知っておきたい「為替操作」と「為替介入」の違いを徹底解説!

知っておきたい「為替操作」と「為替介入」の違いを徹底解説!

就任から1カ月足らずで相次ぐ大統領令により強烈な政策を次々と打ち出すトランプ大統領。その矛先はアメリカの貿易相手国の通貨政策にも向かい、同盟国である日本も非難の対象となっています。

一連の騒動の中で注目された言葉の一つに、「為替操作」と「為替介入」があります。良く似たこの二つの言葉にはどのような違いがあるのでしょうか。今回は、為替操作と為替介入の違いがどのようなものなのかを見てみましょう。

トランプ大統領の「為替操作」の主張と日本の反論

毎回物議をかもすトランプ大統領の発言ですが、日本の為替政策への批判はどのような文脈でおこなわれ、日本政府はどのように対応したのか、時事通信の報道から引用して見てみましょう。

トランプ米大統領は31日、ホワイトハウスでの医薬品大手トップらとの会談で「他国は通貨安誘導に依存している。中国は行っているし、日本は何年も行ってきた」と語り、日中の為替政策を批判した。

(中略)

トランプ氏は「他国は通貨安を享受し、米国がばかを見ている」「他国は通貨安や通貨供給量で有利な立場を取っている」と主張し、円安・ドル高基調を批判。日銀などが量的金融緩和を実施し、市場に大量の資金を供給していることにも不満をにじませた。

(後略)

引用:「円安誘導意図せず」と反論=為替変動を注視-菅長官:時事ドットコム

菅義偉官房長官は1日午前の記者会見で、トランプ米大統領が日本の為替政策を批判したことについて「全く当たらない。(日銀による)金融緩和は物価安定目標に向けられたもので、円安誘導を意図したものではない」と反論した。

(後略)

引用:「日本は円安誘導」=トランプ氏、為替政策批判-日銀緩和も不満?:時事ドットコム

外国為替市場を不当に操る?「為替操作国」とは

今回の発言を理由に「トランプ大統領が日本を為替操作国に認定」とタイトルを出す記事もありましたが、そもそも「為替操作国」とはどのようなものでしょうか。その違いを見てみましょう。

アメリカ財務省の「為替政策報告書」が決める為替操作国

「為替操作国」とは、毎年4月と10月にアメリカ財務省が議会に提出する各国の為替政策をまとめた「為替政策報告書」にもとづいて認定される、外国為替市場を不当に操作していると議会に認定された国のことを言います。

為替操作国と認定された国はアメリカとの貿易が一方的に有利になると考えられているため、アメリカは為替操作国に認定した国に対して、二国間協議や輸入関税の制裁により為替レートの切り上げを要求できるとしています。

過去の認定事例

貿易摩擦が激しかった1980年代から1990年代にかけて、アメリカに対する貿易不均衡が起きていた中華人民共和国(中国)や中華民国(台湾)、韓国が為替操作国として認定されたことがありますが、1994年を最後に為替操作国に認定されている国はありません。

現状は複数国が「監視リスト」入り

現在、為替操作国と認定されている国はありませんが、アメリカ財務省は2016年4月に為替政策報告書とは別に「為替監視リスト」を発表しました。このリストでは中国や台湾、韓国と並んで日本とドイツを監視対象に含め、為替介入に対する警戒感を強めています。

「為替操作」と「為替介入」では何が違う?

このようにアメリカが一方的に認定するのが、「為替操作」と「為替操作国」の特徴です。しかし通貨当局が外国為替市場に介入する「外国為替平衡操作(為替介入)」が知られています。

通貨当局による「外国為替平衡操作(為替介入)」

「為替介入」とは、外国為替市場の値動きが激しいときに、安定化を目的として通貨当局が主体となる売買(介入)のことを言います。

日本では財務大臣の権限において実施され、実施の判断や時期、金額などの決定は財務大臣がおこない、財務大臣の代理人として日本銀行が実際の介入をおこないます。

複数の国が同時に介入をおこなう「協調介入」

1国による為替介入とは別に、外国為替市場の値動きで世界経済が混乱することを防ぐことを目的として、先進国を中心に複数の国々が協調して為替介入をおこなうことがあります。

このような為替介入は「協調介入」として知られ、明確なアナウンスの下で数カ国同時に為替市場に介入するため、単独介入に比べて効果が大きいことで知られていますが、その影響の大きさから実施されたのはごく限られた回数にとどまります。

アメリカの財務省と議会が決める?「為替操作」と「為替介入」

このように為替操作と為替介入は、行為の内容自体は全く同じものであり、違いとなるのはアメリカ財務省と議会がどのように判断するかという点だけです。

そのため、その時々の大統領や政権、相手国との関係によって為替操作と為替介入は意図的に操作されることは珍しくありません。現に、一部の国を対象に新たに監視リストを設けてリスト入りさせるなど、これまでとは異なる関わりをはじめています。

おわりに

トランプ大統領の発言により注目を集めた「為替操作」と「為替介入」、詳しく見るとその内容は全くといっていいほど同じものであり、アメリカの対応次第であることが見えてきました。

これまでと同様、トランプ大統領の発言は即座に火消しされたことで影響はなかったものの、対応を誤ると大きな禍根を残しかねない認識があることが明らかになりました。

今後のトランプ大統領の発言には、良くも悪くも注目と言えそうです。

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