経済大国として主要通貨入りを目指す中国の「人民元(CNY)」

中国元_アイキャッチ

日本を抜いて世界第2位の経済大国の地位に収まり、その経済動向が世界経済に大きな影響を与えるなど、中国が世界経済に占めるウェイトは年々重くなっています。

今回は世界第2位まで拡大した中国経済の概要と、政治体制以上に謎めいた通貨である中国人民元の資産としての価値を見てみましょう。

改革開放と経済特区制度で大躍進を遂げた中国経済

現在の中国経済の発展のきっかけとなったのは、1980年代から導入された「改革開放」精神と「経済特区」制度の導入による部分的な西欧化と言われています。

はじめに、中国の建国から現在までの経済を大まかに振りかえって見ましょう。

建国以来の経済運営の失敗と改革開放路線への転換

1949年の建国から1970年代に至るまで、中国経済は国家主席の立場にあった毛沢東(もう・たくとう)が主導した大躍進政策や文化大革命により低迷し、一時は国内で数千万人もの餓死者を出すほど経済運営に失敗した国家として知られていました。

経済運営の失敗による政治・経済の停滞を打開して、状況を大きく転換させるきっかけとなったのが、1978年の第11期三中全会で採択された「改革開放」路線です。

改革開放路線ではそれまでの社会主義・計画経済を改め、社会主義・自由経済を目指したことで、社会主義国家としてソ連(当時)と並ぶ主要国であった中国の国際化と経済成長の大きなきっかけとなりました。

改革開放路線の象徴「経済特区」と「農業改革」

改革開放路線の具体的な施策として、国内4ヶ所の経済特区と14ヶ所の対外開放都市を設定することで外国企業を呼びこみ、資本・技術導入を目論んだ「経済特区」制度があげられます。

海外資本や技術導入を狙った経済特区の導入と合わせて進められた国内改革の代表例として知られるのが、農業改革です。

農業改革では人民公社を解体した上での農民に農作の決定権を与える生産責任制の導入や、農民の出資により設立される郷鎮企業などの非農業活動を推奨するなど、様々な政策を導入・実施しました。

一連の改革開放路線が功奏して1980年代を通して、農業及び工業生産高は毎年10%前後の成長を記録する高い経済成長を記録。これにより農村の実質所得が倍増して分厚い中間層が生まれ、様々な軽工業の品々や消費財が増加、中国経済は大躍進を遂げることとなりました。

米ドル・ユーロに次ぐ基軸通貨化を目指す中国人民元

このように1980年代からはじまった改革開放路線により急激な経済成長を成し遂げた中国は、2000年代には日本を抜いて世界第2位の経済規模を持つ国となりました。

経済規模では世界有数の中国ですが、通貨中国人民元は、外国為替市場ではその経済規模に見合わず、存在感が極めて薄い通貨です。なぜ、中国人民元は存在感が薄いのでしょうか。

独特な通貨制度を採用する中国人民元

2005年まで米ドルに対して固定相場制を導入していた人民元は、通貨制度改革の一環として通貨バスケットによる管理フロート制を導入、固定相場制から限定的な変動相場制(管理変動相場制)に移行しました。

本来の通貨バスケット制であれば、為替レートの変動はバスケット通貨の対米ドル変化の比重平均に寄ります。

中国人民元の採用した仕組みは「通貨バスケットを参考に調整する」管理相場制であり、為替レートは当局の判断で調整されるため、完全な変動相場制よりも不透明な部分が多いと言われている通貨バスケットよりも、更に不透明な仕組みです。

実際に2015年8月に制度変更による人民元の切り下げを突然発表したことで、対米ドルレートで3%の下落を引き起こすなど、外国為替市場での取引量が増加に合わせて不透明さが露わになりつつあります。

進む外国為替市場での中国人民元の普及

このように不安な部分があちこちに見えるものの中国人民元は経済規模による信任により、着々と外国為替市場での存在感・信頼感を高めつつあります。

資源の輸出入で関係の深いオーストラリアドルを皮切りに、日本円や米ドル、英ポンドなどの主要5通貨との直接取引をはじめ、2015年には国際通貨基金(IMF)の特別引出し権(SDR)に組み込まれるなど、段階を踏みながらそのシェアを徐々に拡大しつつあります。

急速に国際化を進めている中国人民元ですが、資産として見ると外国為替市場ではまだまだ存在感・信頼感に乏しく、取引高はそれほど大きくありません。

国内FXサービスでも中国人民元との通貨ペアを提供しているFXサービスはごく限られている上にスプレッドも大きいので、メインの通貨ペアとして取引するのは現実味に欠けると言えそうです。

おわりに

世界最大の人口を抱える大消費地としての中国は魅力的な未開拓の市場であり、政治的な問題は別にして経済的に大きな注目を集めています。

様々な施策にも関わらず外国為替市場での信頼感・存在感は乏しいものの、経済規模では既に日本を抜いて世界第2位であり、今後の経済成長を考えれば注目に値する通貨と言えるでしょう。

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