金融庁、レバレッジ引き下げを見送り?注目のFX規制の内容は

金融庁、レバレッジ引き下げを見送り?検討中のFX規制の内容は

「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」での検討の結果、金融庁は規制の一環として検討していた証拠金倍率(レバレッジ)引き下げを見送る模様と報じられました。

今回のレバレッジ引き下げの見送りに至るまでには、どのような検討がされたのでしょうか。その内容と導入された規制の内容を見てみましょう。

過去2回引き下げられたレバレッジ倍率

導入当初は無制限だったレバレッジ規制

1998年(平成10年)の「外国為替及び外国貿易法(外為法)」により、それまで為替銀行に限られていた外為業務が都市銀行や一般企業にも解禁されました。これによりはじまったのが外国為替証拠金取引(FX)です。

解禁当初はそれほど盛りあがらなかったものの、解禁と前後したインターネットの普及による個人投資家のすそ野の拡がりと合わせて、急速に人気が高まりました。

しかし、それにより虚偽のスリッページやFX会社による預かり資産の使い込みなどのトラブル、数百倍から数千倍のレバレッジをかけた取引に失敗することで、一瞬にして自己破産に追いこまれる事例も多発したのです。

相次ぐトラブルにより段階的に規制を導入

このようなトラブルが相次いだことから、段階的にFXに対する規制の導入が進められました。

2005年(平成17年)には金融先物取引法の改正による登録の義務付け、2009年(平成21年)には信託保全の義務化がおこなわれ、総仕上げとして、2010年(平成22年)に最大50倍、2011年(平成23年)に現在の最大25倍へのレバレッジ規制が導入されます。

あわせて読みたい

レバレッジ規制再び?金融庁、店頭FXの有識者会議を立ち上げ

検討されたレバレッジ倍率引き下げの内容

現行の25倍から10倍への引き下げを検討

このようにレバレッジは段階的に引き下げられてきた過去がありますが、金融庁では利用者保護を名目として、現行の25倍から10倍へと更なる引き下げを目指し、有識者会議での検討を実施していました。

レバレッジの引き下げで指摘されたリスク

レバレッジ倍率のさらなる引き下げですが、より高い倍率で取引できる海外業者に顧客が流れることや、レバレッジ20倍から25倍の取引が主流の仮想通貨取引に顧客を奪われる可能性などが指摘され、参加したFX業者からはほかの金融商品とのバランスを踏まえた議論が求められました。

また、現行のレバレッジでの取引で損失が出ているトレーダーにはどのように対応するかなど、引き下げによるデメリットが過去の事例と比べて大きいことも指摘されました。

このような議論の結果、レバレッジの引き下げ自体は見送られたものの、規制強化としてストレステストやリスク試算の厳格化など、事実上の規制強化の導入が検討されています。

引き下げを見送る代わりに導入される規制は?

ストレステストの厳格化の提案

レバレッジの引き下げを見送る代わりとして、金融庁はストレステストの厳格化を提案しました。これは、顧客の未収金の発生リスクについて、建玉残高が少ない1日の取引終了時点ではなく日中最大の建玉残高で把握することや、テストの頻度を年1回から毎日に増やすことが中心です。

このストレステストで自己資本比率が一定の比率を下回る業者には、金融庁が自己資本の積み増しや証拠金倍率の引き下げを求めるとしています。

リスク試算の厳格化や順守の徹底

現在では120%を下回ると指導対象となる業者の自己資本規制比率については、現行のまま据え置くものの、リスク試算の厳格化や中小事業者への順守徹底を求めると同時に、為替取引の注文を出す金融機関の集中リスクや破綻リスクをより厳しく見積もることを検討しています。

規制に対応できない中小企業には柔軟な対応を検討

このような規制強化に対して対応できない中小事業者が出てきたときには、個別に自主的なレバレッジの引き下げを求めることで、リスク量とのバランスを取る余地を残すことも検討されています。

おわりに

本命と見られていたレバレッジの引き下げこそ見送られたものの、ストレステストやリスク試算の厳格化、報告頻度の引き上げなど、有識者検討会では金融庁が中心となって事実上の規制強化が検討されています。

現時点では検討にとどまるため、どの程度まで実際の規制に反映されるかは定かではありませんが、今後の会議の決定や内容には、さらなる注目が必要と言えそうです。

このコラムに関連する記事

チェックリスト: 0 件
開く
全クリア
TOP