世界経済の失速回避はなるか!?波乱万丈だった2015年の総括と2016年の展望

2015年のまとめと2016年の展望_アイキャッチ
 

2008年の世界金融危機や2010年の欧州債務危機など、短期間に相次いだ金融不安を乗り越えて、世界経済は曲がりなりにも発展を続けてきました。

中でも中国の経済成長は著しく、中国バブルとも言われるほどの経済成長を見せたことから世界経済の発展に大きく寄与するなど、アメリカに次ぐ世界第2位の経済規模の実力を見せます。

しかし2015年に入ると、世界経済は再び混乱と失速に巻きこまれることとなります。順調な運営を続けているように見えた世界経済に何があったのでしょうか。

今回は、2015年に起きた世界経済に大きな影響を与えた出来事を振りかえって見ましょう。

 

ゆるやかな景気拡大が続いた2015年前半の世界経済

2015年の前半は、アメリカで大寒波や港湾ストなどが起こったために成長速度こそ鈍化したものの、ユーロ経済や中国経済は緩やかな拡大が続き、世界経済全体で見ると拡大傾向を維持していました。

2001年のITバブル崩壊後の低迷が続いていた日本経済も、4月には15年ぶりに日経平均株価が2万円の大台を超えるなど、世界経済の拡大の余波を受けて一部の経済指標はバブル崩壊後の最高値を更新することとなります。

このように比較的順調に推移していた2015年前半の世界経済ですが、2015年夏に2つの要因により大きく減速することとなりました。

それが、2010年の欧州債務危機で深刻な財政赤字が明らかになったギリシャのユーロ離脱をめぐる国民投票と、中国・上海の株式市場の株価急落です。

 

ギリシャのユーロ離脱と上海ショックで急減速した2015年後半の世界経済

比較的順調に推移していた世界経済のブレーキ要因となったのが、ギリシャのユーロ離脱騒動と中国・上海の株式市場の株価急落です。

それぞれの推移を大まかに振りかえって見ましょう。

 

ギリシャのユーロ離脱をめぐる国民投票とユーロ圏の混乱

2010年の欧州債務危機以降、ギリシャをはじめとする南欧諸国はユーロ加盟条件を満たすために国際通貨基金(International Monetary Fund = IMF)からの融資を受けて急速な構造改革と超緊縮財政による財政再建を目指していました。

しかしあまりの緊縮ぶりに国民の不満が爆発、ギリシャ首脳部は切り札としてユーロ離脱の是非を国民投票にかけることで更なる構造改革と超緊縮財政の緩和と、更なる支援を要求することになりました。

 

その成り立ちから制度として加盟国から離脱がでることを想定していなかったユーロ圏は大混乱におちいり、投票直前までユーロ残留と離脱が拮抗していたためにその混乱は世界経済全体に及ぶこととなりました。

最終的にごく僅差でギリシャのユーロ残留となったものの、直前までもつれた投票により世界経済、中でも株価は大きく乱高下することとなりました。

 

信用取引の停止が招いた上海ショックと株価の混乱

中国の代表的な株価指数である上海総合指数は、個人投資家の間での信用取引の人気の高まりなどの要因から2014年末から急騰をはじめ、2015年年初からの半年間で60%猛スピードの上昇を記録しました。

この急騰に危機感を抱いた中国当局は、個人投資家に対して突然信用取引の禁止を打ち出し、パニックにおちいった個人投資家が売りに殺到し、1ヵ月弱で30%を超えて急落したことから「上海ショック(チャイナ・ショック)」と呼ばれることとなりました。

 

中国当局はこの株価の急落に矢継ぎ早に株価の下支え策を打ち出しましたがその効果は限定的なものにとどまったために7月に入ると中国の実体経済に影響を及ぼします。

中国政府は巨額の買い支えによる株価維持政策(Price Keeping Operation = PKO)をおこなうなど、株価の急落が実体経済に与える影響を限られたものにするために様々な施策をおこなうまでに追いつめられました。  

