日本復活の切り札?経済政策「アベノミクス」について徹底解説

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2015年9月末に自民党総裁選が行われ、現総裁である安倍総理大臣が無投票で再任され、これを受けた再選会見で安倍総理大臣は、「デフレ脱却目前である」として、今後の経済成長を目標としたアベノミクス第二弾を打ちだしました。

気になるのは、打ちだした第二弾の政策の内容と、その内容がアベノミクスの根幹とも言える株式・為替へ与える影響です。

今回は、デフレ脱却を目指すアベノミクスの内容とその成果、今後の株式・為替への影響を見て見ましょう。

 

そもそも、アベノミクスとは何か?

アベノミクス_イメージ

出典:首相官邸ホームページ

 

そもそもアベノミクスとは、2012年の衆議院解散総選挙のときに当時野党だった自民党の安倍総裁が選挙マニフェストとして掲げた経済政策のパッケージの総称をのことを言います。

内容の賛否はともかくとして、自民党の政権党復活とともに「3本の矢」という言葉ばかりが一人歩きしたまま始まったアベノミクスですが、その内容を詳しく見てみると、

 

大胆な金融政策

  • 2%のインフレ目標
  • 無制限の量的緩和
  • 円高の是正と、そのための円流動化
  • 日本銀行法改正
  • 政策金利のマイナス化(マイナス金利)
 

機動的な財政政策

  • 大規模な公共投資(国土強靱化)
  • 日本銀行を通じた建設国債の買い入れ・長期保有
 

民間投資を喚起する成長戦略

  • 「健康長寿社会」から創造される成長産業
  • 「日本版NIH:国立衛生研究所」 
  • 全員参加の成長戦略
  • 世界に勝てる若者
  • 女性が輝く日本

の3つの大きな政策方針と、それを構成する諸政策から成り立つ、全体としては極端な金融緩和によるデフレ脱却を主目的とした経済政策のパッケージとして構成されていました。

 

これらの政策のうち、特にインパクトが強かったためにアベノミクスの代表的な政策として取り上げられることが多かったのが、政府・日本銀行の歩調を合わせた大胆な金融政策です。

安倍政権発足後に日本銀行総裁に就任した黒田氏の名前を取って、「黒田バズーカ」と俗称される一連の量的・質的異次元緩和は、継続的な物価上昇率であるインフレ目標を設定して、無期限に国債購入を行うことで景気を刺激しようとするリフレーション理論を採用した上で、2度に渡って行われました。

この異次元緩和は、それまでの日銀の政策からは考えられないような大胆な内容であり、「黒田バズーカ」の方向性と内容が大きな驚きとともに迎えられました。

 

アベノミクスの成果はどのようなものだったのか

このように「3本の矢」として知られる金融・財政政策からなるアベノミクスですが、その結果はどのようなものだったのでしょうか。

アベノミクスの元で特に注目されていた株価・為替の推移で確認してみましょう。

 

為替

リーマンショック以降、徐々に円高が進行していますが、2009年の民主党・鳩山政権の成立と前後して円高傾向はより顕著になり、2011年9月に史上最高値となる1ドル = 79円台を記録します。

その後、2012年12月の自民党・第二次安倍内閣の成立と前後して、トレンドは円高から円安に転換し、2015年8月には1ドル = 125円台を記録しましたが、その後は世界経済の減速に影響されて再び円安傾向が強まり、現在は1ドル = 120円台で推移しています。

 

株価

アベノミクスの恩恵をもっとも受けたのが、日経平均株価と言えるでしょう。

 

2007年から徐々に表面化していた世界金融危機により、日経平均株価は2008年10月にバブル経済崩壊後の最安値となる7162円90銭を記録するなど、記録的な低迷が続いていました。

2009年からの民主党政権下でも1万円台の上回ることはありませんでしたが、2012年12月の第二次安倍内閣の成立と前後して上昇カーブを描き、2015年2月には2万円を突破しました。

その後の日経平均株価は世界経済の減速の影響を受けて右肩下がりであり、2015年8月の急落以降、最高値の更新は途絶えています。

 

アベノミクスの今後と為替の先行き

冒頭でも触れたように、2015年9月末の自民党総裁選で安倍首相は無投票で再任されました。

再任されたときの記者会見で安倍首相は「デフレ脱却は目前である」として、アベノミクス第1弾の成果を踏まえたとするアベノミクス第2弾を打ち出しました。

 

その第1弾の内容を踏まえた「新3本の矢」として打ちだした第2弾の内容は、

  • 希望を生み出す強い経済
  • 夢をつむぐ子育て支援
  • 安心につながる社会保障

第1弾と比べると非常に抽象的な内容ですが、今後もより強力にアベノミクスを推進することをうたって発表された第2弾ですが、気になるのは抽象的で具体性に乏しい政策内容です。

 

第1弾の内容は、20年ちかく続く景気低迷とデフレ脱却という2つの目標のために、非常に具体的な政策内容が述べられていました。しかし第2弾では、安倍首相個人の政治目標を達成するための政策という印象が拭いきれません。

もちろん、今後具体化されるであろう政策によっては、第1弾の内容を踏まえたより良い政策パッケージになる可

能性はありますが、現時点では期待できる内容とは言いにくいのが事実です。

 

円安誘導が後退した内容で為替レートはどうなるか

期待の持てない第2弾の政策内容と同様に気になるのが、外国為替市場の動向です。

これまでは円安誘導が上手く機能していましたが、2015年6月から7月にかけて世界経済の減速が明らかになると、いわゆる「有事の円買い」効果で1ドル = 115円台を記録するなど、為替レートが円安から円高に転換する可能性がささやかれています。

 

為替レートに影響がある?TPP交渉のゆくえ

また、環太平洋戦略的経済連携協定(Trans-Pacific Partnership = TPP)の交渉が大詰めを迎えるなど、これからの外国為替市場に大きな影響を与えるトピックが目白押しであることにも注意が必要です。

 

為替レートを見てみると、有事の円買いの効果で8月中に一時1ドル = 115円台を記録したものの、その後は1ドル = 120円台から125円台で安定しています。しかしこれからはTPP交渉の成立をはじめとして、外国為替市場に大きく影響が予想されるトピックが目白押しです。

TPP交渉の経過は予断を許しませんが、これまでのように全ての資産を日本円で持っていることは大きなリスクになると考えられるため、保有する日本円の資産の一部を米ドルなどの外貨資産に振り替えて保有することも選択肢に入れたいところです。

 
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おわりに

株式・為替をはじめとする様々な経済指標の面から見ると、アベノミクス第1弾は、相応の成功を収めたと判断するべきですが、第1弾の実績を受けて打ち出された第2弾の政策は、内容・効果ともにまだまだ未知数です。

 

今後は、サブプライム危機をきっかけとするリーマン・ショック以降の世界金融危機でも比較的好調な経済を維持していた中国も、にわかに先行きが怪しくなっています。

そのため、これまでのような順調な政策の推移は難しく、為替・株式で資産運用をしている場合、より一層慎重な運用が必要とされる局面が増えることと思われます。

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