最近話題の「アルゴリズム取引」に代表される「HFT」とは何か

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最近の金融市場で急速に普及している取引方法の1つとして、システムトレードよりも更に高度な「アルゴリズム取引」に代表されるHFT(High Frequency Trade = 高頻度取引)があります。

HFTとはどのような取引方法なのでしょうか。このコラムでは、HFTの中でも代表的なアルゴリズム取引を中心に、その概要と為替市場への影響を見てみたいと思います。

 

「アルゴリズム取引」を含むHFTとはどのような取引方法なのか

そもそも「アルゴリズム取引」とは、どのような取引方法なのでしょうか。国内最大手の証券会社である野村證券が定義する「アルゴリズム取引」を引用してみましょう。

コンピューターシステムが株価や出来高などに応じて、自動的に株式売買注文のタイミングや数量を決めて注文を繰り返す取引のこと。具体的には、自らの取引によって株価が乱高下しないように売買注文を分散したり、また株価が割安と判断したタイミングで自動的に買い注文を出したりする。利用については、FXトレーダーが発注時に証券会社が提供する複数の執行ストラテジー(アルゴリズム)から、自分に合うものを選択する方法が一般的である。

機関投資家の売買注文については、従来から証券会社の電子取引執行システムを活用したダイレクト・マーケット・アクセス(DMA)により、取引所に直接、注文を自動執行する仕組みもあるが、アルゴリズム取引は、より有利な価格で約定できるための証券会社独自のノウハウをプログラミングとして盛り込んでいるのが特徴である。アルゴリズム取引は、当初は米国の機関投資家を中心に広まり、日本国内の機関投資家にも普及している。

野村證券 | アルゴリズム取引(証券用語解説集)

このように、アルゴリズム取引を含むHFT(High Frequency Trade = 高頻度取引)はごく一部の機関投資家が独占的に使える非常に高度な取引方法ということが分かります。

ではこのHFTには、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

 

アルゴリズム取引に代表されるHFTのメリットとデメリット

数瞬から数秒というごく短時間で膨大な取引をおこなうことで金融取引の主役に踊りでたHFTには、いくつかのメリットとデメリットが存在します。

 

HFTのメリットとしてあげられる要素はいくつかありますが、注目したいものとして取引のリスクとコストを軽減できることがあげられます。

 

その仕組み上、ごく短時間のうちに極めて大規模な取引をおこなうことで小さな利益を積みあげることで大きな利益を狙うHFTは、大口注文を繰り返すことによる市場への影響(マーケットインパクト)の低減や、取引のコンピューター化による人件費をはじめとする様々なコストの削減というメリットが期待できます。

また、ファンダメンタルな情報を判断材料として取引をすればより素早い取引が可能となり、機会損失を減らすことも期待できます。

 

このようなメリットに対して、HFTではいくつかのデメリットが表面化しています。

 

もっとも表面化しているデメリットとしては、システム開発などに関わる初期投資が極めて高額であり、資金に余裕のあるごく一部の機関投資家やヘッジファンドにしか使えないことがあげられます。

また、全ての取引をプログラムに従っておこなうため、プログラムにエラーがあり意図しない取引がおこなわれると、FXトレーダーに大きな損失をもたらすだけではなく、金融市場への影響も極めて大きくなると予想されています。

 

このようなデメリットのほかに、HFTを使わない機関投資家や規制を定める金融当局から特に問題視されているのが、「瞬間暴落(フラッシュクラッシュ)」です。

 

HFTが引き起こす「フラッシュクラッシュ」とは何か

「瞬間暴落」とも訳されるフラッシュクラッシュは、HFTの浸透が先行している株式市場で発生するようになった数分の間での暴落と急騰のことを言います。

もっとも知られている事例では、2010年5月6日にニューヨーク株式市場で発生した、2時40分から2時47分という10分にも満たない時間でNYダウ平均が1,000ドル近くも下落と回復するという、典型的なフラッシュクラッシュが起こりました。

この事例ではHFTそのものが主な原因ではないとされたものの、ここまで短時間で急激な下落を招いた大きな要因であるとされました。

フラッシュクラッシュはこの事例の前後にも何度か発生しましたが、そのたびにHFTは疑いの目を向けられることとなります。

 

このような状況を受けて、2014年にはヨーロッパでHFTへの規制が導入されたのを皮切りに、アメリカでも規制の導入が検討されていると伝えられていますが、日本では2015年9月に更新されたシステムの安定性を理由として、現時点での規制の導入は検討していないと言われています。

 

このように株式市場に大きな影響を与えたHFTですが、既に為替市場の取引の主役として、全体の取引高の大きな部分を占めているとも言われています。

株式以上に短期間で大きく値動きする為替を取引するだけでなく、レバレッジを掛けた取引が基本となるFXでは、仮に外国為替市場でフラッシュクラッシュが起きれば、その影響が株式市場のものよりも大きなものとなるのは避けられないと考えておくべきでしょう。

 

おわりに

ここまで駆け足ですがアルゴリズム取引に代表されるHFTの仕組みと、その影響について見てきました。

HFTは個人で太刀打ちできるような仕組みではなく、HFTの引き起こす市場の急変を活かした取引はリスクが大きすぎると言えるため、基本に忠実に資金管理とリスク管理を厳格におこなった取引を心がけることが取引を続けるための肝と言えそうです。

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