アメリカに次ぐ世界第2位の経済規模を持つ中国経済の混乱は世界経済にも大きな影響を及ぼし、アメリカではダウ平均株価が一時1千ドルを上回る下げ幅を記録します。

日本でも2万円を超えていた日経平均株価が急落、1万7千円を割りこむ水準まで下落しました。

 

世界経済の混乱を尻目におこなわれたアメリカの利上げ

このように短期間のうちに相次いだ大きな政治的・経済的な混乱により世界経済は順調だった前半とは打って変わって大きく減速することになりました。

しかし10月に入っておこなわれた欧州中央銀行(ECB)の追加緩和によりある程度の落ち着きを取り戻したことなどから、アメリカの中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(Federal Reserve Board = FRB)は、2015年

12月の会合でほぼゼロ水準に据え置いていた政策金利の引き上げを決定しました。

 

落ち着きを取り戻したもののまだまだ世界経済の低迷傾向が続く中での政策金利の引き上げは市場関係者に驚きをもって迎えられ、回復しつつあった世界経済に悪影響を与えることとなります。

 
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2015年を通した世界経済の動向

こうしてみると、2015年は政治的・経済的混乱が短期間のうちに何度も起こった変化の激しい一年でしたが、今後の安定成長に繋がる要素もありました。

もっとも大きなものとしては、一部の新興国では前年を上回る成長率を記録したことです。

特にインドは製造業の産出量や政府のインフラ支出、消費などが増大や、海外からの直接投資が増加したことなどから2015年度の成長見通しが7.4%に改定され、GDPの増加も前年同期比で7.4%上昇するなど、堅調な経済成長を続けています。

また、アメリカのFRBがQEの終了やゼロ金利政策の解除など、危機対応から平時に移行しつつあるのも今後の安定成長に繋がる要素と言えます。

 

混乱からの回復と成長が期待される2016年の展望

2016年は原油価格の下落やアメリカや中国経済への不安感から、株式・為替市場は大きく混乱したスタートとなりました。

今年の世界経済はどうなるのでしょうか。主なポイントについて見てみましょう。

 

安定しつつある原油価格とアメリカ経済

しかし原油価格に関しては主要な産油国であるサウジアラビアとロシアが増産凍結に合意したや、OPEC加盟国間での生産調整の目処がついたことなどから、今後の価格安定への期待が高まっています。

アメリカ経済も、一部の経済指標で悪化の懸念はあるものの雇用や消費マインドなどは良好な水準を維持していて、現時点ではアメリカ経済は緩やかに回復しつつある状況といえます。

 

不安要素の強い中国経済

良好な状況に向かいつつある原油市況やアメリカ経済と異なり、不安要素が強いのが中国経済です。

 

中国の強みと言えば豊富な労働力を安価に使えることであり、外資系企業がこぞっれ生産拠点を中国に構えたことで世界の工場となって急成長を成し遂げました。

しかし中国経済の規模拡大に合わせて家計が豊かになったことで人件費のメリットがなくなり、これまでの世界の工場としての優位を失いつつあります。

合わせて国内設備を需要以上に拡大したために供給過剰におちいっているのに生産調整などがおこなわれず非効率な体制が維持されています。

そのため、生産設備の調整が一巡するまではこれまでのような安定成長を維持するのは難しいと言われています。

 

人件費の増加と供給過剰が相まって経済が回復しにくい状況へと陥ってしまっているので、今後しっかりとした経済戦略を打ち出して実行していかなければ、経済の回復は難しいとみられています。

 

おわりに

2016年の世界経済も混乱が続きそうですが、一部国や地域では既に回復に向かっているところもあり、徐々に立ち直りの兆しを見せていると言えます。

取引をおこなうときには、特に世界経済に大きな影響を与えるアメリカ・中国の動向に注目しながら、リスクを取り過ぎない取引をおこなうように注意しましょう。

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