2017年2月からはじまる法人FX口座への証拠金規制とは

2017年2月からはじまる法人FX口座への証拠金規制とは

2017年(平成29年)2月から、個人FX口座に続いて法人FX口座にも証拠金規制が強化されることとなりました。今回の法人FX口座への証拠金規制導入には、「スイスフラン・ショック」が大きく影響しています。

法人FX口座に証拠金規制が導入される原因となったスイスフラン・ショックと、証拠金規制の概要を見てみましょう。

法人FX口座証拠金規制の原因となった「スイスフラン・ショック」

法人FX口座の証拠金規制の直接の原因となった出来事が、2015年(平成27年)1月の「スイスフラン・ショック」です。

スイス国立銀行(スイスの中央銀行)が2011年(平成23年)9月から維持してきたスイスフランの無制限介入方針を突然撤廃、取引レートの急変と、これをきっかけとする事態のことをまとめて「スイスフラン・ショック」と言います。

無制限介入の方針確立とその撤廃までの流れ

2008年のリーマン・ショックにはじまる相次ぐ金融危機により、安全資産であるスイスフランへの資金流入が続いたことで通貨高に悩まされたスイス中銀は2011年9月にスイスフランの対ユーロでの上限値(ユーロの対スイスフランの下限)を1.2000にする無制限介入を実施するに至ります。

スイスフランの為替レートの上昇を抑えるこの無制限介入は、「スイスフラン売り・ユーロ買い」オペレーションであり、スイス中銀は理論上、資金源が枯渇する心配がなく無制限にこの介入を実施し続けることは可能でした。

しかし無制限介入を続けたことでスイス中銀の資産は拡大を続け、特にユーロ建ての資産が大きく膨らみ、国民投票の実施などを受けて2015年1月に無制限介入は撤廃されることとなったのです。

20分で41%も下落した為替レートとFXへの影響

明確な水準の言及がある無制限介入は抜け目ない市場参加者に積極的に利用されますが、この取引では狙える利幅が極めて小さく、トレーダーは利益を狙うため高レバレッジの取引を重ねることとなります。

こうしてユーロ/スイスフラン(EUR/CHF)の買いポジションが大量の積み上がっていたタイミングで、無制限介入の撤廃がおこなわれました。

完全な不意打ちとなった無制限介入方針の撤回によりトレーダーは損失確定の売りに走り、ユーロ/スイスフラン(EUR/CHF)は20分程度で最大41%と、メジャーカレンシーとしては歴史的な値動きを記録しました。

スイスフラン・ショックがFX業界に与えた影響

これだけ大きな変動が起きると、トレーダーはもちろん様々な資産保全策を取っているFX会社にも影響は大きく、国内外を問わず多くのFX会社が数億円から数百億円の損失を出しただけではなく、経営破たんにまで至ったFX会社もいくつかありました。

個人FX口座の規制に続く法人FX口座の証拠金規制

このようなスイスフラン・ショックを受けて今回導入されることとなったのが、個人FX口座の証拠金規制に続く法人FX口座の証拠金規制です。

個人FX口座の証拠金規制の概要と、今回導入された法人FX口座の証拠金規制をみてみましょう。

レバレッジ25倍に制限された2009年(平成21年)の証拠金規制

FXの魅力の一つに高いレバレッジをかけた取引により少ない証拠金でも大きな利益を狙える点がありますが、それだけ大きなリスクを背負っていることでもあります。

2007年(平成19年)頃から、高レバレッジ化により取引に失敗して大きな損失が発生する例が多発したことを重く見た金融庁は、2009年(平成21年)8月に金融商品取引業等に関する内閣府令を改正、個人FX口座に対して証拠金規制の導入に動きます。

この改正では、「顧客保護」と「金融商品取引業者または登録金融機関(業者等)のリスク管理」、「過当投機防止」の観点から、想定元本に対して最低必要な証拠金の割合(必要証拠金率)が一律4%以上と定められましたが、個人トレーダーに比べて資金力に余裕のある法人FX口座への証拠金規制の導入は見送られました。

しかしスイスフラン・ショックの発生により法人FX口座でも大きな損失が発生したことから、業者保護と外国為替市場への影響を抑えるために法人FX口座にも証拠金規制が導入されることとなったのです。

個人FX口座よりも緩やかな法人FX口座の証拠金規制の内容

今回導入される規制は法人FX口座の新規ポジションが対象であり、既存のポジションを決済するために行う取引には適用されません。

また、「くりっく365」の愛称で知られる取引所FXも対象ではありませんが、こちらは金融庁が認可する金融商品取引所が必要証拠金額を定めることになります。

今回導入された証拠金規制のポイントとなるのは、どのような点なのでしょうか。一般社団法人「金融先物取引業協会」のサイトから引用してみましょう。

(前略)

法人店頭FX取引に係る証拠金規制として、金商業等府令が改正され、次の2点が禁止行為(金商業府令第117条第1項第39号及び第40号)に追加されました。

(a.)

