ベネズエラの債務不履行(デフォルト)とFX・外国為替の影響

ベネズエラの債務不履行(デフォルト)とFX・外国為替の影響

独裁的なマドゥロ政権下にある南米・ベネズエラで、債務不履行(デフォルト)の懸念が高まっています。ベネズエラのデフォルトは、外国為替・FXにどのような影響を与えると考えられているのでしょうか。

今回は、「失敗国家」ベネズエラの略歴を振り返り、デフォルトが心配されるようになった原因を探ってみましょう。

チャベス政権下で独裁と不安定化が進んだベネズエラ

ベネズエラ・ボリバル共和国(ベネズエラ)は、1960年代には二大政党による民主的な政治体制を構築、豊富な地下資源により莫大な貿易利益がある豊かな国として知られていました。

しかし、その貿易利益が適切に分配されなかったことから政情不安が広まり、1999年の大統領選挙でウゴ・ラファエル・チャベス・フリーアス(ウゴ・チャベス)氏が大統領に当選します。チャベス大統領は二大政党制による政治・司法の私物化と汚職が国内の貧困と犯罪増加の原因として、抜本的な「政治改革」に着手しました。

「21世紀の社会主義」建設を目指したチャベス政権

チャベス政権はボリーバル憲法と呼ばれる新憲法を制定して国名をベネズエラ・ボリバル共和国に改め大統領権限の強化、一院制への移行などの「政治改革」を進めました。

石油公団 (PDVSA) への統制強化を皮切りに、貧困層のための無料診療制度の整備や農場主の土地を収用して農民に分配する農地改革、為替管理や統制価格の導入などを進めます。一連の「政治改革」を、チャベス大統領は「ボリーバル革命」と呼びました。

チャベス大統領死去とマドゥーロ政権による継承

チャベス大統領は2013年に病没しますが、ニコラス・マドゥロ・モロス(ニコラス・マドゥーロ)副大統領が暫定大統領に就任、選挙により大統領に選出されました。

マドゥーロ政権はチャベス政権の政治路線を引き継ぎましたが、原油価格の急激な低下と価格統制の失敗による悪性インフレにより、政情不安と債務不履行(デフォルト)の危機が強まることとなりました。

政情不安と債務不履行(デフォルト)危機

このように政情不安とデフォルトの懸念が報じられていることから、ベネズエラ国債の取引価格は暴落、表面利率9.25%の国債利回りが23%近くまで上昇するなど、債券市場ではデフォルトを念頭に置いた取引がおこなれています。

2017年4月に政府や国営石油会社の債券の償還などで30億ドルの支払いが必要であり、これを乗り越えても2017年10月と11月にも大きな支払いが控えています。ベネズエラは支払い能力に問題ないとしていますが、デフォルトの可能性は無視できないとされています。

債務交渉の失敗と事実上のデフォルト

このようにデフォルトを前提とした取引がおこなわれていたベネズエラは、2017年11月にマドゥロ大統領が債務整理に取り組む意向を表明。これによりベネズエラ国債やベネズエラ石油公社(PDBSA)社債は取引価格はさらに下落(利回りは上昇)。債権の信用リスクを取引するCDS市場でも、ベネズエラ国債の保証料率は高止まりしたままです。

ベネズエラは11月中旬に債権者を招いて再編交渉を開きましたが、欧米諸国の経済制裁の対象であることやベネズエラ側から債務整理に関する具体案が出なかったことから進展はなく、事実上のデフォルトにおちいりました。

ベネズエラのデフォルトは外国為替市場にどう影響する?

事実上のデフォルトにおちいったベネズエラですが、外国為替市場やFXにはどのような影響があるのでしょうか。

ベネズエラは世界各国からインフラ整備を目的とした巨額の融資を受けていますが、2016年末の時点でこの融資の返済が遅れていることから、デフォルトにより返済が完全に停止することが心配されています。

もっとも大きな金額を融資している中国にとって、ベネズエラのデフォルトは打撃になると言われています。しかし中国からベネズエラへの融資額は600億ドルと中国経済全体から見れば限られた金額であり、融資の対価である原油は、「新常態(ニューノーマル)」と呼ぶ安定成長を目指す中国にとって不可欠であることから、ベネズエラ経済が破たんしても中国の受ける損害は限られたものとなります。

おわりに

事実上のデフォルトにおちいったベネズエラですが、欧米諸国の経済制裁の対象であることや通貨ボリバル・フエルテが外国為替市場で活発に取引されていないことから、その影響はごく限られたものと予想されています。

しかし、グローバル化による一体化が進んでいる現在、世界規模のリスクは思わぬ原因によって発生することがあります。現時点ではそれほど大きな影響のないベネズエラのデフォルトですが、中国経済との関係が深いことから、その動向には要注目と言えそうです。

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