確定申告間近。知っておきたい仮想通貨にかかる税金と節税方法

確定申告間近。知っておきたい仮想通貨にかかる税金と節税方法

2017年度(平成29年)の税制改正のうち、特に注目を集めたのが、仮想通貨の税制上の取り扱いです。国税庁はこれまで、サイト上のQ&A(タックスアンサー)で「ビットコイン」の取引を例に方針を明らかにしてきましたが、一連の回答をまとめた「仮想通貨に関する所得の計算方法等について(リンク先PDF)」が公表されました。

今回は、公表された仮想通貨取引の税制のポイントがどのようなものかを見てみましょう。

9つのポイントで分けられた税制上のポイント

仮想通貨の売却は差額が所得とする

保有する仮想通貨を売却(日本円に換金)した際の所得の計算方法は、保有する仮想通貨を売却(日本円に換金)したとき、売却価額と仮想通貨の取得価額との差額が所得金額となります。

商品の購入も差額が所得となる

仮想通貨は商品の購入にも利用できますが、商品を購入するときの商品価格と仮想通貨の取得価格に差があると所得とみなされて課税対象に含まれます。

仮想通貨と仮想通貨の交換も差額が所得扱い

また、仮想通貨と仮想通貨の交換をする場合も例示されていて、保有している仮想通貨と購入する仮想通貨の差額が所得金額として計算されます。

仮想通貨の取得価額は移動平均法で求める

所得価格の算出に欠かせない取得価格の求め方は、ほかの金融商品と同様に「移動平均法」が基本ですが、継続して運用をするのであれば、総平均法の利用も認められています。

分裂・分岐(ハードフォーク)で得た分は取引するまで無価値

ビットコインからビットコインキャッシュ、ビットコインゴールドが誕生したように、近年では仮想通貨の分裂・分岐(ハードフォーク)が広まりつつあります。

保有する仮想通貨がハードフォークするときには、分裂した仮想通貨の取引相場が発生していないので、ハードフォークした仮想通貨を売却または使用したときに所得が発生すると考えられます。なお、このときの取得価格は0円として計算します。

基本は雑所得になる仮想通貨の所得区分

仮想通貨を使用することによる損益は、原則として雑所得に区分されます。例外として、事業所得者が事業用資産として仮想通貨を保有して決済手段として使用しているときや、客観的に仮想通貨取引が事業として成立していると認められたときは事業所得の区分になります。

損失が生じても損益通算はできない

現在の税法では、雑所得の金額の計算上生じた損失については、雑所得以外の所得と通算することはできないため、仮想通貨の取引で損失があっても他の所得と通算することはできません。

仮想通貨の証拠金取引の所得は総合課税の対象

仮想通貨が絡む取引の中でも最近注目を集めているのが、レバレッジをかけて取引する「仮想通貨証拠金取引(仮想通貨FX)」です。

外国為替市場で流通している通貨を使った外国為替証拠金取引(FX)は度重なる税制改正により「申告分離課税」の対象となりましたが、仮想通貨FXは現時点では総合課税の対象であり、不利な面が大きくなっています。

仮想通貨のマイニングで得た部分はどうなる?

仮想通貨は取引以外にも「採掘(マイニング)」が注目を集めています。このマイニングで仮想通貨を取得したとき、その所得は、収入金額から必要経費気を差し引いた利益部分が、通常の取引と同じように取引の形態に応じて事業所得か雑所得の対象となります。

仮想通貨取引にかかる税金と税率の内容は?

所得税は累進課税により最大45%

ここまで見てきたように、仮想通貨の取引で発生した所得は雑所得として扱われ、総合課税の対象となります。雑所得にかかる所得税率は適宜改定されていますが、2017年12月時点の税率を見てみましょう。

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

出典:No.2260 所得税の税率|所得税|国税庁

さらに10%の住民税がかかる

所得税率だけでもかなりの高率ですが、さらに住民税が上乗せされます。住民税は市町村税6%と都道府県税4%を合わせた10%がかかります。

仮想通貨取引にかかる税率は最大55%

このように、仮想通貨取引で得た所得が4,000万円を超えると、仮想通貨の取引で得た利益にかかる税率は最大55%(所得税45%と住民税10%)になります。

これだけ高い割合の所得税率がかかるため、値動きの激しい仮想通貨取引では、利益確定のタイミングを間違えれば取引を続けられないほどの負担になることが心配されます。

知っておきたい確定申告の基本的な節税手段

確定申告の対象とならない範囲で利益確定をする

このような高額の納税を避けるためには、どのような方法があるのでしょうか。もっとも簡単で確実な手段としては、課税対象とならない範囲で利益確定を進めることです。

年末調整済みの給与所得がある人で、仮想通貨の取引による利益が20万円を超えなければ確定申告は必要ありません。2017年12月時点の1ビットコインは100万円を超えているため、取引をはじめた時期によってはこの上限を簡単に超えてしまいます。

必要経費と相殺して見かけの利益を減らす

そこで検討したいのが、経費と相殺することで見かけの利益を減らして、課税対象となる利益を減らすことです。

必要経費には取引に使ったパソコンやスマートフォンの購入代金や電気代、取引の参考となった書籍やセミナーの参加費用などを含むことができます。しかし、税務署や税務官によって経費として認められるかは微妙に異なるため、経費として計上する品目には注意が必要です。

おわりに

本格的に仮想通貨取引が広がったことで、取引にかかる税率の方針が明らかになりましたが、現時点ではまとまった利益が出るほど高い税率がかかる不利な税制です。

FXも当初は投資家に不利な内容でしたが、取引参加者や取引高の増加に合わせて見直しが進められ、現在の税制となりました。仮想通貨に関する税制も、今後の改善は期待できるといえそうです。

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