法人店頭FX取引に係る契約を締結する時において顧客が証拠金預託先に預託した証拠金等の実預託額※4が約定時必要預託額※5に不足する場合に、当該契約の締結後直ちに当該顧客にその不足額を証拠金預託先に預託させることなく、当該契約を継続する行為

(b.)

営業日ごとの一定の時刻(以下、このページにおいて「証拠金率判定時刻」といいます。)における取引に係る証拠金等の実預託額が維持必要預託額※6に不足する場合に速やかに当該FX取引に係る顧客にその不足額を証拠金預託先に預託させることなく、当該取引に係る契約を継続する行為((a.)に掲げる行為を除く。)

(a.)が新規建玉時、(b.)が営業日ごとの証拠金率判定時刻に係る規定で、業者等は、それぞれのタイミングにおいて、(a.)については直ちに、(b.)については顧客から速やかに必要な証拠金額の預託を受けることが義務付けられました。

(後略)

引用:法人店頭FX取引に係る証拠金規制:一般社団法人 金融先物取引業協会

法人FX口座の証拠金規制で個人FX口座と異なる点として注目したいのが、「通貨ペアごとに証拠金率が異なり、さらに少なくとも週1回の見直し」という点です。

これは全通貨ペアで一律4%の証拠金率で固定されている個人FX口座よりも緩やかな条件であり、週一度の見直しの対象となることと合わせて考えれば、これまでと同様に法人FX口座は個人FX口座に比べて有利な条件を維持していると言えます。

 取引通貨ペア数最小取引通貨単位最大取引数量
(通貨)
最大建玉数量
(通貨・円)
マネックスFX(マネックス証券)
マネックスFX(マネックス証券)
131,0002,000,00050,000,000
FXダイレクトプラス(セントラル短資FX)アイキャッチ
FXダイレクトプラス(セントラル短資FX)
241,0009,999,000必要証拠金を円換算して1億2,000万円まで
楽天FX(楽天証券)
楽天FX(楽天証券)
241,0002,000,00030億円相当額
oanda-200-200
OANDA JAPAN fx trade (オアンダ・ジャパン)
711,0003,000,000なし
ig-securities.200-200jpg
IG証券FX(IG証券)
96---
アイネットFX(アイネット証券)
アイネットFX(アイネット証券)
2410,0005,000,000-
東岳証券FX(東岳証券)
東岳証券FX(東岳証券)
1210,0005000000-
外貨ex(YJFX)アイキャッチ
外貨ex(ワイジェイFX)
221,0002,000,000-
外為ジャパンFX
外為ジャパンFX(DMM.com証券)
151,0001,000,000-
パートナーズFX nano
パートナーズFX nano(マネーパートナーズ)
81001000000-
パートナーズFX
パートナーズFX(マネーパートナーズ)
182,000,000建玉を円換算して10億円/3,000件
FXブロードネット
FXブロードネット(FXブロードネット)
2410,0001,000,000-
FOREX.com MT4
FOREX.com MT4(ゲインキャピタル・ジャパン)
841,000--
M2JFX(マネースクウェア・ジャパン)
M2JFX(マネースクウェア・ジャパン)
111,0002,000,000-
外為オンライン
外為オンラインFX(外為オンライン)
2410,000--
ライブスターFX
ライブスターFX(ライブスター証券)
2410,0005,000,000-
インヴァスト証券_fx24
FX24(インヴァスト証券)
1210,0002,000,000-
MATRIX TRADER(JFX)アイキャッチ20170202
MATRIX TRADER(JFX)
241,0003,000,000-
みんなのFX(トレイダーズ証券)アイキャッチ
みんなのFX(トレイダーズ証券)
161,0003,000,000-
lion-fx
LION FX(ヒロセ通商)
501,0003,000,000-
トライオートFX
トライオートFX(インヴァスト証券)
171,0001,000,000-
シストレ24
シストレ24(インヴァスト証券)
275,0001,000,000-
sbi_fx
SBI FX(SBI FXトレード)
26110,000,000-
DMM FX(DMM.com証券)
DMM FX(DMM.com証券)
2010,0001,000,000-
FXネオ(GMOクリック証券)
FXネオ(GMOクリック証券)
1810,0002,000,000-

おわりに

個人FX口座に続いて法人FX口座にも証拠金規制が導入されたことで、これまでのように高レバレッジの取引がしにくくなりました。

しかし長引くアベノミクスによるデフレ脱却やアメリカ・トランプ政権の誕生など、大きなリスク要因が残る昨今、従来のような野放図な取引はリスクばかりを大きくすることにつながります。

適切な資金管理とリスク管理が、安定した取引のためには欠かせないと言えるでしょう。

参考サイト

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