取引所取引「くりっく365」のメリットとデメリット

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1998年の外為法の改正により、為替銀行以外での為替取引が解禁されたことに伴い生まれた日本のFX市場ですが、誕生直後は様々なトラブルが発生しました。

このトラブルを受けて2005年にはじまったのが、それまでの店頭FXと異なる仕組みで為替取引を行う「取引所取引(くりっく365)」です。このくりっく365とはどのような仕組みなのでしょうか。また、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

今回はくりっく365のメリットとデメリットを見てみましょう。

 

くりっく365の特徴

そもそも、「取引所取引(くりっく365)」とは、どのような取引方法なのでしょうか。

2005年からはじまったくりっく365の最も大きな特徴としては、FXトレーダーとFX業者の間で取引が行われる店頭FXと異なり、指定された取引市場で取引が行われることがあげられます。

 

大まかな流れとしては、くりっく365の取り扱いがある業者が、取引所である東京金融取引所があらかじめ指定したメガバンクや大手証券会社といった「マーケットメイカー」と呼ばれる取引参加者が提示するレートに対して注文することで、FXトレーダーが注文した通貨ペアを取引する形になっています。

取引するときのレートは、複数のマーケットメイカーが提示する売り値と買い値の両方のレートの中から、買値と売値の両方でFXトレーダーにとって有利となるレートが採用されます。この方式は現物株式取引の「オークション方式」とは異なり、「マーケットメイク方式」と呼ばれています。

 

預かり証拠金は店頭FXで一般的となっている信託分離保全とは異なり、東京金融取引所で保全されています。

そのため仮に口座を開設したFX業者が破綻しても、持っているポジションが強制的に精算されたり証拠金が返還されないというトラブルに陥る可能性が低いことも特徴の1つです。

また、くりっく365を提供するためには東京金融取引所が定めた基準をクリアする必要があるため、監督官庁の許認可だけでサービスをはじめられる店頭FXに比べると、くりっく365を提供する業者は一部に限られます。

 

くりっく365のメリットとデメリット

店頭FXと比べると明快な制度設計がされているくりっく365ですが、相応にメリットとデメリットがあります。

「安心・透明・信頼」をうたい文句にしているくりっく365ですが、その取引高は店頭FXと比べると伸び悩んでいます。店頭FXとくりっく365の特徴を比較することで、その原因を探ってみましょう。

 

メリット

くりっく365のメリットとして最も大きいのは、店頭FXと違い取引の全ての過程が明らかにされているために店頭FXと比べると透明度の高い取引ができる点です。

くりっく365のマーケットメイカーに指定されているのは三菱東京UFJ銀行、野村證券、コメルツ銀行、バークレイズ銀行、ゴールドマンサックス証券とドイツ証券の6社であり、透明性の高い取引が実現しています。

 

くりっく365では店頭FXと同じように信託保全によりFXトレーダーからの預かり資産の保全を図っています。預かり資産の預託先は店頭FXのように信託保全契約を結んだ銀行ではなく、東京金融取引所が預かり元となっているため、店頭FXに比べると安全性が高いと言われているのがくりっく365の特徴と言えます。

 

デメリット

このように取引の透明性や資産保全の仕組みに関しては、くりっく365は店頭FXよりも優れているのがメリットと言えますが、これだけ確実な仕組みを構築するためにいくつかのデメリットも存在しています。

 

最も大きいデメリットとしては、スプレッドが存在しない代わりに一部の業者では取引手数料が発生することがあげられます。

店頭FXではFX業者が任意に売り値と買い値を設定できるため、取引ごとに発生する数銭のスプレッドから利益を得て手数料無料を実現しましたが、くりっく365では発生したスプレッドをFX業者の利益にできないため、取引手数料から利益を得ることが主流となっています。

現在では東京金融取引所から1取引ごとに100円の補助が出るためにくりっく365でも手数料無料とするFX業者が増えていますが、一部のFX業者では現在でも手数料を維持しています。

 

この他のデメリットとしては、取引できる通貨ペアが東京金融取引所での取り扱いがある通貨ペアに限られることや取引単位が1万通貨単位からに限られること、店頭FXと比べるとスプレッドが大きく設定されていることなどがあげられます。

 

また、2012年の税法改正によって店頭FXの課税内容もくりっく365の課税内容に一本化されて税金の面でのメリットがなくなったために、くりっく365は店頭FXに比べるとコスト面で不利になっています。

 

おわりに

くりっく365はサービス競争の激しい店頭FXと比べるとサービスの改善速度が早くないため、店頭FXと比べると使い勝手の悪い部分が目立つようになっています。

しかし2013年の取引手数料無料化に向けた補助制度の導入など、遅いながらも確実なサービス改善は続けています。

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