フォルクスワーゲンの不正行為は為替にどう影響を与えるか?

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ドイツの大手自動車メーカーのvolkswagen(フォルクスワーゲン)が、大規模な不正行為を行っていたことが明らかになり、連日フォルクスワーゲンの株価が急落しています。

気になるのは、この不正行為がどのようにして行われ、今後どのように収束するかであり、株式だけではなく、為替に影響があるかも気になるポイントです。

そこで今回は、この不正行為発覚が、今後どのような影響をもたらすのかを分析してみましょう。

そもそも、今回の不正行為の概要はなにか?

 

ニュースなどでは「排気ガス規制に関係する試験で不正行為が発覚した」と簡潔にまとめられていますが、もう少し詳しく時系列を見てみると、

  1. 1.環境NPO組織のICCT(The International Council on Clean Transportation=国際クリーン交通委員会)がディーゼル車の公道での環境性能をチェックする為、フォルクスワーゲン パサートとBMW X5で実車テストを行う
  2. 2.パサートが公道テストでNOx(窒素酸化物)を排ガス規制の数十倍排出していることが判明する
  3. 3.ICCTが再試験の為、ウエストバージニア大学に調査を依頼する
  4. 4.ICCTがウエストバージニア大学に依頼した精密調査の結果、フォルクスワーゲン ジェッタが公道走行時に基準値の15倍から35倍のNOxを出すというテスト結果が出る
  5. 5.CARB(California Air Resources Board=カリフォルニア州大気資源局)とEPA(United States Environmental Protection Agency=アメリカ合衆国環境保護庁)がこの結果を問題視。フォルクスワーゲンにリコールを命令する
  6. 6.フォルクスワーゲンは2014年12月に50万台を回収し、ソフトウェアパッチを充てることで問題を解決した、と当局に報告した。しかし、CARBが7か月もの調査を行ってもソフトウェアパッチの効果が確認できない異常事態になる
  7. 7.同時にCARBとEPAはVWの2016年モデルの認証を進めていたが、フォルクスワーゲンの行った「改善」の効果が確認できない為、2016年モデルの販売に向けた型式認証を下すことはできない、とフォルクスワーゲンに通告。当局に対して明確な説明がなければ、2016年から対象モデルが販売できず
  8. 8.この事態を重大視したフォルクスワーゲンが、ようやく不正行為について公表する

という流れで、今回の不正行為発覚へとつながりました。

 

既にインターネット上には、ICCTが二重チェックを頼んだウェストバージニア大学のグレゴリー・J・トンプソン博士の検証結果の論文が公開されています。

上記論文の要点を、日本語で要約したものも公開されています。

不正の内容について詳しく見るのは本筋ではないので割愛しますが、実に細かい細工をほどこした仕組みだったようです。

 

今回の不正発覚は為替・株式に影響するか?

気になるのは今回の不正行為発覚が、株式や為替、ドイツ経済にどのような影響を与えるのかということです。

フォルクスワーゲンの株価は、不正行為の発覚直後から大きく下落し、不正発覚前のほぼ半値程度まで下落しています。これに釣られるように、フォルクスワーゲンも組み込まれているドイツの主要株式指数も急激に落ち込んでいます。

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出典:googleファイナンス

 

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出典:googleファイナンス

 

また、好調を維持しているドイツが中心である欧州の共通通貨ユーロも、6月のギリシャ危機や8月のシリア難民への対処など、様々な要因により売り圧力が強まっており、9月末の時点では130円台前半で推移しています。

 

フォルクスワーゲンだけにとどまらない? 事件の収束と為替への影響

このように様々な影響を及ぼしつつある今回の不正行為ですが、今後はどのような影響が考えられるでしょうか。

今回の不正行為の対象となった車種は、アメリカだけに限っても48万台と言われ、その全てがリコール対象となっています。

仮にリコールをしなければ、2兆円以上の罰金を支払えば罰則をクリアしたことになりますが、ブランドイメージの失墜などのデメリットを考えると現実的とは言えず、リコールを行うならば不正行為のあったエンジンそのものを載せ替えるなどの大規模な改修が必要となるため、この場合も罰金に匹敵する出費が予想されます。

どちらにしても、企業経営に打撃を与える金額を、今後数年に渡って支出する可能性があることは否定できません。

 

ここまで大事になると、問題はフォルクスワーゲン1社だけには留まらず、世界第4位の経済大国であるドイツ経済に大きな影響を及ぼすことが予想されます。

ドイツは欧州共通通貨ユーロの中心となる国であり、2008年の金融恐慌から抜け出せない欧州各国の中でも例外的に好景気を維持している国の1つです。ドイツ経済の失速は、既に低迷している欧州経済に大きな打撃を与え、ユーロに悪影響を及ぼす可能性は否定できません。

 

このように、外国為替市場では、短期的にユーロの価値が下落することが予想される事態にまでなっています。

これをチャンスと見るならば、ある程度のユーロ/日本円(EUR/JPY)のように、ユーロを含んだ通貨ペアを保有しておくことで、大きなキャピタルゲイン(為替差益)を期待する取引が考えられます。

その時に気をつけたいのは、取引期間がどれだけ長引くかわからないため、できるだけ取引コストの小さいFX業者を選ぶことです。

おわりに

 

ここまでざっくりとフォルクスワーゲンの不正行為発覚を分析してきましたが、実際にどのように推移するかは分かりません。

どちらにしても、世界の自動車産業と環境産業に大きな影響をもたらすことは確実であるため、今後の動向に注目したトピックの1つと言えるでしょう。

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