金融立国として生き残るを図るイギリスの「英ポンド(GBP)」

英ポンド_アイキャッチ

かつては「日の沈まない帝国」とも呼ばれ、単独で世界を支配していたと言っても過言ではない勢力を誇ったイギリスですが、2度の世界大戦により今日ではその栄光は見る影もありません。

しかし、いくつかある主要国の中の1国に落ちついた現在でも、したたかな生き残り戦略を練ることで、特に金融市場での存在感を発揮しているのもまた事実です。

今回は、現在でも外国為替市場で強い存在感を保つスターリング・ポンド(英ポンド)の概要と、その特徴について見てみましょう。

2度の金融危機から速やかに立ち直りつつあるイギリスの経済

イギリスの経済は、約70%を占める第三次産業を筆頭に、30%を維持する第二次産業、1%に満たない第一次産業から構成されています。

経済規模を見ると、名目GDPでは約1兆6千億ポンド、1人当たりの名目GDPでは2万6千ポンドにもなり、ヨーロッパ圏内ではドイツ・フランスと並ぶ経済規模を持つ国として知られています。

イギリス経済の最近の状況を振りかえって見ましょう。

2度の経済危機と堅調な個人消費

ロンドン・シティに代表される世界最大の金融取引センターを持つイギリスですが、2008年の世界金融危機、2010年の欧州債務危機と立て続けに金融危機に見舞われ、経済成長が大きく落ち込みました。

しかし相次いだ危機対応が一巡した2014年の成長率は2.6%と金融危機以降で最大の伸びを示し、堅調な回復を続けています。

 

堅調な回復の牽引役が好調な個人消費ですが、その背景には雇用所得面の良好さや、デフレ基調により高まっている家計購買力が個人消費の押し上げに寄与していると見られます。

このように好調な個人消費とそれに支えられた好調な経済を背景に、英国政府は財政健全化を掲げています。

財政再建と経済成長の両立を目指す各種指針と政策

2010年6月には財政再建の具体的な目標として、

  • 「構造的経常財政収支の5年度以内の黒字化」を主目標
  • 「純債務残高対GDP比を2015年度までに減少」を補完目標

として掲げましたが、度重なる金融危機によりこの目標はそれぞれ下方修正されています。

金融政策を見てみると、2013年7月にイングランド銀行(Bank of England:BOE)総裁に就任したカーニー氏によって、失業率が7.0%を上回る間は現在の政策金利(0.5%)及び量的緩和の規模(3,750億ポンド)を維持するという指針を明示(フォワードガイダンス)、2014年4月に失業率が7.0%を下回ったのを受けて、2014年5月からは失業率を含めた複数の指標から総合的に金利引上げ時期の判断・実施時期をうかがっています。

 

政府は、財政健全化を達成するために緊縮財政を進める一方、経済成長には投資と輸出の促進が必要不可欠との認識に基づき、法人税の引下げや経済インフラへの公共投資(クリーン・エネルギー、交通など)を進め、経済特区の新設・拡大や各種優遇策により欧州一のビジネス環境整備を目指しています。

「日の沈まない国」としての意地を見せる英ポンド(GBP)

19世紀には「日の沈まない国」と呼ばれ、米ドルの前の基軸通貨であった英ポンドは、現在でも外国為替市場では強い存在感を誇り、その取引量は米ドル、ユーロ、日本円に次ぐ4番手につけています。

外国為替市場でメジャーカレンシーの1つに数えられる英ポンドは他のメジャーカレンシーと比べると取引量が少ないため、投機目的の取引の対象となりやすく、1日で数十銭から数円程度の値動きをすることも珍しくなく、ボラティリティの大きい通貨として知られています。

また、イギリスはその歴史的な経緯からアメリカと、地理的な条件からEU(ヨーロッパ連合)との結びつきが強く、アメリカやEUの経済動向に影響を受けやすい通貨でもあります。

特に近年ではアメリカとの結びつきは強く、他の通貨に比べても雇用統計をはじめとするアメリカの各種経済指標の発表に影響を受けやすいことで知られています。

 
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おわりに

かつての基軸通貨である英ポンドは、現在の外国為替市場では投機目的の取引の対象となることが多い通貨ですが、もっとも取引量の多いロンドン・シティの金融街を抱えるなど、金融立国としての生き残りを図っています。

適切なリスク管理と資金管理をした上で取引をおこなうのであれば、英ポンドは大きな利益を期待できる通貨と言えるでしょう。

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