10月の金融政策決定会合の内容と外国為替市場への影響

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10月の日本銀行の政策決定会合が行われ、当面の金融政策が決定されました。

「一部分野で新興国の景気減速の影響が見られるものの、全体的には緩やかな景気回復傾向が続いている」とした前回の景気判断を据え置き、現在の大規模な量的・質的金融緩和を継続することを確認・公表しました。

噂される更なる追加金融緩和(いわゆる「黒田バズーカ」)の実施の可能性と合わせて、今回の決定内容を見てみましょう。

 

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今回の政策判断と決定内容

まずは、日本銀行が7日午後に公表した議事録の概要を確認してみましょう。

出典:金融政策決定会合の運営 : 日本銀行 Bank of Japan

 

政策判断

国内景気は、輸出・生産面に新興国経済減速の影響が見られるものの、緩やかな回復を続けていると判断されました。

 

大まかな項目ごとにどのような判断をしているのかを見ると、

  • 企業収益の明確な改善により、設備投資は緩やかな増加基調
  • 雇用・所得環境の改善により、個人消費・住宅投資も持ち直している
  • 公共投資は高い水準にあるものの、緩やかな減少傾向
  • 物価面では、消費者物価(生鮮食品を除く)の前年比で0%の伸び率

という景気判断となっています。

 

今後の国内景気の先行きについては、現状のまま緩やかな回復を続けると判断されました。

ただし、現在の日本銀行の金融政策にとって重要な「物価安定の目標」を図る消費者物価指数は、エネルギー価格下落により、しばらくの間0%が続くと予想しています。

 

海外経済は、新興国経済減速の影響が見られるものの、先進国を中心とした緩やかな回復を続けているという判断がなされました。

 

国内経済・世界経済に共通する、エネルギー価格以外のリスク要因としては、

  • 中国を始めとする新興国・資源国経済の景気動向
  • ギリシャなどの南欧諸国の債務問題の推移や景気・物価のモメンタム
  • アメリカ経済の回復ペース

などが主な要因としてあげられています。

 

決定内容

このような政策判断を受けて、これまで通りにマネタリーベース(日本銀行が市中に供給する通貨)が年額80兆円程度のペースで増加するよう、これまでの金融政策を継続することが賛成多数により決定されました。

 

その具体的な内容はこれまでの内容を引き継ぎ、

  • 長期国債について、保有残高が年間約80兆円に相当するペースで増加するよう買い入れ
  • ETF(Exchange Traded Funds = 上場投資信託)、およびJ-REIT(Japan Real Estate Investment Trust = 日本版不動産投資信託)について買い入れ。それぞれ、ETFは年間3兆円、J-REITは年間約900億円のペースで保有残高が増加するように買い入れ
  • CP(Commercial Paper = 手形割引)等は約2.2兆円、社債等は約3.2兆円の残高を維持

という内容となっています。

 

今回の政策決定の影響

今回の決定が為替・株式市場にどのような影響を与えたのか、7日の為替・株式のチャートで見てみましょう。

為替

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出典:Yahoo!ファイナンス

 

株式

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出典:Yahoo!ファイナンス

 

13時ごろの決定内容の公表前後には為替・株式ともに発表内容を好感する値動きはあるものの、全体的に大きな動きはなく、今回の決定は想定の範囲内だったと判断されたようです。

 

追加金融緩和(いわゆる「黒田バズーカ」)の可能性

今回の政策決定を受けて気になるポイントは、追加緩和(いわゆる「黒田バズーカ」)の発動の可能性ですが、日銀は既に、アベノミクスに歩調を合わせるかたちで、黒田氏の総裁就任直後と14年10月の2度に渡って大規模な緩和政策を行っているため、再度の追加緩和を行ったとしても、その効果は未知数です。

しかし、世界経済の減速の影響を受けて落ち込みつつある景気へのカンフル剤の効果が期待できるため、市場参加者には第3弾を期待する声が根強くあります。

 

また、前回の緩和時点では、世界経済の状況は比較的安定していましたが、現在はヨーロッパ圏の債務問題や難民問題、中国経済の大きな減速を始めとして、前回の緩和実施のタイミングではなかった様々なリスクがあります。

そのため、過去2回の実施のときと比較すると、大胆な金融政策を行いにくい状況にあり、実際に3回目の緩和政策を行うかどうか、行うとしてもどのような内容になるのかは、とても不明確な状況にあると言えるでしょう。

 

今回の政策決定会合が為替・株式におよぼす影響

今回の内容はサプライズのない淡々としたものであり、為替・株式市場への影響は乏しいものでした。

今後の市場の関心は、年内にアメリカの利上げがあるか、日銀の追加金融緩和(いわゆる「黒田バズーカ」)があるかですが、景気拡大が続くアメリカを除き、世界経済は減速傾向を強めているため、為替・株式相場ともども様子見ムードが漂っています。

 

おわりに

世界経済が明確に減速傾向を示している中で、今回の政策決定は下方修正された前回の内容を引き継ぐものでした。

そのため、為替・株式に大きな影響は与えなかったものの、大規模な金融緩和政策への期待が消えていないため、底堅いものとして受け止められました。

世界経済の先行きを見ながら、今後の政策決定に注意する必要がありそうです。

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