マイナス金利政策の導入とFXへの影響

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2015年夏から続く中国経済の減速や原油安による世界経済の混乱の影響をかんがみて、1月の金融政策決定会合で日本銀行(日銀)はマイナス金利政策の導入を決定しました。

このマイナス金利政策は、どのような政策であり、為替や株式にどのように影響するのでしょうか。

今回は、マイナス金利政策の概要とその影響について見てみましょう。

 

導入が決定された「マイナス金利政策」とはなにか

今回の金融政策決定会合で導入が決定された「マイナス金利政策」とは、どのような金融政策なのでしょうか。

最初にその概要と目的を見てみましょう。

 

発行する国債利回りをマイナスに設定する「マイナス金利政策」

マイナス金利政策とは、中央銀行(もしくは民間銀行)が物価上昇率などを加味しないで表示する「名目金利」をゼロ以下マイナスに設定する金融政策です。

経済を刺激して景気回復をはかる金融政策の中でも、「伝統的金融政策」とは異なる「非伝統的金融政策」として扱われています。

非伝統的金融政策としては、マイナス金利政策の他に、インフレ目標や物価水準目標の導入、中央銀行の購入対象資産の拡大などが知られています。

 

導入されたマイナス金利政策の概要

日本銀行(日銀)が今回導入が決定されたマイナス金利政策では、金融機関が日本銀行に持つ当座預金(日銀当座預金残高)にマイナスの金利を付与することが骨子とされています。

 

これまでの「異次元の金融緩和」により、日銀が発行した通貨の総量は大きく増大したものの、その大部分が「銀行の銀行」である日銀の当座預金に積みあげられていました。

今回のマイナス金利政策は、この当座預金に積みあげられていたお金を市中に流通させて、減速しつつある日本経済の再活性化を目的としています。

 

マイナス金利政策の導入では、当座預金に預けられている残高を、

  • 基礎残高
  • マクロ加算残高
  • 政策金利残高

の3つに分けて、政策金利残高に0.1%のマイナス金利を導入するとしています。

 

日銀の黒田東彦(くろだ・はるひこ)総裁は会見で、「これまでの「量的・質的金融緩和」に今回のマイナス金利政策を加えた3つの次元での追加緩和によって、目標としている2%の物価上昇率の実現をより強力に推進していく」ことを強調しました。

 
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マイナス金利政策は市場にどのような影響を与えるか

非伝統的金融政策であるマイナス金利政策は、ごく限定的な内容が導入されただけにも関わらず、既に債券や為替などに大きく影響しています。その影響を見てみましょう。

 

マイナス金利政策の導入と関連する報道

はじめに、導入直後から現在までの関連する報道の中から、金融市場に大きく影響した内容をピックアップしてみましょう。
5日の長期金利は0.020%まで低下して過去最低を更新し、大手銀行は相次いで預金金利の引き下げを決めた。国債などで運用する投資信託「MMF(マネー・マネジメント・ファンド)」を扱う国内の資産運用会社全11社が、新規募集の停止を決めるなど、影響は個人の資産運用にも広がっている。
MMFの新規募集停止、メガバンクも預金利下げ :経済 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
財務省は3日、個人や市町村などが金融機関を通じて5万円単位で購入できる「新型窓口販売方式」による国債のうち、5日から予定していた償還期間10年物の募集を中止すると発表した。日銀のマイナス金利導入決定による金利低下に伴い、利回りがマイナスとなる見通しとなったため、販売しても需要が見込めないと判断した。10年物の募集中止は初めて。
10年物国債の募集中止 = マイナス金利で需要見込めず - 財務省:時事ドットコム
日本国債などを取引する東京債券市場で9日、長期金利の指標となる10年物国債の市場利回りが一時、マイナス0.010%に低下し、史上初めてマイナスとなった。日銀が先月29日にマイナス金利政策の導入を決定し、金融機関は日銀に資金を預けると損をするため、国債の購入を増やし、国債価格が上昇して金利が急低下した。
長期金利:初めてマイナスに 一時マイナス0.010% – 毎日新聞  

マイナス金利政策の導入と債券・為替への影響

このようにマイナス金利政策の導入決定により債券市場は大混乱におちいりましたが、外国為替市場も大きく混乱しています。

これまで1ドル = 120円台前半の安定した推移から急騰、マイナス金利政策の導入発表からわずか2週間で1ドル = 110円台前半まで円高が進みました。

 

急激な円高の原因として、中国経済の減速の鮮明化や利上げに踏み切ったアメリカの今後の金融政策への不安、シェール革命により長期化する原油価格の下落など、世界経済の不安感が影響していると考えられます。

これだけ急速に円高が進むと、通貨安誘導による輸出増加と企業業績の回復というアベノミクスの主要な部分にも大きな影響は否定できず、既に一部企業では業績の下方修正を発表しているところもあります。

 
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おわりに

これまでの「異次元の金融緩和」の追加の金融緩和として導入されたマイナス金利政策は、世界的にもほぼ前例のない非伝統的金融政策であり、その影響の大きさは未知数です。

マイナス金利政策の導入により、債券はもちろん為替の値動きが荒くなることは十分に考えられるため、よりリスク管理と資金管理に注意を払った取引を心がたいものです。

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