アメリカの金融政策を決定する「FRB」と「FOMC」とはなにか

FRBとFOMC_アイキャッチ

2015年12月末にアメリカの量的緩和政策(QE)のうち、フェデラルファンド金利(FF金利)を事実上ゼロとする「ゼロ金利政策」の解除が発表されました。これは、アメリカの中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)が開催する連邦公開市場委員会(FOMC)で決定されました。

今回は世界経済に大きな影響を与えるアメリカ中央銀行制度である「連邦準備制度(FRS)」と、FRSを構成する連邦準備制度理事会(FRB)と連邦準備銀行(FRB)、連邦公開市場委員会(FOMC)の3つの機関の役割を見てみましょう。

アメリカの「連邦準備制度(FRS)」を構成する3つの機関

アメリカの中央銀行にあたる「連邦準備制度理事会(FRB)」

連邦準備制度理事会(FRB)は、アメリカの中央銀行制度である連邦準備制度(FRS)の最高意思決定機関(中核機関)です。FRBの本部はアメリカの首都であるワシントンD.C.に置かれ、7名の理事(うち議長1名、副議長1名)によって構成されています。

FRBの主な業務は、公開市場操作を含む金融政策の決定をはじめ、地区連邦準備銀行の統括・監督、市中銀行に対する支払準備率の設定、地区連邦準備銀行が設定する割引率(公定歩合)の審査・決定などあります。

FRBの決定に基づいて実際の金融業務を担当するのが全米に12行ある地区連邦準備銀行(FRB)であり、FRBの金融政策を決定するのが連邦公開市場委員会(FOMC)です。

連邦準備制度(FRS)の業務を担当する「連邦準備銀行(FRB)」

連邦準備銀行 (FRB) は、公開市場操作以外のFRSの業務や連邦準備券(ドル紙幣)の発行を実施する、連邦準備制度の要となる銀行です。連邦準備銀行は全米で12行あり、第2地区を担当するニューヨーク連邦準備銀行が中心的な役割を果たしています。

  • 第1地区:ボストン連邦準備銀行(Federal Reserve Bank of Boston)
  • 第2地区:ニューヨーク連邦準備銀行(Federal Reserve Bank of New York)
  • 第3地区:フィラデルフィア連邦準備銀行(Federal Reserve Bank of Philadelphia)
  • 第4地区:クリーブランド連邦準備銀行(Federal Reserve Bank of Cleveland)
  • 第5地区:リッチモンド連邦準備銀行(Federal Reserve Bank of Richmond)
  • 第6地区:アトランタ連邦準備銀行 (Federal Reserve Bank of Atlanta)
  • 第7地区:シカゴ連邦準備銀行(Federal Reserve Bank of Chicago)
  • 第8地区:セントルイス連邦準備銀行(Federal Reserve Bank of St. Louis)
  • 第9地区:ミネアポリス連邦準備銀行(Federal Reserve Bank of Minneapolis)
  • 第10地区:カンザスシティ連邦準備銀行(Federal Reserve Bank of Kansas City)
  • 第11地区:ダラス連邦準備銀行 (Federal Reserve Bank of Dallas)
  • 第12地区:サンフランシスコ連邦準備銀行(Federal Reserve Bank of San Francisco)
地区連邦準備銀行の一覧

引用:連邦準備制度 - Wikipedia

金融政策を決定する「連邦公開市場委員会(FOMC)」

連邦公開市場委員会(FOMC)とは、FRBが定期的に開催する金融政策の最高意思決定会合(機関)であり、アメリカの金融政策を決定するため、アメリカだけではなく各国の金利や政策方針などにも大きな影響を与える重要な会合として注目を集めます。

FOMC委員長はFRB議長、副委員長はニューヨーク連邦準備銀行総裁が務めます。委員長・副委員長以外の委員は、FRBの理事全員とニューヨーク連邦準備銀行を除く、11の連邦準備銀行総裁から選ばれた4名が1年ごとの持ち回りで正規委員として参加します。この他に委員ではない連邦準備銀行総裁7名も会議に参加できますが、この7名は議決権を持ちません。

