出口戦略を一蹴した2018年1月の金融政策決定会合の内容は

出口戦略を一蹴した2018年1月の金融政策決定会合の内容は

2018年1月22・23日に開催された金融政策決定会合で、日本銀行(日銀)は現状の金融政策の維持を決定、同時に発表した展望レポートでは今後の成長率・物価についてこれまでの見通しを維持していることを明らかにしました。

今回は、金融政策決定会合で決定された政策と、展望レポートで語られた経済見通しがどのようなものかを見てみましょう。

現状維持を決定した2018年1月の金融政策決定会合

長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)

次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針は、以下のとおりとする。

  • 短期金利:日本銀行当座預金のうち、政策金利残高に▲0.1%のマイナス金利を適用する。
  • 長期金利:10 年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、長期国債の買入れを行う。買入れ額については、おおむね現状程度の買入れペース(保有残高の増加額年間約 80 兆円)をめどとしつつ、金利操作方針を実現するよう運営する。

資産買入れ方針(全員一致)

長期国債以外の資産の買入れについては、以下のとおりとする。

  1. ETFおよびJ-REITについて、保有残高が、それぞれ年間約6兆円、年間約900億円に相当するペースで増加するよう買入れを行う。
  2. CP等、社債等について、それぞれ約2.2兆円、約3.2兆円の残高を維持する。

2.また、日本銀行は、「貸出増加を支援するための資金供給」、「成長基盤強化を支援するための資金供給」、東日本大震災および熊本地震にかかる「被災地金融機関を支援するための資金供給オペレーション」等の措置について、受付期間を1年間延長することを決定した(全員一致)。

引用:http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/k180123a.pdf

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これまでの見通しを維持した展望レポート

2019年度はペースが鈍化するものの、景気拡大を見込む

日本経済は、海外経済が緩やかな成長を続けるもとで、きわめて緩和的な金融環境と政府の経済対策による下支えなどを背景に景気の拡大が続き、2018年度までの期間を中心に、潜在成長率を上回る成長を維持していました。

2019年度は設備投資の循環的な減速に加え、10月に予定されている消費税率引き上げの影響により、ペースは鈍化するものの拡大を見込んでいます。

需給ギャップの改善で物価の上昇傾向は続く

生鮮食品除く消費者物価は、一部を除いて弱めの動きが続くものの、マクロ的な需給ギャップが改善を続けるもとで、中長期的な予想物価上昇率が上昇、消費者物価の前年比はプラス幅の拡大基調を続け、2%に向けて上昇率を高めていくと見込んでいます。

成長率・物価は従来の見通しを維持

このように、従来の見通しと比べると、今後の成長率、物価ともに、おおむね変わりのない傾向が続くと予想しています。

物価の下振れリスクを注意深く点検

経済についてはおおむね上下にバランスしているものの、物価は2%の「物価安定の目標」に向けたモメンタム(勢い)は維持されているが力強さに欠けており、引き続き注意深く点検していく必要があるとしています。

モメンタム維持のために現状の金融政策を維持

2%の「物価安定の目標」の実現と安定的に持続するのに必要な時点まで「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大の継続を明確にしています。

また、経済・物価・金融情勢を踏まえて、「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するために必要な政策の調整を実施するとしています。

従来方針の維持・継続が続く金融政策

金融政策決定会合ではこれまでの金融緩和の継続を、展望レポートでは2019年度の2%の物価目標」を達成する見通しを維持しています。

会合終了後の記者会見で、黒田日銀総裁は「物価目標達成は程遠い」として、現在の金融緩和を継続する姿勢を強調、一部で伝えられている緩和縮小や終了などのいわゆる「出口戦略」を強く否定しました。

おわりに

アメリカの中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)は一足早く金融政策の正常化を進め、欧州連合(EU)の中央銀行である欧州中央銀行(ECB)も緩和縮小の時期を探る中、唯一金融緩和を続ける日銀がどのタイミングで金融政策を変更するのかは市場の注目を集めています。

また、黒田日銀総裁の任期も2018年4月で満了となるため、後任人事にも注目が集まるなど、2018年は日銀の一挙手一投足に注目が集まる1年となりそうです。

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