イギリスのEU離脱(ブレグジット)とFX・外国為替への影響

イギリスの欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)とFX・外国為替への影響

最近の国際社会の注目を集めるイベントが、イギリスのEU離脱をめぐる国民投票の実施とその結果です。ヨーロッパ共同体(EU)の中心的役割を果たしてきたイギリスが、なぜ離脱を唱えはじめたのでしょう。

今回はイギリスのEU離脱をめぐる騒動のいきさつと、外国為替市場に与える影響について見てみましょう。

なぜブレグジットが国民投票にかけられることになったのか

EUの拡大・統合とイギリスへの移民急増

ブレグジットへの関心が高まった原因はいくつかありますが、主な要因と見られているのが、東欧・中東からの移民の急増です。

イギリスはブレア首相(当時)の主導により、2000年から移民受け入れを積極的におこなう政策の導入に踏み切りました。

移民受け入れにより安価な労働力が増え、価格競争力で他のEU加盟国に比べて有利となり、金融立国をめざす政策との相乗効果でイギリス経済は長く続く好況期を迎えます。しかし2007年の世界金融危機と2008年のリーマン・ショックによる世界規模での信用収縮はイギリス経済も巻き込むこととなります。

リーマン・ショックと移民排斥の動き

不況下で人員整理が進められ、解雇されたイギリス人労働者たちが「移民に職を奪われた」と主張するデモや暴動を起こしたことや、失業者や低収入が少なくない移民層に対する社会保障が財政の重い負担となったことなど、さまざまな要素が積みかさなったことでEU離脱の機運が高まり、国民投票にかけられることとなったのです。

ブレグジットが実施されるとどのような影響がある?

EUへの影響

域内第2位の経済力を持ち、国際連合(国連)の常任理事国であるイギリスを失うことは、EUの国際的な立場に大きな打撃となることが予想され、国際政治での影響力低下が心配されています。

また、イギリスはドイツ・フランスに次ぐ出資国であり、仮に離脱するとその穴埋めも大きな悩みです。穴埋めは予算の見直し・削減や加盟国の負担増でまかなうことになり、EUの国際的な競争力が弱まることが予想されます。

イギリスへの影響

イギリスにとってもブレグジットはEUに加盟することで受けるさまざまなメリットを捨てることになるので、イギリス経済にも打撃となることは確実と予想されています。

イギリス財務省が公表した試算では、ブレグジットが現実となると、国内総生産(GDP)は残留したときと比較すると2030年までに3.4%から9.5%の低下するとされてます。

また、EU非加盟国となれば、イギリスの最大の貿易相手であるEUとの取引に重い関税がかかることになります。環太平洋連携協定(TPP)などの大規模な自由貿易協定(FTA)が主流になりつつある現在、イギリス単独で各国とメガFTAを結ぶことは難しいことが考えられ、経済への大きな影響があると考えられます。

外国為替市場への影響

国民投票を前にして、ブレグジットによるさまざまな影響を織り込み、外国為替市場は特に英ポンドを中心に大きな値動きが続いています。

2015年夏には1ポンド = 190円を超えていたポンド円の為替レートは150円から160円台に下落、ポンドドルでも1ポンド = 1.4ドル台と、2010年以来の安値水準に落ちこんでいます。国民投票の結果に関わらず、外国為替市場はブレグジットの実施に踏みきることを織り込んでいるようです。

おわりに

仮に実施されればイギリスとEUだけではなく、グローバル化が進む世界経済にも大きな影響を及ぼすことが考えられるブレグジットは、国民投票前の時点でもその賛成・反対の割合は拮抗(きっこう)しています。

投票の結果によっては外国為替市場だけではなく、国際政治にも大きな影響があることが予想されるため、その動向には要注目と言えそうです。

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