3年ぶりの為替レート1ドル = 100円の衝撃とFXへの影響とは

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2016年6月末のイギリスのEU離脱(ブレグジット)をめぐる国民投票をきっかけとして、外国為替市場での米ドル/日本円の為替レートは円高が続いています。

6月末に一時1ドル = 99円台を記録したのをきっかけに徐々に円高が進み、8月16日にはロンドン外国為替市場で再び1ドル = 99円台を記録しました。

今回は、急激な円高の進行が日本経済やFXにどう影響するのか見てみましょう。

イギリスのEU離脱(ブレグジット)以来の1ドル = 100円台割れ

為替レートの影響を見てみる前に、2ヶ月ぶりに1ドル = 100円台を割り込んだ8月16日の外国為替市場の様子を、ニュースから引用して見てみましょう。

16日の欧米外国為替市場では、米国の早期利上げ観測の後退を背景にドル売り・円買いの動きが強まり、円相場は一時1ドル = 99円55銭まで上昇した。これは英国の欧州連合(EU)離脱が決まった6月24日以来、約7週間ぶりの円高水準。

ドル売り・円買いの加速は、米サンフランシスコ連邦準備銀行のウィリアムズ総裁が15日公表の調査報告書で、物価目標の引き上げなどを提案したことがきっかけ。米国の低金利が長期化するとの見方が広がり、円は急伸した。

(後略)

出典:円上昇、一時99円台 = 英EU離脱決定以来の高値 - 欧米市場:時事ドットコム

円高が企業業績に与える影響とは

このように急激な円高は、製造業を中心に利益の減少や業績の見通しの下方修正を迫るなど、既に企業業績にも影響がではじめています。

数千億円単位の業績引き下げを発表している製造業

製造業の代表格とも言えるトヨタ自動車は、2016年第1四半期決算の営業利益を前年同期から15%減とした上で想定為替レートを1ドル = 105円から102円に引き上げ、2016年度の営業利益の見通しを1千億円減の1兆6千億円に下方修正しました。

トヨタ自動車以外の自動車会社では、日産自動車は第1四半期が前年度の同じ時期より9%減、富士重工業(スバル)は24%減と、自動車各社は軒並み大幅な減益となっています。

 

自動車会社以外では、電機会社大手のソニーは想定為替レートの見直しにより売り上げ見通しも下方修正をおこない、当初予想の7兆8千億円から4千億円減の7兆4千億円として、大手衣料品販売のファーストリテイリング(ユニクロ)も、想定為替レートと最終利益の見通しの修正を発表するなど、当初想定よりも早いペースで円高が進み、日本企業は軒並み数千億円単位での収益見通しの下方修正を余儀なくされています。

もっとも大きな影響を受ける金融業

急激な円高は製造業などの日本企業の業績に大きな影響を与えていますが、より大きな影響を受けているのが、銀行に代表される金融業です。

 

アベノミクスによる円安誘導や債券価格の大幅上昇、好調だった手数料ビジネスなどにより、過去最高益を記録していましたが、2016年に入ってからの収益環境は「四面楚歌」と言えます。

 

銀行業務の基本となる国内の資金需要は、日銀の国債買い取りによって手元資金がだぶついているものの企業・個人の資金需要が乏しく、貸付競争は激化しています。

新たな収益源として積極投資を続けてきた海外進出も、進む円高などの様々な要因により、円換算した利益が大きく目減りしています。

 

3メガバンクのうち、三井住友フィナンシャルグループ(FG)と三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)は、それぞれ多額の一時費用を計上したことで最終利益が1割以上の減益となりました。

みずほFGは3メガバンクの中で唯一増益を確保しましたが、その内容は手数料などの非金利収入や、持ち合い解消による株式売却益が中心であり、本業である投融資はあまりパッとしません。

急激な円高はFXにどのように影響するのか

このように急激な円高は日本企業の業績に悪影響をもたらしはじめていますが、FXにはどのような影響が考えられているのでしょうか。

 

大規模な金融緩和をはじめとするアベノミクスの効果により、ここ数年の米ドル/日本円(USD/JPY)の為替レートは1ドル = 120円台で安定していました。

そのため、為替取引や企業取引はこの為替レートを前提とした取引がおこなわれていましたが、ここまで見てきたように急激な円高進行によって見直しを余儀なくされています。

 

特に大きな影響が心配されるのがレバレッジをかけた為替取引であり、個人でもできるレバレッジをかけた取引であるFXにも大きな影響が発生しつつあります。

実際にイギリスのEU離脱(ブレグジット)をめぐる国民投票によって為替レートが急変した6月末は、ロスカットが多発したことで取引高の増加と預かり残高の減少を招きました。

今回の為替レートの変動は6月末と違って比較的ゆるやかですが、6月末とは異なり長期的な傾向であるため、その影響は更に大きくなることが考えられます

おわりに

2016年に入ってからの外国為替市場は、様々な要因により大きく混乱しています。

現在の状況ではその先行きは不透明であり、今後の取引はこれまで以上に、リスク管理と資金管理に注意した取引が欠かせなくなりそうです。

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