史上最安値を更新したトルコリラ。その背景には何がある?

史上最安値を更新したトルコリラ。その背景には何がある?

2018年に入ってから長期低迷傾向が続くトルコリラ(TRY)ですが、2018年8月に入ってから対ドルで最安値水準となる1ドル=5リラ台を記録するなど、下落傾向に拍車がかかっています。

トルコリラの下落傾向にはさまざまな背景があると言われてきましたが、今回の下落はそれらの要因とは別の要因があるとも言われています。

今回は、低迷傾向に歯止めがかからないトルコリラの脆弱性と、その背景にどのような問題があるのかを見てみましょう。

2016年7月のクーデター未遂事件とその影響

半日足らずで鎮圧されたクーデター未遂事件

今回の下落に直接影響する大きな要素として挙げられているのが、2016年7月に発生したクーデター未遂事件です。

2014年の大統領就任から、エルドアン大統領は好調な経済を背景に支持率を高める一方、イスラム化政策を推しすすめたことで、世俗派の守護者を自負するトルコ軍との関係が徐々に悪化していきます。

結果として2016年7月に一部のトルコ軍部隊がエルドアン大統領の排除をもくろむクーデターを引き起こしますが、わずか半日足らずで鎮圧され、失敗に終わりました。

関係者の拘束と外交関係への影響

クーデター未遂の関係者として、軍や警察、司法関係者から多数の拘束者と公務員の解任を引き起こしましたが、その中にアメリカ人を含む外国人が含まれていたことが、今回のトルコリラ下落の原因と言われています。

拘束された外国人のうち、アメリカ人のアンドリュー・ブランソン牧師が含まれていましたが、長期の拘束と自宅軟禁に対して、アメリカのトランプ大統領は即時解放を要求、受け入れられなければ一部閣僚に対して経済制裁を発動することを通告したのです。

3年越しの引き渡し要求と経済制裁の応酬

この閣僚個人に対するアメリカのトルコに対する経済制裁は8月1日に実施され、その日のロンドン外国為替市場でトルコリラは一時1ドル=4.99リラ台後半まで下落して最安値を更新するなど、経済制裁は外国為替市場で大きなリスク要因として受け止められました。

これに対してエルドアン大統領は「米国の司法長官と内務長官にトルコ国内の資産があれば凍結する」と発言、強硬な姿勢を見せています。

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リスク要因が目立つトルコリラ

政治・経済の不透明さ

政治面ではクーデター未遂から不透明感が高まり、隣国シリアの内戦激化やアメリカのトランプ大統領の就任による関係悪化の懸念を背景に、エルドアン大統領の政治姿勢とあわせて不透明感が強まっています。

また、トルコ経済は比較的安定して高成長を続けていますが、強いインフレが物価高騰を招き、財政赤字が膨らんで経済環境が不安定さを増したことで通貨の変動率(ボラティリティ)が高止まりするなど、経済面での不安定さもリスク要因として指摘されています。

後手にまわる金融政策も足を引っ張る

経済成長をコントロールするために国際社会からは利下げを求める圧力がかけられ、トルコ中央銀行も可能な限りの金融政策を導入していますが、エルドアン大統領の無理解と予測を上回る高成長から後手に回っていることも、トルコリラの下落圧力となっています。

高金利とリスクは引き替え

トルコリラとの通貨ペアは高いスワップポイントから人気を集めていますが、金利の高さは外国為替市場での不人気の裏返しであり、高止まりしているということはそれだけリスクが大きい通貨といえます。

基本的にトルコリラを含む新興国通貨は超長期でみると下落傾向が続きますが、トルコリラは新興国通貨の中でも特に下げ方が大きいため、その影響を考慮した取引をすることが欠かせません。

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おわりに

高いスワップポイントから人気を集めているトルコリラですが、政治・経済の両面からその取引のリスクはこれまでになく高まりつつあります。

ハイリスク・ハイリターンの取引となることを踏まえて、取引に占める割合をコントロールするなど、取引のリスク管理は欠かせないと言えそうです。

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