OPECの減産合意と原油価格が外国為替市場とFXに与える影響

OPECの減産合意と原油価格が外国為替市場とFXに与える影響

供給過剰による原油価格の低迷が続く中、シェア確保のために生産量を維持していた石油輸出国機構(OPEC)が9月の非公式会合で減産合意に達したことは、市場に大きな衝撃を与えました。

減産合意を好感して原油価格は10月中旬に1バレル = 50ドル台を回復するなど堅調な値動きを見せていますが、気になるのは原油価格が外国為替市場に与える影響です。

今回は原油価格が外国為替市場に与える影響について、今回の減産合意とその影響と合わせて見てみましょう。

サプライズとなった9月の減産合意と原油価格の値動き

9月の石油輸出国機構(Organization of the Petroleum Exporting Countries = OPEC)の非公式会合は、2008年以来はじめての原油減産で合意しました。

その内容と減産合意が原油価格に与えた影響について見てみましょう。

最大数百万バレルの生産調整をおこなう減産合意

9月会合では、現在の推定生産量3,324万バレル(日量)の原油生産を日量3,250万バレルから3,300万バレル程度まで減産することで合意したと伝えられています。

この会合は非公式会合であり、具体的な内容は11月の次回総会で決定されます。

そのため、ロシアをはじめとするOPEC非加盟国に対して、協調減産の働きかけがおこなわれるなど、様々な駆け引きが続いています。

事前予測では減産合意に至る可能性はないと見られていました。サウジアラビアがそれまでの強硬な姿勢を軟化させたことで減産合意に至ったと見られています。

1バレル = 50ドル台の節目を回復した原油先物価格

サプライズとなった合意内容が明らかになると原油先物相場が反応、その日のうちに北海ブレンド先物(LCOc1)が5%を超える値上がりを記録しました。

一時は1バレル = 30ドル台を記録するほど低迷していた原油価格は好転し、10月中旬の時点では1バレル = 50ドル台の節目となる価格まで回復しています。

原油価格の低迷を招いた「シェール革命」と生産量維持

このようにサプライズとなった減産合意ですが、これまで生産量を維持していた背景にはアメリカを中心とする「シェール革命」の影響があげられます。

シェール革命とは、今まで困難であった頁岩(シェール)層から原油・天然ガス(シェールオイル・シェールガス)の抽出が可能になったことでエネルギー受給が大きく変動した技術革新のことです。

従来の天然ガスの生産コストが約100万熱量(BTU)あたり1ドルに対して、シェールガスはその数倍とも言われ、シェール革命以前はシェールガスには市場性がないと言われていました。

しかし2000年代に入ると新興国の急激な経済成長により原油の需給がひっ迫、原油価格の高騰を招くと、シェールガスをめぐる状況は大きく変化します。

原油価格の急騰に合わせて天然ガス価格も大きく上昇、技術革新が進んだことも合わせて2005年前後にはシェールガス生産は採算に見合うようになり、急ピッチで商業化が進められます。

結果としてアメリカが40年ぶりに原油輸入国から輸出国に転じるなど、国際的な原油需給に大きな影響を与えることとなりました。

OPEC加盟国をはじめとする中東産油国は、原油シェアを維持するために価格低迷を承知で生産量を維持することを決定、それまで好調だった経済を傾けるほどの消耗戦を繰りひろげています。

原油価格の低迷が外国為替市場に与えた影響とは?

このようにシェール革命をきっかけに原油価格は混乱することとなりましたが、その混乱はどのように外国為替市場に及んだのでしょうか。

供給過剰による原油価格の低迷は、産油国やエネルギー関連企業を中心とする株価の低迷を招き、株式市場全体の値下がりを招きやすい状態となります。

何らかのきっかけによって世界規模で株価が短期間で急落すれば、リスク回避のために比較的安全な資産とされる債券や安定通貨を購入する動きとなり、特に円高を招くと考えられています。

第二のリーマンショックを恐れるウォール街

今回のシェール革命に見られる特徴として、シェール革命の立役者となった企業のほとんどが従来のオイルメジャーではなく、新興企業であることがあげられます。

シェールガス・オイル生産企業の多くは、生産が軌道に乗るまで債券市場で自社債券を販売することで資金集めをおこなうのが一般的であり、2008年のリーマンショックと世界金融危機は金融緩和による金余りの状態を招き、低金利での資金調達を可能としていました。

しかし商業化により従来の原油産業と競合関係になったことで発行債券の格付けが低下、短期間で安定した高格付け債からハイイールド債になったことで、投資家たちは急速に資金を引き上げています。

原油価格の低迷が有利に働いた日本円

東日本大震災と福島第一原発事故により、石油資源の輸入が増加したことで貿易黒字から貿易赤字に転落、為替レートは一時1ドル = 75円台に達するなど、記録的な円高となりました。

しかし原油価格の低迷やアベノミクスの円安誘導により為替レートは2015年夏には1ドル = 125円台まで円安が進み、原油価格の低迷の恩恵を存分に受ける格好となりました。

今回の減産合意で原油価格がこれまでの水準から切り上がれば、その影響は小さいものではないでしょう。

おわりに

このように今回のOPECの減産合意の裏には原油輸出のシェアをめぐるアメリカや非加盟国との争いがあり、その影響を受ける形で外国為替市場は動いています。

特に純輸入国である日本への影響は大きく、今後もその動向は注目する必要がありそうです。

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