知っておきたい「為替操作」と「為替介入」の違いを徹底解説!

知っておきたい「為替操作」と「為替介入」の違いを徹底解説!

2017年1月の就任から1カ月足らずでインパクトの強い政策を相次いで打ち出しているアメリカのトランプ大統領。その矛先はアメリカの貿易相手国の通貨政策にも向かい、日本も非難の対象となっています。

一連の騒動の中で注目を集めた言葉の1つに、「為替操作」と「為替介入」があります。この2つの言葉にはどのような違いがあるのでしょうか。

今回は、アメリカの政府と議会が認定する「為替操作」と、「為替介入」の違いがどのようなものかを見てみましょう。

トランプ政権ではじめての為替報告書の内容

為替操作国認定はなかったものの6つの国と地域が監視リスト入り

トランプ政権下ではじめての為替報告書では、アメリカの主要貿易相手国と地域のうち、為替操作国と認定する3つの基準すべてに抵触した国と地域はなかったものの、2つの基準に抵触した日本、ドイツ、韓国、スイスの4か国と、巨額の黒字を計上している中国・台湾の、6つの国と地域が監視対象国に指定されています。

日本は2項目が基準に抵触

日本は、貿易収支と経常収支、為替介入の有無の3つの基準のうち、貿易収支と経常収支の2項目が基準に抵触。中国と台湾は、基準に抵触した項目は1項目だったものの、規模が他の国に比べて大きかったことから、監視対象国に加えられています。

アメリカが認定する「為替操作国」の仕組み

アメリカ財務省が議会に提出する「為替報告書」に基づいて認定

為替操作国とはアメリカ財務省年に2回アメリカ連邦議会に提出している「アメリカの主要貿易相手国の外国為替政策に関する報告書(為替報告書)」に基づいて認定されます。為替操作国に認定されると、アメリカとの二国間協議による通貨切り上げ要求や、必要に応じて特定の製品が関税制裁の対象になります。

為替操作国に認定するための3つの基準

このようにアメリカ財務省が提出した為替報告書に基づいてアメリカ議会が認定する為替操作国は、特定の条件を満たした国を対象としています。

為替操作国に認定される条件としては、

  • 貿易収支(年間の対米貿易黒字額が200億ドル超)
  • 経常収支(経常収支の黒字が対GDP比で3%超)
  • 為替介入(継続的な為替介入による一方的な外貨の買い入れがGDPの2%以上など)

の3つ全てに抵触していることがあげられます。

2016年4月から「監視リスト」が公表されている

1980年代から1990年代にかけて、中国や台湾、韓国が為替操作国に認定されていましたが、1994年を最後に為替操作国として認定された国や地域はありません。

しかし、2016年4月の報告書から、「為替操作の疑いのある国と地域を明確化して監視するため」として、操作国認定よりも緩い「監視リスト」が公表されています。

なにが違う?「為替操作」と「為替介入」

通貨当局が外国為替市場に介入する「為替介入」

外国為替市場介入(為替介入)は正式名称を「外国為替平衡操作」といい、通貨当局が為替相場の急激な変動を抑え、その安定化を図ることを目的に外国為替市場で通貨の売買をすることです。

日本では財務大臣の権限において実施することとされており、実施の決断やタイミング、介入金額などの決定は財務大臣の職務です。実際に介入を実施するのは中央銀行である日本銀行であり、外国為替資金特別会計法および日本銀行法に基づき、財務大臣の指示に基づいて実際の介入を担当しています。

アメリカ議会の認定によって分けられる「操作」と「介入」

このように為替操作と為替介入は、政府や中央銀行が自国通貨を貿易に有利になるように外国為替市場に介入するという内容自体は全く同じものといえます。違うのはアメリカ議会がどのように判断するかという点だけです。

このようなことから、大統領や政権、相手国との関係によっては、特定の国や地域を為替操作国に認定したり、新たに監視リストを設けてよりゆるやかな監視の対象とするなど、アメリカの都合に大きく影響されるのが為替操作の特徴と言えます。

おわりに

トランプ大統領の発言により注目を集めた「為替操作」と「為替介入」はその内容を見るとほぼ同じであり、為替操作として認められるかはアメリカの対応次第であることがうかがえます。

「アメリカ・ファースト」「強いアメリカの復活」を掲げるトランプ政権では、これまでとは異なった金融・経済政策が導入されると予想されているため、その発言の内容には歴代アメリカ大統領以上に要注目と言えそうです。

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