取引高世界3位。主要通貨の一角「日本円(JPY)」

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日常生活で何気なく使用している円(日本円)ですが、資産として見ると米ドルやユーロに次ぐ取引高を誇り、値動きの激しい外国為替市場で安定通貨として取引されるなど、特徴の多い通貨です。

今回は資産として独特な価値を持つ通貨である日本円の特徴について見てみましょう。

アメリカ・中国に次ぐ世界第3位の経済規模を維持する日本

通貨としては人気の高い日本円ですが、その日本円の実力を裏付ける日本経済はどのような状況にあるのか、1980年代から現在までの日本経済の状況を振りかえって見ましょう。

バブル景気により世界2位の経済規模に成長した1980年代

高度経済成長期に大きく成長した自動車・家電のハイテク産業を中心に輸出を伸ばしたことで、特にアメリカとの間で貿易摩擦が激化したのが1980年代の大きなトピックです。

 

日米貿易戦争とも言われたこの貿易摩擦は、1985年のプラザ合意とその後の協調介入により一転して円高不況を招くこととなります。

円高不況の克服を目的とする低金利政策により過剰流動性が発生し、投資対象として資産価値が急上昇したことでバブル景気が発生、世界第2位の経済大国となりました。

日本の経済大国としての地位を確たるものにしたバブル景気は1990年代はじめに崩壊、日本経済は「失われた10年」とも言われる長期低迷におちいります。

長引く景気低迷と構造改革が進んだ1990年代

バブル景気崩壊後の日本経済は、東西冷戦体制の崩壊と急速に進展するグローバル化に遅れることとなりました。

特に銀行や証券会社などの金融機関の混乱は大きく、1990年代後半に進められた「金融ビッグバン」とあいまって、金融機関が相次いで破綻に追い込まれるなど、経済の長期低迷を招くこととなりました。

「小泉改革」とグローバル化が進んだ2000年代

デフレ経済に落ちこんだ日本経済ですが、その間に進められていた様々な構造改革・規制改革の総決算として、第87代総理大臣に就任した小泉純一郎(こいずみ・じゅんいちろう)氏による「聖域なき構造改革(小泉改革)」が進められます。

 

「官から民へ」と「中央から地方へ」をスローガンにした小泉改革の結果、従来の労使関係の象徴とも言える終身雇用制度は崩壊し、労働環境の悪化と雇用流動化による雇用不安により出生率が低下、少子高齢の加速と人口減少がはじまりました。

労働者には不利益しかなかった雇用関係の見直しですが、企業側にとっては正社員の削減と非正規雇用の増加はコストの中でも大きい人件費の大幅な削減につながり、浮いた費用を元に積極的な海外進出をおこなうことで空前の好業績を達成する原動力となりました。

 

企業業績の大幅な改善による税収増などを主な要因として、日本経済は2000年代前半から2007年の世界金融危機にかけて、戦後最長の好景気(いざなみ景気)を達成します。

安全資産として人気の高い「日本円(JPY)」

このように経済的には低迷が続く日本ですが、外国為替市場で取引される日本円(JPY)はFXトレーダーの間で「安全資産」として高い人気を誇ります。

巨額の赤字国債により、財政的に大きな不安を抱えていると言われている日本の通貨がなぜ「安全資産」と言われているのでしょうか。

詳しく見てみましょう。

 

安全資産と言っても、貴金属のように価値が不変で「絶対安全」であるものから株式や債券、通貨という括りの中で見ると「相対的に安全」であるものまで、その内容は様々です。

基本的に日本円を安全資産として扱うときは、「他通貨に比べると相対的に安全」という意味あいであることに注意する必要があります。

日本円が他通貨と比べて相対的に安全と考えられる理由として、政情が比較的安定していて、為替レートの変動要因は基本的に経済的要因、それも政治的・経済的な結びつきが強いアメリカと米ドルが大きな部分を占めていることがあげられます。

 

また日本円は米ドルやユーロなどの他のメジャーカレンシーと比べてもかなりの低金利政策を取っています。

そのため、日本円は低金利の円を借り入れて高金利の海外通貨で取引をおこない、利ざやを狙う「キャリートレード」の代表的通貨でもあることも、安全資産として扱われる大きな理由の1つです。

このように、海外の政治・経済情勢に為替レートが影響を受けやすいことと、超低金利政策によるリスクの低さから、外国為替市場では日本円は安全資産の1つとして扱われているのです。

おわりに

世界第3位の経済規模を維持する日本ですが、バブル景気崩壊後の「失われた10年」や急速に進む少子高齢社会により、その先行きは明るいとは言えません。

しかし、世界でも有数の個人資産に支えられて、通貨としての日本円は比較的安全な資産として扱われています。

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