イギリスのEU離脱(ブレグジット)とFX・外国為替への影響

イギリスの欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)とFX・外国為替への影響

最近の国際社会の注目を集めるイベントが、イギリスのEU離脱をめぐる国民投票の実施とその結果です。ヨーロッパ共同体(EU)の中心的役割を果たしてきたイギリスが、なぜ離脱を唱えはじめたのでしょう。

今回はイギリスのEU離脱をめぐる騒動のいきさつと、外国為替市場に与える影響について見てみましょう。

イギリスのEU離脱騒動(ブレグジット)とはなにか

イギリスのEU離脱とは、欧州連合(EU)加盟国であり、EUの中心的な役割を果たしているイギリスのEU離脱をめぐる一連の騒動のことを言います。

この一連の騒動は「British(英国:イギリス)」と「Exit(離脱)」の二つを組み合わせた造語である「ブレグジット」として知られ、2016年6月23日に予定されている国民投票によってイギリスのEU離脱が確定すれば、直接関係するイギリスとEUだけではなく、世界の為替・株式にも大きな影響を与えることが予想されるため、注目を集めています。

なぜブレグジットが発生したのか

イギリス内でEU離脱への関心が高まった背景として、特に東欧・中東からの移民急増が大きな要因としてあげられます。

イギリスは2000年以降、ブレア首相(当時)の主導する政策により、EU新規加盟国である東欧や中東からの移民受け入れを積極的におこなう方向に舵を切りました。

移民受け入れにより安価な労働力が増えたことから価格競争力で他のEU加盟国に比べて有利となり、グローバル化により活発化した金融取引を国の主な収入とする、1980年代からの政策とあいまって、イギリス経済は好況期を迎えることとなりました。

比較的長期間にわたって好況期が続いたイギリスですが、2007年の世界金融危機と2008年のリーマン・ショックによる世界規模での信用収縮はイギリス経済も巻き込むこととなります。

好況から不況に落ちこんだイギリスでは人員整理が進められ、解雇された労働者たちが「移民に職を奪われた」と主張するデモや暴動を起こしたことや、失業者や低収入に甘んじている移民層に対する社会保障が重い負担となったことなど、さまざまな要素が積みかさなったことでEU離脱が国民投票にかけられることとなったのです。

ブレグジットはどのような影響をもたらすか

このような経緯を経て6月23日の国民投票にかけられるイギリスのEU離脱ですが、仮にこれが可決された場合、どのような影響が考えられているのでしょうか。

EUに対して生じる影響

ブレグジットによってEUに生じるもっとも影響としては、域内第2位の経済力を持ち、強い軍事力を誇るイギリスを失うことでEUの自信や国際的な立場に、大打撃となることがあげられます。

EUの国際的な立場が悪化すれば、さまざまな場面での影響力低下や、グローバル経済から後退する可能性が大きくなります。

イギリスは独仏に次ぐ第3位の出資国であり、2010年から2014年のEU予算のうち、年平均92億3千万ユーロを負担しているため、その穴埋めはEUにとっても頭痛の種と言われています。

イギリスが離脱した場合に生じる予算の不足分は、経済的に弱い地域や農業従事者への補助金が穴埋めに充てられ、補助金の恩恵を受けていた分野の競争力が弱まることが予想されます。

イギリスに対して生じる影響

もちろん、イギリスにとってもブレグジットはEUに加盟することで享受しているさまざまなメリットを自ら捨てることになるので、比較的順調に推移しているイギリス経済に対しても大きな打撃を与えることはほぼ確実と言えます。

イギリス財務省が公表した試算によれば、仮にブレグジットとなった場合の国内総生産(GDP)は残留した場合と比べて2030年までに3.4%から9.5%の低下とされ、イギリス国民の生活に大きな悪影響があることは確実と言えます。

また、ブレグジットによってEU非加盟国となれば、イギリスの主な貿易対象となるEUとの貿易に重い関税負担が生じることとなります。

環太平洋連携協定(TPP)をはじめとするメガ自由貿易協定(FTA)が主流になりつつある現在、EUから離脱したイギリスが単独で各国とメガFTAを締結することは事実上不可能であり、EU加盟時と同様の経済効率を追求することは難しく、経済規模の縮小は避けられません。

ブレグジットによる外国為替市場への影響

このように実際の国民投票を前にしてブレグジットによるさまざまな影響を織り込み、外国為替市場は特に英ポンドを中心に大きく動揺しています。

2015年夏には1ポンド = 190円を超えていたポンド円の為替レートは150円から160円台に下落し、ポンドドルでも1ポンド = 1.4ドル台と、2010年以来の安値水準に落ちこみ、国民投票の実施前にも関わらず外国為替市場では相当程度ブレグジットが織り込まれていることがうかがえます。

もちろん、実際にブレグジットが国民投票により選ばれれば、現在の方向により急激に動くことが予想されるため、外国為替市場関係者はその動向に神経を尖(とが)らせています。

おわりに

このようにイギリスとEUだけではなく、グローバル化が進む世界経済にも大きな影響を及ぼすことが考えられるブレグジットは、国民投票前の時点でもその可否が拮抗(きっこう)しているため、どちらに転ぶか予断を許しません。

6月23日の国民投票の前後は外国為替市場が大きく変動することが予想されるので、その動向には注意が必要と言えるでしょう。

このコラムに関連する記事

チェックリスト: 0 件
開く
全クリア
TOP