サプライズとなったECBの2016年3月会合と外国為替市場の反応

ECB追加緩和_アイキャッチ
 

欧州時間の3月10日に開催されたECB(European Central Bank = ヨーロッパ中央銀行)は、主要な3金利の一斉引き下げと月ごとに資産買い入れ額の拡大を含んだ新しい追加金融緩和を発表しました。

今回は、その内容の詳細と影響について見てみましょう。

 

今回のECB理事会の決定内容とドラギECB総裁の発言要旨

ロイター電がECB理事会での決定内容と、ドラギECB総裁の会見での発言要旨をまとめているので、ここから引用して決定内容と会見での発言要旨を見てみましょう。

 

ECB理事会の決定内容

今回のECB理事会の決定には、主要政策金利を更に引き下げる事実上のゼロ金利政策の導入という大きなサプライズがありました。

 

リファイナンス金利を0.05%から0.00%に引き下げるゼロ金利政策の導入と同時に、上限金利の限界貸出金利も0.30%から0.25%に、下限金利の中銀預金金利はマイナス0.30%からマイナス0.40%に引き下げています。

また、現在実施している資産買い入れ規模を月間600億ユーロ(約7.5兆円)から、事前の予測を上回る800億ユーロ(約10兆円)に拡大したこともサプライズとして受け取られました。

更に2016年6月からは、民間銀行に対して4年間の資金供給を低利でおこなうことも決定され、これまで以上の金融緩和を更に推し進めた格好です。

 

ドラギECB総裁の発言要旨

ドラギ総裁は「金利は長期にわたり、また資産買い入れ期間の終了後も極めて低い水準にとどまる」と言明した。

また「本日の観点、およびわれわれの措置が成長やインフレにもたらす支援を勘案すると、一段の金利引き下げが必要になるとは思わない」とし、追加利下げの公算は小さいとの考えを示唆した。

「銀行システムに何ら影響を及ぼすことなく、望むだけマイナス幅を拡大できるのか。答えは『ノー』だ」とも指摘。マイナス金利の限界を認識しているとし、今後は他の非標準的措置に注力することになるだろうと述べた。

出典:ECBが追加緩和、一段の利下げ否定に「バズーカ不発」批判

 

市場の事前予測を上回る内容が決定された今回のECB理事会ですが、ドラキECB総裁は理事会後の記者会見の中で「本日の観点、およびわれわれの措置が成長やインフレにもたらす支援を勘案すると、一段の金利引き下げが必要になるとは思わない」と発言したことで、今後の更なる利下げの可能性は低いことも示唆されています。

 
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外国為替市場・株式市場への影響はどのようなものだったのか

今回の決定内容とドラギECB総裁の会見は、市場に対してどのような影響を与えたのでしょうか。

外国為替市場と株式市場、それぞれの値動きを見てみましょう。

 

外国為替市場

ECB理事会の決定内容の発表とドラギECB総裁の会見と前後して、ユーロは米ドルと日本円に対して動きました。

 
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出典:FOOREX RATE&CHART / 米ドル・円(60分足)

 
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出典:FOOREX RATE&CHART / ユーロ・円(60分足)

 
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出典:FOOREX RATE&CHART / ユーロ・ドル(60分足)

 

特に日本円に対しての動きは大きく、日本時間午前0時を過ぎた発表直後から1時間も経たずに2円という急激な値動きを記録しています。

 

各国株式市場b

このように事前予測を上回る内容であったため、市場に対しては大きなサプライズとなった今回のECB理事会の決定は、株式市場に対してどのような影響を与えたのでしょうか。

ヨーロッパの主要3株式市場とニューヨークダウ、日経平均の値動きを見てみましょう。

 
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出典:日経平均株価【998407】:国内指数 - Yahoo!ファイナンス

 
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出典:NYダウ【^DJI】:海外指数 - Yahoo!ファイナンス  

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出典:FTSE 100【^FTSE】:海外指数 - Yahoo!ファイナンス  

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出典:DAX【^GDAXI】:海外指数 - Yahoo!ファイナンス  

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出典:CAC 40【^FCHI】:海外指数 - Yahoo!ファイナンス

 

ヨーロッパの主要3株式市場は軒並み大幅安で終わっていますが、ニューヨークダウはほぼ前日並み、日経平均は続伸して終わっています。

 

今回の決定内容はどのように受け止められたのか

今回の決定内容は、一部で期待を上回る内容でしたが、ドラギECB総裁が会見で「本日の観点、およびわれわれの措置が成長やインフレにもたらす支援を勘案すると、一段の金利引き下げが必要になるとは思わない」と発言したことにより、外国為替・株式ともに大きく売りこまれることとなりました。

しかし、これまでの金融緩和政策の効果が徐々に出てきていることを考えると、今回のヨーロッパ圏の外国為替・株式の急落は発言に過剰反応した一過性のものと考えられます。

 

おわりに

現在のユーロ圏は、経済的な停滞以外にも中東・アフリカからの難民流入によるユーロ加盟国間の温度差の拡大や、イギリスのユーロ離脱の可能性が高まっているなどのリスク要因が潜んでいます。

これらの問題がすぐに表に出ることはないと考えられますが、中長期的に解決する見込みが立っていないことも事実であり、これからのユーロ圏は、経済面だけではなく政治面でも注目する必要がありそうです。

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