就任から1ヶ月が経ったトランプ大統領の実績を総点検

就任から1ヶ月。トランプ政権の実績はどうなった?
2017年1月にドナルド・トランプ氏が第45代アメリカ大統領に就任してから早くも1ヶ月が経ちました。

「アメリカ第一(America First)」を掲げて打ちだした各種政策や人事の混乱など先行きは不透明であり、波乱の船出となっています。

トランプ大統領はこれまでどのような政策を打ち出し、どのような結果になったのかをふりかえってみましょう。

国内外に大きな混乱を次々ともたらした政策実行

トランプ大統領は就任から1ヶ月の間に数々の大統領令に署名し、混乱を招きながらもオバマ前政権からの政策転換を前面に打ち出しています。

大統領令のなかには、経済面では環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱や医療保険制度改革(オバマケア)の見直し、外交面ではアメリカ-メキシコ国境に国境壁を築くことや中東7カ国からの入国を禁止するものなど、大統領令のたびに国内外で議論を呼んでいます。

特に外交面に関する大統領令への反発は大きく、予定されていたメキシコとの首脳会談の中止や、入国禁止に反対する抗議デモが一部で暴徒化するなど、アメリカ国内の分断は大きくなっています。

混乱の元となっている入国禁止の大統領令は裁判所の差し止め命令により執行停止の状態にありますが、トランプ大統領は新たな大統領令に署名する考えを明らかにしています。

発足から1ヶ月。未だ決まらないトランプ政権の閣僚人事

トランプ大統領は政策実行のための態勢作りに取り組んできましたが、就任から1ヶ月足らずの間に複数の閣僚が就任辞退やスキャンダルによる辞任に追い込まれるなど、安定した運営をおこなえているとは言えません。

トランプ政権の閣僚名簿をホワイトハウスのサイトで見てみましょう。

  • Vice President(副大統領):Michael R. Pence
  • Secretary of State(国務長官):Rex W. Tillerson
  • Secretary of the Treasury(財務長官):Steven T. Mnuchin
  • Secretary of Defense(国防長官):James Mattis
  • Attorney General(司法長官):Jeff Sessions
  • Secretary of the Interior-designate(内務長官):Ryan Zinke
  • Secretary of Agriculture-designate(農務長官):Sonny Perdue (announced)
  • Secretary of Commerce-designate(商務長官):Wilbur L. Ross, Jr.
  • Secretary of Labor-designate(労働長官):Andrew F. Puzder
  • Secretary of Health and Human Services(保健福祉長官):Thomas Price
  • Secretary of Housing and Urban Development-designate(住宅都市開発長官):Benjamin S. Carson, Sr.
  • Secretary of Transportation(運輸長官):Elaine L. Chao
  • Secretary of Energy-designate(エネルギー長官):James Richard Perry
  • Secretary of Education Elisabeth(教育長官):Prince DeVos
  • Secretary of Veterans Affairs(退役軍人長官):David J. Shulkin
  • Secretary of Homeland Security(国土安全保障長官):John F. Kelly
  • White House Chief of Staff(大統領首席補佐官):Reince Priebus
  • U.S. Trade Representative-designate(通商代表):Robert Lighthizer
  • Director of National Intelligence-designate(国家情報長官):Daniel Coats
  • Representative of the United States to the United Nations(国連代表):Nikki R. Haley
  • Director of the Office of Management and Budget-designate(行政管理予算局局長):Mick Mulvaney
  • Director of the Central Intelligence Agency(中央情報局長官):Mike Pompeo
  • Administrator of the Environmental Protection Agency-designate(環境保護庁長官):Scott Pruitt
  • Administrator of the Small Business Administration(中小企業庁長官):Linda E. McMahon

引用:The Cabinet | whitehouse.gov

24名の閣僚名簿のうち、閣僚としての指名承認を受けたのは半数の13名であり、11名は現在でも「-designate(閣僚指名者)」のままです。

Michael Flynn大統領補佐官(安全保障担当)は、就任前に駐米ロシア大使とロシアへの経済制裁を協議していたことを隠蔽したことが原因で辞任に追い込まれるなど、発足早々政権運営に混乱が生じています。

外交では懸念払拭に努める

混乱が続く内政面とは対照的に、比較的順調に進んでいるのが外国政策です。

トランプ大統領は選挙期間中、主な同盟国との関係見直しにも言及していたものの、就任後は対照的に関係強化を打ち出し、懸念の払拭に努めています。

「アメリカ第一」を掲げて孤立主義的な政策を取ることが警戒されていたトランプ政権ですが、従来の関係を維持することがひとまず明らかになり、警戒ムードは解かれつつあります。

関係維持を打ちだした相次ぐ首脳会談

トランプ大統領は、2017年1月にはイギリス・メイ首相を皮切りに、2月に入ってから日本の安倍総理大臣やカナダ・トルドー首相、イスラエル・ネタニヤフ首相と相次いで会談。それぞれ関係強化を確認しました。

不法移民問題で対立するメキシコとの首脳会談がキャンセルされたり、難民受け入れで意見が食い違うこととなったオーストラリアとの首脳会談が中断されるなど、一部の国との関係悪化が心配されています。

「政冷経熱」の中国との関係見直しの示唆と反発

このように従来の関係を維持する方針ではじまったトランプ政権の外交政策ですが、中国との関係見直しを示唆したことが大きく注目されます。

歴代のアメリカ政府は「台湾は中国の一部」とする中国政府の「1つの中国」の主張を認めてきましたが、トランプ大統領は中国の対応次第では見直すことを示唆しました。

この動きは中国の大きな反発を招き中国・習近平国家主席と電話会談したときに、「1つの中国」を尊重することを伝えて沈静化をはかっています。

どうなる?動きだせない経済政策の行方

トランプ大統領は選挙期間中から、環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱と北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しをはじめとする2国間貿易協定の締結、輸入関税の引き上げなど、「アメリカ第一」を目指す保護主義的な経済政策を主張していました。

既に大統領令により環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱を表明、2国間貿易協定の締結に向けて各国と交渉を進めたい考えですが、これまで協議の開始には至っていません。

輸入関税の引き上げについても、国内外を問わずアメリカとの取引が多い企業を中心に反発が広がり、与党・共和党の税制改革案と合わせて難しい舵取りを迫られています。

「強いドル」の見直しと外国為替市場への影響

アメリカは従来、「強いドル」こそ国益だとする為替政策をとってきましたが、この為替政策はオバマ政権下での「財政の崖」と歳出の強制削減を生み出すなど、財政運営上の深刻な問題となりつつあります。

トランプ大統領は財政の崖の原因となった財政赤字と貿易赤字のうち、特に貿易赤字を問題視していて、ことあるごとにドル高へのけん制を続けています。

日米首脳会談の場では為替政策は日米の通貨当局間で緊密な議論をおこなうことを確認したものの、大統領就任後に日本の金融・為替政策について「円安誘導(為替操作)をおこなっていた」と指摘したトランプ大統領の今後の出方は、外国為替市場の新たなリスク要因として注目されます。

おわりに

発足から1ヶ月が経ったトランプ政権ですが、大半の世論調査では歴代政権に比べて支持率が低く、世論調査会社ギャラップは「平均より20ポイントも低い。特に野党・民主党支持者からの支持がほとんどない」と分析、波乱の船出となっています。

政策面でも外交面で耳目を集める大統領令の乱発こそあったものの、閣僚の指名承認の遅れや方針の混乱などにより、目に見える実績がありません。

2年後の中間選挙と4年後の大統領選挙に向けて、トランプ大統領がどのような政策を打ち出すのか、要注目と言えそうです。

参考サイト

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