G20上海(シャンハイ)会議と採択された共同声明の内容

G20上海(シャンハイ)会議と共同声明の内容_アイキャッチ
 

2016年2月26日と27日に渡って中国・上海(シャンハイ)で開催されたG20財務相・中央銀行総裁会議が閉幕し、採択された共同声明の中では通貨安競争を回避することが宣言されました。

今回は採択された共同声明のポイントと、G20の成り立ちと現在について、大まかに見てみましょう。

 

今回のG20上海会議で採択された共同声明のポイント

冒頭でも触れたように「経済目標達成のためにあらゆる政策手段の活用と合わせて、通貨安競争を回避すること」ことが共同声明に盛り込まれました。

共同声明のポイントとなる部分について、もう少し詳しく見てみましょう。

 

あらゆる政策手段活用、構造改革にコミット

共同声明ではG20の経済目標の達成に向けて、「個別および集団的に、金融、財政、構造上のあらゆる政策手段を活用する」ことを表明しました。

 

共同声明では、「最近の市場の動揺の程度は、世界経済の基調的ファンダメンタルズを反映していない」との見方で一致。

構造改革を進めることで「中期的な潜在成長率の引き上げにより、経済はよりイノベーティブとなり、柔軟性や耐性も高まる」と指摘しました。

そのため、「われわれは構造改革に一段と取り組むことにコミットする」としたものの、具体的な施策としての支出拡大への具体的協調は盛り込まれませんでした。

 

G20参加国間での通貨安競争を回避

共同声明で合わせて注目したい点としては、為替の競争的切り下げ(通貨安競争)を回避するという従来の立場を再確認したことがあげられます。

 

G20に合わせて開催されたユーロ圏財務相会合(ユーログループ)では、為替相場の下落につながる政策決定を実施するときには、事前通知で合意したことも明らかになりました。

 

通貨安競争を牽制するような発言がされた理由としては、開催国である中国の行動があげられます。

中国は2015年8月に実質的な人民元切り下げを実施したことで為替市場を大きく混乱させたこともあり、今回のG20では再度の切り下げを繰り返し否定。

中国の李克強(リー・クーチアン)首相は、26日の会議の冒頭で「人民元の下落が継続する根拠はない」との認識を表明しました。

 

それでもG20参加国が自国経済の底上げを目的とした通貨安を演出し、輸出増加による国内経済の浮揚を図る懸念は根強く、今回の通貨安競争を牽制する共同声明が採択されたとの見方は強まっています。

 

日本銀行の採用したマイナス金利政策への対応

日本が主な議題として取りあげられたテーマとしては、デフレ脱却を目的として2016年1月に導入されたマイナス金利政策の是非が問われました。

アベノミクスと歩調を合わせて、「2%の物価安定の目標」の実現と安定的に持続を目指す日本銀行では、必要な時点まで「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の導入・継続を決定し、日本の国債価格は史上はじめてマイナス利回りがつくこととなりました。

今回のG20上海会議では、日本銀行の黒田東彦総裁がマイナス金利付き量的・質的金融緩和(QQE)について説明し、各国の理解を求めました。

 
あわせて読みたい

fx_akarichan 中国人民銀行の新たな金利政策と為替取引への影響
fx_akarichan マイナス金利政策の導入と為替市場への影響
 

主要国と新興国の財政・金融の責任者が一堂に会するG20

このように世界経済が抱える様々な問題に対処するための会合であるG20ですが、その成り立ちはどのようなものでしょうか。G20の成り立ちについて見てみましょう。

 

サミットの拡大会合として設定されたG20の成り立ち

G20が成立する直接のきっかけとして、1999年6月にドイツ・ケルンで開催された主要国首脳会議(サミット)と合わせて開催された財務大臣会議での合意があげられます。

 

それまでアメリカをはじめとする主要国は、定期的に開催される主要国首脳会議(サミット)に合わせて財務大臣・中央銀行総裁会議を開き、採択された共同声明は世界経済に大きく影響していました。

しかしケルンサミットに前後して発生したアジア通貨危機により、主要国間の取り決めだけでは世界経済への危機に対応しきれないことが明らかになります。

このような新興国発の経済・金融危機にも柔軟に対処するため、サミット参加国に加えて国際金融市場にアクセスできる新興国も参加する包括的な会議として、G20の創設が決定されました。

 

この合意により1999年に発足したG20は、定期的に20か国・地域財務大臣・中央銀行総裁会議を開催し、世界経済が抱える様々な問題について議論をおこない、解決を目指すこととなったのです。

 

G20の参加国と経済規模

G20に参加している国と地域を見てみると、

  • 北米…アメリカ、カナダ、メキシコ
  • 南米…アルゼンチン、ブラジル
  • ヨーロッパ…欧州連合(EU)、イギリス、イタリア、ドイツ、フランス、ロシア
  • アフリカ…南アフリカ
  • 中東…サウジアラビア、トルコ

となります。

 

サミット参加国を含めて20カ国が参加するG20の特徴は、その経済規模の大きさが挙げられます。

G20の20か国・地域(EU加盟国を含む)の国内総生産(GDP)を合計すると、世界のGDPの90%、貿易総額は世界の80%を占め、総人口を見ると世界の3分の2を占めます。

参加国が限られるサミットと異なり、G20は世界経済の中で存在感を増している新興国も参加しているため、世界経済に与える影響はより大きくなっています。

おわりに

今後の行動方針は声明に盛り込まれたものの、具体的な行動内容については触れることがなかった今回のG20は、市場関係者の期待外れの内容に終わりました。

しかし今後の行動について大きな含みを持たせたことから、今後のG20参加国がおこなう財政・金融政策は、注目のポイントと言えるでしょう。

このコラムに関連する記事

TOP