日米欧で「サプライズ」が相次いだ2016年と2017年の展望

日米欧で「サプライズ」が相次いだ2016年と2017年の展望

2016年はイギリスのブレグジットやアメリカ大統領選挙でのトランプ候補の勝利、日銀のマイナス金利政策など、日米欧の各国で「サプライズ」が続いた1年でした。

今回は、日本・アメリカ・ヨーロッパの「サプライズ」と、外国為替市場への影響がどのようなものだったのかを見てみましょう。

イギリスの「サプライズ」。EU離脱(ブレグジット)決定

国民投票で離脱派が僅差で勝利。ブレグジットの実施へ

2016年でもっとも大きかった「サプライズ」の1つに、イギリスの欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)の是非を問う国民投票で離脱派が優勢となり、ブレグジットが決定したことがあげられます。

投開票の直前の世論調査から残留・離脱が拮抗していたことから、双方の争いが激化して残留派議員の殺害事件が起きるなど、波乱含みだった国民投票。マーケットでは残留を見込んでいましたが、蓋を開けてみれば、まさかの離脱派が優勢という結果になり、ブレグジットが決まったのです。

「殺人通貨」にふさわしい値動きを見せた英ポンド

このブレグジットを受けて、英ポンド/日本円(GBP/JPY)は1日で30円近い値動きを記録するなど、「殺人通貨」の異名にふさわしい値動きを見せました。

アメリカの「サプライズ」。まさかのトランプ大統領の誕生

2重のサプライズとなったトランプ次期大統領の誕生

アメリカの「サプライズ」は、2016年アメリカ大統領選挙での共和党・トランプ候補の勝利です。こちらは当選したことだけではなく、その後の相場の急騰もサプライズとして受け取られました。

根強い支持で大統領職を勝ち取った共和党・トランプ候補

共和党の米大統領候補者指名争いに名乗りを上げた当初は泡沫候補に近いと言われていたトランプ氏は、キャッチーなフレーズや過激な言動で支持を固め、2016年7月に共和党の大統領候補として指名を受けました。

対する民主党のヒラリー・クリントン候補は、選挙戦当初こそ圧倒的優位に立ちまわっていたものの、いわゆる「メール問題」でつまづいたことで暗雲が立ち込めます。

結果として獲得票数では負けたものの選挙人で優勢を獲得したトランプ候補が勝利したことで、第45代アメリカ大統領ドナルド・トランプが誕生することとなったのです。

トランプ・ショックからトランプ・ラリーへ

投開票が進み両候補が各州で勝利したと報じるニュースで金融市場は乱高下を続けていましたが、トランプ氏優勢ムードが高まると、「トランプ・ショックでリスクオフ」の動きが強まりました。

しかしトランプ候補が当確となり勝利演説をはじめたあたりから政策期待やインフレ期待によりリスクオンの動きが強まり、「トランプ・ショック」から「トランプ・ラリー」に転じたのです。

環太平洋連携協定(TPP)の離脱やアメリカ-メキシコの国境封鎖など、保守的・タカ派な発言が目立つトランプ候補ですが、不動産王であり実業家としても一定の成功を収めている点が評価されているようです。

日本の「サプライズ」。マイナス金利に金利操作とは

文字通りの「異次元」?マイナス金利政策

日本の「サプライズ」は、金融政策の司令塔である日本銀行(日銀)が独占しました。日銀は2017年最初の金融政策決定会合で、量的・質的金融緩和にマイナス金利を上乗せした「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の導入を発表したのです。

マイナス金利とは、金融機関が保有する日銀の当座預金を基礎残高・マクロ加算残高・政策金利残高の3つに分けて、それぞれに金利を適用するという仕組みです。

過去2回の実施時に円安・株高の効果を十分に上げてきた「量的緩和」をさらに拡大する手段を取らず、「非伝統的な金融政策」を打ち出したことでマーケットは「異次元の金融緩和」の限界を実感することとなります。

複雑怪奇な「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」

マーケットが失望感を覚えた念頭の金融政策決定会合のあとは、緩和の小幅な拡大や現状維持が続きましたが、9月の金融政策決定会合では新たな金融政策として「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の導入が発表されました。

「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」とは、日銀が指定する利回りによる国債買い入れ(指値オペ)、と現在は1年となっている固定金利の資金供給オペレーションを行うことができる期間を10年に延長することで、金利操作を目指すものです。

「異次元の金融緩和」がはじまった当初のシンプルな内容から離れた一連の金融政策は、マーケットの混乱と乱高下を招くこととなります。

世界経済を振り回す?中国経済と原油価格

株価の暴落と外貨流出でリスク高?の中国

アメリカに次ぐ世界第2位の国内総生産(GDP)を誇る中国は、未成熟ながらも世界経済に大きく影響する存在となっています。その影響が顕著に表れたのが、年初の上海株式の急落とサーキットブレーカーの発動、その後のサーキットブレーカー廃止です。

この出来事は中国の株式市場の脆弱性を象徴する珍事としてまとめブログなどで取り上げられましたが、この株価急落に引っ張られる形で中国人民元も下落するなど、笑い話で済まないレベルまで影響が広がり、良くも悪くも中国経済の存在感を見せつけることとなりました。

原油減産合意で原油価格は上昇基調

原油価格は2014年半ばから下落トレンドが続いていましたが、2016年に入ってから下落基調を強め、一時は1バレル=26ドル台まで急落していました。しかし、石油輸出国機構(OPEC)による原油増産凍結といった思惑から原油相場は反発。

ブレグジットによるリスクオフの動きもあっていったん下落したものの、9月のOPEC臨時総会では原油減産で加盟国が暫定合意し、11月のOPEC総会での正式合意やロシアなどの非加盟国との合意もあって上昇基調を強め、底値から2倍近い価格で推移しています。

おわりに

イギリスのブレグジットと英ポンドの乱高下やアメリカ大統領選挙でのトランプ候補の勝利とマーケットの好反応、日銀のマイナス金利政策など、2016年は「サプライズ」に満ちた年となりました。

2017年はどのような動きになるのかは予測もつきませんが、何が起きても良いように、リスク管理・資金管理に留意した取引が長く取引を続けるためのコツです。荒波のような外国為替市場で生き残るためにも、この点を肝に銘じて取引しましょう。

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