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景況報告・経済報告に基づいて金融政策を決定するFOMC

「ベージュブック」を参考に金融政策を決定するFOMC

FOMCは約6週間ごと年8回の定例開催を基本に、必要に応じて随時開催され、景況報告(ベージュブック)や経済報告(グリーンブック)に基づいて金融政策を議論します。メンバーの多数決(投票)により、フェデラルファンド金利(FF金利)の誘導目標や景況判断、今後の政策方針などを決定します。FF金利の変更は金利のみならず、マーケットにも大きな影響を与えるため、FF金利の誘導目標は特に高い注目を集めます。

政策の内容を発表する声明文はFOMC開催最終日(アメリカ東部標準時間午後2時15分頃)、議論の推移をまとめた議事要旨は政策決定日(FOMC開催最終日)の3週間後に公表され、これらも重要な材料として注目を集めます。

外国為替市場に大きく影響する会合の決定

アメリカ経済の方向性を左右するFOMCですが、その決定は外国為替市場にどのような影響を与えるのでしょうか。

金利引き上げは一般的に景気引き締めと通貨価値の引き上げを狙う金融政策であり、金利引き下げやゼロ金利は景気拡大と通貨価値引き下げを狙う金融政策です。金利引き上げではドル安、金利引き上げではドル高が大まかな方向性となります。

世界金融危機とFRBの採用した「量的緩和政策(QE)」

アメリカ経済の景気後退とFRBの量的緩和政策

2007年のサブプライム危機から2008年のリーマンショックと世界金融危機により、それまで好調だったアメリカは急激な景気後退に見舞われます。これに対してFRBは、中央銀行として大規模な資産買い入れを進めて市中に流通するお金の量を増やす「量的緩和政策(QE)」の採用に踏み切りました。

   

緊急対応として導入されたQE1とQE2

結果として3回に分けて導入されるQEは、導入時期によってQE1とQE2、QE3と呼び分けられ、その目的や内容はそれぞれ異なります。

QE1はサブプライム危機とその後の世界金融危機への緊急対応として導入され、総額約1兆7,250億ドルが投入され、2010年に導入されたQE2では約6,000億ドルが費やされました。

アメリカの景気回復を確固としたものにするQE3

QE1とQE2に続いて2012年に導入されたQE3は、緊急対応としての側面が強かった従来のQEとは違い、アメリカの景気回復を確実なものにするために導入されました。

QE3では市場から住宅ローン担保証券(MBS)の月額400億ドル規模での買い取りと事実上のゼロ金利政策の延長による2本柱ではじまり、のちに長期国債の買い入れも含めた3本柱となります。FRBはQE3をインフレ率が抑制されている限り無制限に継続し、さらなる追加緩和の可能性を明言するなど、「雇用の最大化」と「物価の安定」という目標達成のため、積極的な姿勢を打ち出しました。

QEの終了と緩和逓減(テーパリング)・利上げ

アメリカの景気回復を目的として導入されたQE3ですが、導入から1年が経った2013年末から緩和逓減(テーパリング)に踏み切ります。テーパリングではFOMC会合ごとに毎月の資産購入金額をそれぞれ50億ドルずつ減額することで進められ、2014年10月にはQE3が終了しました。

しかし、これまでのQEでFRBが買い入れた資産は再投資などにより維持されていることから、膨らんだバランスシートをどう管理するかや、事実上のゼロ金利政策が導入された政策金利(FFレート)をどのように引き上げるかが注目されています。

おわりに

世界の国内総生産(GDP)の半分を占めるアメリカの中央銀行制度である連邦準備制度(FRS)と、FRSを構成する連邦準備制度理事会(FRB)と連邦公開市場委員会(FOMC)は、アメリカ経済の先行きを左右することから、その動向に大きな注目が集まります。

特にFOMCで決定されるFF金利はアメリカの景気のバロメーターとなるため、その内容は外国為替市場にも影響することは珍しくありません。FOMC会合の前後には、その内容には要注目と言えそうです。

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