2016年トルコクーデター未遂事件とFXへの影響

トルコのクーデター未遂と外国為替市場への影響_アイキャッチ
 

2016年7月15日、3連休の初日に中東・トルコでクーデターが発生、 即日鎮圧されるという大きなニュースが飛びこんできました。

今後の経済成長の期待も大きく、日本と緊密な関係を築いているトルコに、何があったのでしょうか。

今回は、早期に鎮圧されたクーデター未遂の大まかな流れと、トルコという国の政治・経済の概要と通貨トルコリラ(TRY)の特徴を見てみましょう。

 

今回のクーデター未遂の大まかな流れ

はじめに、決起から即日で鎮圧された今回のクーデター未遂の経緯をニュース報道から追いかけてみましょう。

 
トルコで15日から16日 にかけ、国軍内の勢力がクーデターを試み、現地報道によると、首都アンカラではヘリコプターから国会を爆撃。国会一帯や最大都市イスタンブールの国際空港などに戦車部隊が展開された。AFP通信によると、トルコ当局者は衝突が相次ぎ、全土で少なくとも60人が死亡したと明らかにした。(後略)
トルコでクーデター企て=衝突相次ぎ60人死亡-軍内勢力が国会爆撃:時事ドットコム(7月16日 13:38)  
トルコで軍部の一部がクーデターを試みたが、エルドアン大統領の訴えで市民がデモに繰り出し、政権への支持を訴えており、反乱は抑えられつつある。(後略)
トルコ軍一部のクーデター試み失敗か、大統領「国家への反逆」|ロイター(7月16日 15:27)  
トルコで15日から16日にかけ、エルドアン大統領に不満を抱く国軍内の勢力が大統領失脚を目指し、クーデターを試みたが、トルコ軍の参謀総長代行は16日、「クーデターは失敗した」と宣言した。(後略)
クーデター失敗=軍反乱部隊が決起、死者260人以上-政府、鎮圧へ全力・トルコ:時事ドットコム(7月16日 20:35)  
トルコで15日夜(日本時間16日未明)、軍の一部がクーデターを企てた件で、トルコ政府は米国に亡命しているイスラム教指導者、ギュレン師がクーデター計画に関与したとの見方を示し、米国側に同師の拘束または引き渡しを求めた。
CNN.co.jp:トルコ、米にイスラム教指導者の拘束要求 本人は関与否定(7月17日 11:00)  

トルコとはどのような国なのか

今回のクーデター未遂の舞台となったトルコについて、内政と経済・財政状況、通貨トルコリラ(TRY)から見てみましょう。

 

穏健なイスラム政党が単独政権を握るイスラム教国

トルコは1982年に定められた世俗主義をうたう現行憲法によって三権分立がほぼ確立され、憲法の目的を達成するためにそれぞれの役割を果たすことが期待されています。

立法府は任期5年で定数550議席、一院制のトルコ大国民議会があり、行政は議会によって選出される国家元首である大統領が7年の任期で務め、首相の権限が強い議院内閣制を採用しています。

司法は政党の解党判断や党員の政治活動禁止などの政治的事項の判断もできるのが特徴です。

 

2002年以来、穏健派イスラム政党の公正発展党(AKP)が単独政権を維持していますが、2015年6月の総選挙で議席数を大幅に減らし、議席の過半数を割り込みます。

AKPは野党との連立協議をおこないましたが合意にはいたらず、2015年11月におこなわれた再選挙でAKPが過半数を超える議席を確保したことで単独政権の維持に成功しました。

 

このように安定した政権運営を続けているトルコですが、クルド問題とダーイッシュ(ISIS)によるテロが内政上の課題となっています。

AKP政権はテロに屈しない姿勢を鮮明に打ち出し、逮捕・収監されているクルディスタン労働者党(PKK)指導者オジャラン党首と対話による和平プロセスと、北イラクのPKK施設の爆撃と国内拠点の一斉摘発を実施する硬軟織り交ぜたアプローチを採用しているのです。

あわせて問題となっているダーイッシュ(ISIS)には、ヨーロッパを中心とする有志連合への基地提供や国内でのISIS関連組織の摘発などをすすめています。

しかしこれに対抗するISISによる国内でのテロが激化しているのが悩みの種です。

 

成長期待が大きい「VISTA諸国」の1国であるトルコ

直近のトルコ経済の推移を見てみると、2010年から2011年にかけて内需が牽引したことで大きく成長し、2012年は内需引き締めを狙う経済抑制策などで成長は減速しました。

しかしこの経済抑制策により経常収支や物価上昇などの経済指標は改善したことで、2013年から2015年は、ヨーロッパ圏との貿易と内需の2本柱とする緩やかな成長を維持しています。

 

トルコ政府は建国100周年となる2023年までに、世界第10位の経済規模と輸出額5千億ドルという目標を掲げています。

 

高金利が魅力であるもののリスキーなトルコリラ(TRY)

トルコリラの魅力は今後の高い成長期待と投資資金を呼びこむための高金利ですが、外国為替市場での取引高は他の高金利通貨と比べても低く、著しく流動性に欠ける通貨としても知られています。

流動性の低さに起因するスプレッドやスリッページの大きさや、トルコリラ高・トルコリラ安のどちらかに振れると値動きが極端になりやすい特徴から、慎重な取引が欠かせない通貨です。

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出典:トルコリラ/日本円チャート60分足|外為どっとコム

今回のクーデター未遂でも値動きは大きく、クーデター発生の一報が入った直後に1トルコリラ = 32円台を記録するなど、イベントの有無に大きく影響される通貨と言えるでしょう。

 
トルコリラ/日本円(TRY/JPY)を低スプレッドで提供しているFXサービス

lion-fx LION FX(ヒロセ通商)TRY/JPYスプレッド…4.9銭
トライオートFX トライオートFX(インヴァスト証券)TRY/JPYスプレッド…5.5銭
rakuten-200-200 楽天FX(楽天証券)TRY/JPYスプレッド…6.8銭
 

おわりに

今回のクーデター未遂と外国為替市場の反応は、新興国通貨を取引する恐ろしさを思いださせるものでした。

早期に鎮圧されたものの、トルコ国内の締め付けが厳しくなっているとの報道もあり、今後の動向には予断を許しません。

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