金(地金)よりも堅い?通貨「スイスフラン(CHF)」とは

金(地金)よりも堅い?通貨「スイスフラン(CHF)」とは

ヨーロッパ中部のアルプス山脈に囲まれた観光地として知られるスイス連邦の通貨「スイスフラン(CHF)」は、外国為替市場では日本円と並ぶ安全資産の1つとして知られています。しかし、2015年(平成27年)1月のいわゆる「スイスフラン・ショック」のように、過去には思わぬ値動きをすることもありました。

今回は、スイスの通貨スイスフランの歴史と、外国為替市場に大きな混乱をもたらしたスイスフラン・ショックがどのようなものかを見てみましょう。

スイス連邦成立時から流通している通貨スイスフラン

フランスフランと連動した本位制を導入したスイスフラン

国家としての成り立ちは1200年代までさかのぼるとも言われるスイスが現在のような連邦国家として成立したのは、600年ほど時代が下った1848年の連邦憲法の制定です。このときに各地域(カントン)で発行されていた独自の通貨を統合した上で、1850年に法定通貨としてスイスフランが制定されました。

その後1865年にフランスとベルギー、イタリアからなるラテン通貨同盟に加わり、フランスフランに倣って銀本位制を導入していました。その後1876年にはフランスの金本位制採用に合わせて、スイスフランも金本位制に移行しますが、ラテン通貨同盟の加盟国であったベルギーが全ての通貨の品位を引き下げて補助通貨とすることを提案したことから、実質的には金銀複本位制として運用されていました。

「永世中立」をかかげて中立を維持

国是として「武装中立」を掲げるスイスは、20世紀前半に起きた2度の世界大戦でもどちらの陣営にも属さない「中立」を維持していましたが、その裏では両陣営の外交交渉や裏取引の舞台ともなりました。

また、スイス国内で営業している、いわゆるスイス銀行はその秘密主義から両陣営の資金を預かり、運用していることでも知られています。この秘密主義は2009年に発生したUBS問題によりアメリカに口座所有者の個人情報を提供するまで守られていたことから、「独裁者の金庫番」などとやゆされています。

「金(地金)よりも堅い」スイスフランとスイスフラン・ショック

国際社会での地位を背景に高い信頼を得るスイスフラン

武装中立という国是とスイス銀行の秘密主義を背景として、外国為替市場でのスイスフランの評価は高く、値動きも安定した通貨として知られています。ヨーロッパ統一通貨ユーロの誕生後も、「金(地金)よりも堅い」といわれるほど安定した通貨であり、外国為替市場での取引量は、米ドル(USD)・ユーロ(EUR)・日本円(JPY)・英ポンド(GBP)に次ぐ取引規模があることから、メジャーカレンシーの1つに数えられています。

また、国際決済通貨の1つに数えられるので、通貨が不安定な一部の国家では海外貿易の決済通貨としても利用されています。

通貨価値を維持するための「無制限介入」宣言

「金(地金)よりも堅い」と言われていたスイスフランですが、2008年のリーマン・ショックとその後の世界金融危機によりユーロ安スイス高の傾向が続いたことから、スイス国立銀行(SNB)は2011年に為替レートの上限を設定、その為替レートを目安とする無制限介入を宣言しました。

このような無制限介入を宣言した背景には、スイスの最大の貿易相手はユーロ圏であり、ユーロ安は相対的なスイス製品の価格上昇につながり、スイス経済に影響することが懸念されたからと言われています。

2015年1月に発生した「スイスフラン・ショック」

外国為替市場ではこの無制限介入の為替レートを目安とした取引が一般化していましたが、SNBが2015年1月15日に突如としてこの無制限介入の撤回したことで、スイスフランはユーロに対してわずか1日で40%を超える値上がりを記録するなど、外国為替市場に大混乱を招くこととなります。

FXトレーダーに深い傷跡を残したスイスフラン・ショック

スイスフラン・ショックはFXへの影響も大きく、ロスカットによるポジションの強制決済の多発とそれによる資金不足から、海外では有名証券会社でも事業停止や倒産に追い込まれるケースが発生しました。

国内FX会社ではスイスフランと関係の深い通貨を含む通貨ペアでロスカットが追い付かない「値飛び」が多数発生、追証を求められるケースが少なくなかったことで、裁判沙汰にまで発展するなど、やはり少なからぬ影響がありました。また、スイスフラン・ショックの影響により国内FX会社の統廃合も進んだことも特筆に値します。

おわりに

「金(地金)よりも堅い」とも言われるほど値動きが安定していたスイスフランですが、金融資産である以上、リスクがあることは忘れてはならないポイントです。

安全資産と呼ばれる通貨を取引するときには、リスク管理に注意した取引は欠かせないと言えるでしょう。

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