中国人民銀行の新たな金利政策と為替取引への影響

人民銀行_10月利下げ_アイキャッチ

 

ドラギECB総裁の追加緩和発言の余韻が冷めやらない10月23日、中国人民銀行は過去1年で6回目となる利下げの実施と、銀行の預金準備率の引き下げを発表しました。

直近の統計発表では、目標の7%成長は達成しなかったものの、以前として他の主要国より高い成長率を維持している中国の利下げは、何を意味するのでしょうか。

今回は、中国の利下げの概要とその意味を見てみたいと思います。

 

今回報道された利下げの概要

まずはロイター電から引用して、今回発表された金利政策の概要について見てみると、

預金金利の上限も撤廃し、金利を自由化する。金融改革を推し進める姿勢を浮き彫りにした。次期5カ年計画を示す共産党中央委員会第5回全体会議(5中全会)開幕を来週に控え、金融政策を変更した。

1年物貸出金利は0.25%引き下げ4.35%、1年物預金金利は0.25%引き下げ1.50%とした。24日から適用する。

銀行の預金準備率は0.50%引き下げた。大手銀行向けの預金準備率は17.5%となる。農業・小規模企業に融資する金融機関向けは、さらに0.50%引き下げた。

1年以内に6度目の利下げ、中国人民銀景気浮揚目指す|REUTERS

このように、度重なる利下げによって他の主要国よりも高い成長率を維持しているのに、金利は変わらないといういびつな状況に陥っています。

 

中央銀行が政策金利を下げる主な理由は、市場での資金調達コストを下げることで企業の経済活動の活発化を後押しし、早期の景気回復を狙うことがあげられますが、2015年の第3四半期で6.9%成長と他の主要国と比べても高い成長率を維持している中国がこの1年間で6回もの利下げを行ったのでしょうか。

 

中国経済の抱えるリスク=チャイナリスク

統計などを見る限りでは、中国経済は比較的順調に成長していますが、その成長は様々なリスクを含む強引な政策を実施により達成できているという側面があります。これらのリスクは「チャイナリスク」とも呼ばれ、中国に投資するときに注意するべきポイントとされています。

 

チャイナリスクとして取り上げられるものは政治・経済など多岐に渡り、経済面に限っても、

  • 不透明な政策運営
  • 中央と地方の不統一性
  • 経済法制度の未整備
  • 為替操作国疑惑
  • 中国経済の持続的成長
  • 不動産バブル

などがあげられています。

 

チャイナリスクと認識されるものは政治面に多いですが、2008年の世界金融危機以降は他の主要国が軒並み低成長に落ち込んだのを尻目に中国だけが年率7%の経済成長を維持していたため、経済面でのリスクも認識されるようになりました。

中国に限らず、他国に投資するときには特有のリスク(カントリーリスク)が必ず存在しますが、なぜ中国だけがチャイナリスクとして特別視されているのでしょうか。

 

その理由として様々なものが考えられますが、大きな理由としては主要国の中で唯一の社会主義・計画経済を維持している国であり、1980年代の改革開放により部分的な民主化を果たしたものの、依然として中国は中国共産党による1党独裁体制を維持している唯一の主要国であることが考えられます。

中国経済はその規模から既に世界経済にとっては必要不可欠なものの、国際政治においては様々な問題を引き起こす国の1つであるため、中国に投資するときのカントリーリスクを強調してチャイナリスクと呼ぶようになったと考えられます。

 

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利下げと人民元・為替への影響

今回の利下げは、為替にどのような影響を与えると考えられるでしょうか。

 

既に中国の基準金利は、1年物貸出金利で4.35%、1年物預金金利では1.50%と他の主要国と比べても遜色のない程度の低利率となっています。ここまで利率が下がると、新興国通貨の魅力の1つである高金利は期待できません。

また、人民元の為替相場は通貨バスケットによる管理フロート制を導入している弾力性の低い変動相場であるため、他の新興国通貨と比べると投資通貨としては魅力に欠ける通貨となり、積極的に投資したい対象とは言えません。

 

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しかし中国は、世界第2位の経済大国であり、日本に一番近い主要国の1つであるため人民元に資産を振り分けないのは、リスク管理の面から見ると不安が多いと言えそうです。

もちろん、チャイナリスクと呼ばれるほど独特なカントリーリスクを抱えていることを念頭に置いて、投資をする場合でも少ない金額を振り向けるだけに留めておくほうが賢明でしょう。

 
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おわりに

表面的には順調な経済成長を続けている中国ですが、その内容を見ると見通しはあまり明るいとは言えません。人民元への投資を考えているならば、チャイナリスクを織り込んだ投資を心がけたいものです。

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