012年にFRB理事に就任し、2014年に再任されました。

金融政策に対しては中立・継続の傾向が強く、FRB理事としてFOMCで反対票を投じたことはなく、任命されれば現行の規制を維持すると見られています。

おわりに

税制改革と規制緩和により「強いアメリカ」を取りもどすことを主張しているトランプ大統領ですが、実現された政策を見てみるとかなり堅実な政策を採用する傾向があります。

パウエルFRB理事がFRB議長となれば、現在の金融政策が継続される可能性は高いと思われますが、FRB議長の動向は、これまでと同じように要注目と言えそうです。

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