G20杭州サミットの声明と注目を集める中国人民元の動向

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2016年9月4日と5日の2日間に渡って中国・杭州(こうしゅう)で開催されたG20サミットが閉幕し、採択された共同声明が発表されました。声明の内容と合わせて、気になる外国為替市場への影響を見てみましょう。

G20杭州サミットで採択された声明の内容

はじめに、今回のG20サミットで採択された声明の要旨を見てみましょう。

  • 世界経済が様々な下方リスクに直面している中、Innovative(創造的)、Invigorated(活力のある)、Interconnected(連結された)、Inclusive(包摂的)な世界経済を構築すべく、G20がいかに政策協調を強化するかについて首脳間で意見交換
  • 金融・財政政策、構造改革の全ての政策手段を個別にまた総合的に用いる最新のマクロ経済政策・構造政策が盛り込まれた「杭州アクションプラン」と、構造改革とともに、イノベーション・新産業革命・デジタル経済などを進める「革新的成長のためのブループリント」の採択・発出
  • 質の高いインフラ投資の推進、鉄鋼などの過剰生産能力問題への対処、保護主義の防止や多角的貿易体制の維持・推進を確認するとともに、2030アジェンダの国内外の実施などに向けた「行動計画」の採択
  • テロに関し、G20の連帯した対応、特にテロ資金供与のすべての資金源、技術などと戦っていくことで一致

引用元:G20杭州サミット|外務省

特に「質の高いインフラ投資の推進、鉄鋼などの過剰生産能力問題への対処、保護主義の防止や多角的貿易体制の維持・推進」は、開催国である中国の経済の中でももっとも重要な問題と言われています。

その重要さはG20という国際会議の場で言及されるほどであり、中国政府の対応は大きな注目が集めています。

米中首脳会談と米ドル・中国人民元の通貨競争回避

G20は各国首脳が一堂に会する貴重な機会であり、2国間での首脳会談も集中的におこなわれました。

中でも特に注目を集めたのが、任期満了間近のアメリカのオバマ大統領と・中国の習近平(しゅう・きんぺい)国家主席でおこなわれた首脳会談です。

今回の首脳会談では、昨秋から激化する南シナ海の領有権問題や中国の過剰生産の調整、通貨安競争など様々な問題について協議がおこなわれましたが、ほとんどは平行線に終わったとも報じられています。

首脳会談後に公表された文書(ファクトシート)では、

  • 双方が金融、財政、構造面の全ての政策手段を活用することに尽力し、信頼感を高めて成長力を強化し、財政政策は、成長力強化、雇用創出、家計需要の喚起に向け柔軟に活用
  • 中国は国有企業改革を含め、包括的な戦略で供給側の構造改革を深化
  • 双方は一部産業の過剰生産能力の問題を含む構造的な問題が貿易や労働力に悪影響を及ぼしていることを認識。鉄鋼やその他の業界の過剰生産能力の問題が、共同で取り組むべき世界規模での課題であると認識
  • 双方は、効果的でバランスの取れた方法で知的財産権を保護することが技術革新に有益だと認識

の4つが発表され、この4項目と合わせて、中国は市場原理に基づく人民元相場への秩序立った移行を進めることも公表しています。

なぜ、首脳会談の直後に人民元相場の移行にわざわざ触れたのでしょうか。

そこには、米ドルに並ぶ基軸通貨を目指す中国人民元の理想と現実の大きな落差が影響していると考えられます。

対ドルの取引が9割以上をしめる中国人民元の外貨取引

国際決済銀行(BIS)が公表した外国為替取引調査では、世界の1日あたりの為替出来高約5兆1000億ドル(平均値)のうち、中国人民元は4%を占めていますが、その出来高の95%は対ドル取引とされています。

国際銀行間金融通信協会(SWIFT)が発表した統計では、世界の決済取引で中国人民元の占める割合は1.72%にとどまりました。

SDRへの採用やAIIBの発足などの積極的な施策とは裏腹に、中国人民元の基軸通貨化は進んでいません。

中国人民元は通貨バスケットによる管理フロート制を採用することで、事実上の固定相場制度を維持しているため、値動きは比較的安定しています。

しかし為替レートの急な切り下げをはじめとして、政策当局による強引な政策は世界の金融市場に度々悪影響を及ぼしているため、その動向は注目されています。

今後の中国人民元はどうなるのか

米中首脳会談やG20サミットの声明で触れられたように、過剰な生産設備調整や南シナ海の領有権問題など、中国は内外に様々な火種を抱えています。

積極的な国外進出により国内の不満の解消を図っている習近平(しゅう・きんぺい)主席率いる中国政府ですが、周辺国の反発などもあり、その思惑どおりに進んでいるとは言えません。

世界第2位の経済規模を持ったことでアメリカに並ぶ経済大国となった中国ですが、人民元相場の切り下げによる「中国ショック」など、その不透明な政策が要因の混乱を引き起こすことは珍しくありません。

そのため、中国首脳部の動向や政策の方向には注意が必要です。

 
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おわりに

経済規模の大きさに見合う基軸通貨としての地位を求めている中国ですが、強引な財政・金融政策は、世界に影響するトラブルを度々引き起こしています。

有力な投資対象の一つである中国人民元ですが、その動向は他の通貨以上に注目する必要がありそうです。

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