日本の金融政策を決定する日本銀行の「金融政策決定会合」とは

日本の金融政策を決定する日本銀行の「金融政策決定会合」とは

日本の中央銀行である「日本銀行(日銀)」の最高意思決定機関である「政策委員会会合」のうち特に注目されるのが、金融政策の運営に関する事項を審議・決定する「金融政策決定会合」です。

アベノミクスがかかげる「2%の物価目標の達成」実現のために、さまざまな金融政策を進めている「金融政策決定会合」の仕組みと、アベノミクスの下で導入された一連の金融政策を見てみましょう。

日本銀行の金融政策を決定する「金融政策決定会合」とは

「政策委員会」から9名が選出される構成メンバー

金融政策決定会合は、日本銀行が定期的に開催している政策委員会のうち、金融政策の方針を決定する会合であり、年に8回、2日間かけて集中審議が実施されます。会合は総裁と2名の副総裁、6名の審議委員で構成される9名の政策委員の議決にかけられ、議論は多数決で決定します。

開催日程と開催予定日の公表

金融政策決定会合は2日間の日程で年8回開催され、前年の中頃に翌年の会合予定が発表されるのが通例です。政策委員会議長(現在の議長は総裁)が定期的に招集すると定められていますが、議長が必要と認めるときや、政策委員会のメンバーの3分の1以上が必要と認めて議長に招集を求めたときには、臨時に開催することも可能です。

金融政策決定会合で議論される内容

金融政策決定会合では、今後の金融政策の方針や内容を決定する「金融市場調節方針」、具体的な行動となる「基準割引率」、「基準貸付利率」および「預金準備率」の決定、(3)オペレーションにかかる手形や債券の種類や条件、担保の種類などの「金融政策手段」、経済・金融情勢に関する基本的見解などが議論の対象となります。

決定内容と主な意見、議事要旨・議事録の公表

会合終了後はその会合の決定内容を、変更の有無にかかわらず直ちに公表されます。また、会合中の委員の意見を取りまとめは「主な意見」として、原則として会合の6営業日後に公表され、会合の内容を要約した議事要旨は次回の決定会合で承認を受けてから3営業日後に公表されます。

議事要旨とは別に議員の発言をまとめた議事録も作成されていますが、議事録の公開は会合開催から10年が経過してからとなります。

「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」の公表

年8回開催される政策委員会・金融政策決定会合のうち、1月・4月・7月・10月の年4回では、経済・物価見通しや上振れ・下振れ要因を詳しく点検し、金融政策運営の考え方を整理した「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)を決定・公表しています。展望レポートは日銀が現在の経済状況をどう捉えているかを知るための重要な材料であり、その内容は市場関係者からの注目を集めます。

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2013年4月に導入された「量的・質的金融緩和」

前任の白川方明(しらかわ・まさあき)総裁の後を継いで日銀総裁に就任した黒田東彦(くろだ・はるひこ)総裁は、就任早々に安倍政権の進める金融政策「アベノミクス」と歩調を合わせた金融政策の導入を明言。「量的・質的金融緩和」として大々的に発表しました。

量的・質的金融緩和は、

  • マネタリーベース・コントロールの採用
  • 長期国債の買い入れ拡大と年限長期化
  • 上場投資信託(ETF)・不動産投資信託(J-REIT)の買い入れ拡大

の3つからなり、金融市場に強力にはたらきかけることでデフレマインドの払しょくを狙った金融政策として導入されました。

その後、2014年10月と2015年12月の金融政策決定会合では、マネタリーペースの増加額と長期国債の保有残高の拡大、国債の平均残存期間を3年程度延長、さらに資産買い入れの拡大を中心とする「追加緩和」が相次いで実施されました。

更なる緩和を狙う「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」

相次いだ追加緩和に続いて注目を集めたのが、2016年1月の「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」です。

マイナス金利付き量的・質的金融緩和では、従来の量的・質的金融緩和に上乗せして金融機関が保有する日本銀行の当座預金(導入時点で残高260兆円)の政策金利残高(導入時点で約10兆円)に対して、0.1%のマイナス金利を適用するのが「マイナス金利政策」の導入が目玉です。

市中銀行が日銀に預けている預金を流通させることを目的としたマイナス金利政策の導入でしたが、ネガティブなインパクトのほうが強い政策導入となりました。

金利操作に踏みこんだ「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」

マイナス金利付き量的・質的金融緩和の導入後、さらなる金融緩和として導入されたのが「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」です。

これは、短期金利と長期金利にそれぞれ目標金利を設定する「イールドカーブ・コントロール」と、生鮮食品を除く消費者物価指数の前年比上昇率の実績値が、安定的に2%を超えるまでマネタリーベースの拡大方針を継続を表明した「オーバーシュート型コミットメント」からなります。

2年程度を目標としていた2%の物価目標の達成時期を明示しなくなったことや実施する内容の複雑化により、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」は、さらにネガティブなインパクトが強い政策導入となっています。

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おわりに

日本の金融政策を左右する日本銀行(日銀)の金融政策決定会合は、アベノミクスと歩調を合わせる黒田東彦(くろだ・はるひこ)総裁の就任により、これまでとは性格が異なる金融政策を矢継ぎ早に導入しています。

今後も導入される金融政策には、その影響も含めて要注目と言えそうです。

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