遂に実施されたFOMCの「ゼロ金利政策」の総括と利上げの影響

遂に実施されたFOMCの「ゼロ金利政策」の総括と利上げの影響

連邦公開市場委員会(FOMC)は12月会合で足掛け7年間にわたるゼロ金利政策の解除と目標金利引き上げ(利上げ)の実施を発表しました。

これまで行われてきたゼロ金利政策とは、一体どのような政策だったのでしょうか。今回はFOMCによる利上げ決定が世界経済に与える影響を見てみたいと思います。

連邦公開市場委員会(FOMC)とはなにか

FOMCとは、アメリカの中央銀行の役割を担う連邦準備制度理事会(FRB)の理事7名と、アメリカの12の連邦準備銀行の中から持ち回りで選出される総裁5名の計12名の委員で構成される、アメリカの金融政策の意思決定機関であり、FOMCは約6週間ごとに年8回開催される定期会合の他に、必要に応じて臨時会合が開催されます。

FOMC会合での決定内容や声明、発表される議事録の内容は、アメリカ経済だけではなく世界経済の先行きを予測するために欠かせない材料の1つとされ、その内容には世界中の市場関係者から大きな注目が集まります。

2015年12月時点の議長はFRB史上初の女性議長であるジャレット・イエレン女史で、ハト派の経済学者として知られています。

金融緩和の最終手段「ゼロ金利政策」はどのようなものか

今回の利上げにより終了が決定された「ゼロ金利政策」とは、どのような政策だったのでしょうか。

2008年のリーマン・ショックと世界金融危機により、アメリカ経済はそれまでの好況から、世界経済を巻きこんで一気に不況へと落ち込むこととなりました。

そこで中央銀行が取りうる金融政策として実施されたのが、バブル崩壊後の日本で生まれた中央銀行が民間銀行に融資するときの「政策金利目標」を、事実上のゼロ水準にする「ゼロ金利政策」です。

ゼロ金利政策を導入することで期待される効果はいくつかありますが、

  • 実質金利の低下による設備投資や住宅投資などの波及効果の大きい投資が容易になり、総需要の拡大
  • 資金の流動性が大きくなるため資産市場が活発になり、最終的な消費の拡大

の二つが主な効果として期待されます。

ゼロ金利政策を採用することで中央銀行はそれ以上の利下げによる金融緩和ができなくなるため、さらなる金融緩和には、通貨の流通量を増やす「量的緩和」や、一定の物価上昇率(インフレ率)を目標にする「インフレターゲット」など、非伝統的金融政策が求められます。

ゼロ金利政策と「量的緩和」の関係とは

ゼロ金利政策の対象となっていた金利は、アメリカの民間銀行が12の連邦準備銀行に預けている原則無利息の準備預金で「フェデラルファンド」にかかる金利である「フェデラルファンド・レート」を対象としています。

民間銀行は法律で定められている準備預金(法定準備預金)と決済に必要な準備金(決済用準備金)を超えて預けている部分を、他の民間銀行に貸し付けることができますがこのときに発生する金利が、フェデラルファンド・レートです。

フェデラルファンド・レートをゼロ水準まで下げることで、大きく落ち込んだ設備投資や住宅投資の回復と資産の流動性の改善が期待されましたが、期待通りの結果にならず、2008年から断続的に量的緩和政策(QE)が導入されることとなりました。

大規模な資産買い上げによる資金供給を狙ったQEでは、2008年のQE1と2010年のQE2で総額2兆3000億ドル、QE3では毎月400億ドル(約3兆円)の資産買い取りまで膨れ上がります。

ゼロ金利政策の終了は何を意味する?

「大胆な金融緩和政策」と言われるゼロ金利政策の終了は、アメリカ経済や外国為替市場にどのような影響するのでしょうか。

ゼロ金利政策の終了により、先に述べた期待される効果が逆転して発生すると考えられていますが、景気が十分な成長を維持していれば、取りやめるデメリットよりも継続するデメリットが大きくなります。

今回のゼロ金利政策終了の背景には、アメリカ経済は既に量的緩和や金融緩和に頼らなくても十分な経済の拡大を維持できるため、ゼロ金利政策を終了してもそのショックを吸収できると判断されたことが影響しています。

おわりに

アメリカ経済だけを見ると、既に金融危機の傷跡はそれほど大きなものではなく、ゼロ金利政策の終了も納得できるものです。

しかし世界に目を向けると中国をはじめとする新興国経済の失速や原油安による資源国の経済不安など、サブプライム危機をきっかけとする金融危機にかわる新しい危機が目につきます。

今後の世界経済とアメリカの金融政策の動向には、これまで以上に注目する必要がありそうです。

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