トランプ大統領就任演説とFX・外国為替への影響

トランプ大統領就任演説とFX・外国為替への影響

第45代アメリカ大統領に就任した共和党のドナルド・トランプの大統領就任式が現地時間2017年1月20日(日本時間21日)におこなわれ、8年ぶりとなる共和党政権が始動しました。

選挙期間中から就任するまで発言でもアメリカだけではなく世界各国に混乱を振りまいてきたトランプ大統領ですが、就任式の大統領就任演説も物議をかもすものでした。

大統領就任演説のポイントを見ながら、「アメリカ第一」を掲げるトランプ政権の政策がFXや外国為替に与える影響を見てみましょう。

「アメリカ第一」を掲げた大統領就任演説

今回の大統領就任演説では、トランプ大統領はどのような内容の演説をおこなったのでしょうか。NHKの全文訳を引用して、政策のポイントとなる部分を見てみましょう。

(前略)

2017年1月20日は、国民が再び国の統治者になった日として記憶されるでしょう。忘れられていた国民は、もう忘れられることはありません。皆があなたたちの声を聞いています。

世界がこれまで見たことのない歴史的な運動の一部を担う、数百万もの瞬間に出会うでしょう。この運動の中心には、重要な信念があります。それは、国は国民のために奉仕するというものです。

アメリカ国民は、子どもたちのためにすばらしい学校を、家族のために安全な地域を、そして自分たちのために良い仕事を望んでいます。これらは、高潔な皆さんが持つ、当然の要求です。

しかし、あまりにも多くの国民が、違う現実に直面しています。母親と子どもたちは貧困にあえぎ、国中に、さびついた工場が墓石のように散らばっています。教育は金がかかり、若く輝かしい生徒たちは知識を得られていません。そして犯罪やギャング、薬物があまりに多くの命を奪い、可能性を奪っています。

このアメリカの殺りくは、いま、ここで、終わります。

私たちは一つの国であり、彼らの苦痛は私たちの苦痛です。彼らの夢は私たちの夢です。そして、彼らの成功は私たちの成功です。私たちは、一つの心、一つの故郷、そしてひとつの輝かしい運命を共有しています。

きょうの私の宣誓は、すべてのアメリカ国民に対する忠誠の宣誓です。

何十年もの間、私たちは、アメリカの産業を犠牲にして、外国の産業を豊かにしてきました。ほかの国の軍隊を支援する一方で、非常に悲しいことに、われわれの軍を犠牲にしました。

ほかの国の国境を守る一方で、自分たちの国境を守ることを拒んできました。

そして、何兆ドルも海外で使う一方で、アメリカの産業は荒廃し衰退してきました。

私たちが他の国を豊かにする一方で、われわれの国の富と強さ、そして自信は地平線のかなたに消えていきました。

取り残される何百万人ものアメリカの労働者のことを考えもせず、一つまた一つと、工場は閉鎖し、この国をあとにしていきました。

中間層の富は、彼らの家庭から奪われ、世界中で再分配されてきました。

しかし、それは過去のことです。いま、私たちは未来だけに目を向けています。

きょうここに集まった私たちは、新たな命令を発します。すべての都市、すべての外国の首都、そして権力が集まるすべての場所で、知られることになるでしょう。

この日以降、新たなビジョンがわれわれの国を統治するでしょう。

この瞬間から、アメリカ第一となります。

貿易、税、移民、外交問題に関するすべての決断は、アメリカの労働者とアメリカの家族を利するために下されます。

ほかの国々が、われわれの製品を作り、われわれの企業を奪い取り、われわれの雇用を破壊するという略奪から、われわれの国境を守らなければなりません。

保護主義こそが偉大な繁栄と強さにつながるのです。

わたしは全力で皆さんのために戦います。何があっても皆さんを失望させません。

アメリカは再び勝ち始めるでしょう、かつて無いほど勝つでしょう。

私たちは雇用を取り戻します。私たちは国境を取り戻します。私たちは富を取り戻します。そして、私たちの夢を取り戻します。

私たちは、新しい道、高速道路、橋、空港、トンネル、そして鉄道を、このすばらしい国の至る所につくるでしょう。

私たちは、人々を生活保護から切り離し、再び仕事につかせるでしょう。アメリカ人の手によって、アメリカの労働者によって、われわれの国を再建します。

私たちは二つの簡単なルールを守ります。アメリカのものを買い、アメリカ人を雇用します。

私たちは、世界の国々に、友情と親善を求めるでしょう。しかし、そうしながらも、すべての国々に、自分たちの利益を最優先にする権利があることを理解しています。

私たちは、自分の生き方を他の人たちに押しつけるのではなく、自分たちの生き方が輝くことによって、他の人たちの手本となるようにします。

私たちは古い同盟関係を強化し、新たな同盟を作ります。そして、文明社会を結束させ、過激なイスラムのテロを地球から完全に根絶します。

私たちの政治の根本にあるのは、アメリカに対する完全な忠誠心です。そして、国への忠誠心を通して、私たちはお互いに対する誠実さを再発見することになります。

(後略)

出典:大統領就任演説|NHK NEWS WEB

明らかにある「トランプ・リスク」とFX・外国為替への影響

このようにトランプ大統領は就任演説でもこれまでとは一切変わらず「アメリカ第一」を掲げ、強いアメリカを復活させるために保護主義政策を導入することを訴えました。

これまでの国際貿易や政治慣行とは真反対の主張するトランプ大統領の発言は、FXや外国為替にどう影響するのでしょうか。その影響を見てみましょう。

「口先介入」に振りまわされる多国籍企業

新聞・テレビなどの既存メディアとの対決姿勢をあらわにして、ツイッターやフェイスブックなどの会員制交流サイト(SNS)で積極的に「指先介入」ともやゆされる発信をするトランプ大統領ですが、政策に関する発信が世界の重要な関心事となっています。

大統領選挙勝利後には、ツイッター上で隣国メキシコでの工場建設を計画していた自動車大手のフォードや、最新鋭戦闘機の「F-35」を開発・生産する軍需大手のロッキード・マーティンを名指しで批判。計画撤回や納入価格の大幅引き下げを引き出しました。

「口先介入」の矛先は日本企業にも向けられ、いち早く直接面会したソフトバンク社長の孫正義は5兆円の投資と5万人規模の雇用を約束し、トヨタ自動車も名指しで批判されたあとに1兆円規模の投資計画を発表するなど、トランプ大統領の誕生は、就任前から多国籍企業の経営計画にとっては大きなリスクとなっています。

ドル高懸念と乱高下した米ドル/日本円(USD/JPY)相場

この「口先介入」は企業だけではなく外国為替相場にも向かっています。

1/17日付けのウォール・ストリート・ジャーナル誌のインタビューで中国人民元を念頭に「われわれの通貨(ドル)は強すぎる」と発言。これを受けた17日のニューヨーク外国為替市場は円高ドル安が急激に進むなど、「指先介入」は外国為替にも大きく影響を及ぼしはじめています。

大統領選挙の終了から一貫して円安ドル高傾向だった外国為替市場は年明けからトレンドが反転、円高ドル安が急速に進んで1ドル = 110円台前半まで落ちこむなど、その影響は無視できるものではありません。

就任初日の環太平洋連携協定(TPP)離脱と北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉の大統領令発令

就任までの口先介入で企業や外国為替を振りまわしてきたトランプ大統領ですが、就任初日に「TPP(環太平洋経済連携協定)離脱」と「NAFTA(北米自由貿易協定)再交渉」を大統領令として発しました。

大統領令が実際にTPP離脱やNAFTA再交渉に結びつくかは定かではありませんが、発行まであと一歩のところまでこぎつけたTPPが頓挫すると、アメリカを中心とした自由貿易に大きく影響することになりそうです。

おわりに

就任前から良くも悪くも注目されたトランプ大統領の政策手腕は、就任から数日がたった現時点でも未知数です。

選挙期間中から一貫して主張していた「アメリカ第一」や「保護主義政策」がどのようなものになるかも見えていません。

今後もその発言や政策が外国為替や株式に大きく影響する可能性は大きく、動静には要注目と言えるでしょう。

参考サイト

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