現在の為替制度の主流となる「変動為替相場制」を徹底解説

現在の為替制度の主流。「変動為替相場制」の仕組みと特徴とは

FX(外国為替証拠金取引)で取引される通貨のほとんどは、「変動為替相場制」を採用している国の通貨ですが、「変動為替相場制を説明してください」と言われると、ほとんどの人は答えにつまるのではないでしょうか。

今回は戦後の国際金融の変化に合わせて導入された変動為替相場制の概要と、メリット・デメリットについて見てみましょう。

変動為替相場制の導入にいたるまでの歴史

変動為替相場制の導入の経緯を知るためには、第2時世界大戦後の国際金融の移り変わりを追うことが欠かせません。第2次世界大戦終結から変動為替相場制の導入までの歴史を見てみましょう。

「ブレトン・ウッズ体制」と戦後国際金融

第2次世界大戦終結も間近な1944年、アメリカ・ニュージャージー州ブレトン・ウッズに連合国44カ国の代表が集まり、第2次世界大戦が終わったあとの国際通貨体制に関する様々な取り決めをおこないました。

この会議は開催場所の名前から「ブレトン・ウッズ会議」と呼ばれ、決定された取り決めに基づく戦後の国際通貨体制は「ブレトン・ウッズ体制」と呼ばれることとなります。

ブレトン・ウッズ体制の特徴のもっとも重要なものとして、ドルを基軸通貨とした上で金1オンス(28.3495グラム)を35米ドルと定め、ドルに対して各国通貨の交換比率(為替レート)を定めた「金本位制(固定相場制度)」の導入があげられます。

自由で多角的な世界貿易体制をつくるため、為替相場の安定を目指して導入された固定相場制度には、国際社会に復帰した日本も参加、戦後長らく1ドル = 360円の固定レートが維持されることとなります。

「ニクソン・ショック」と変動為替相場制

固定相場制度の開始当初は、国際社会に対してアメリカの経済力が圧倒的に大きく、ドルが流出する固定相場制度でも大きな問題はありませんでした。

しかし日本や西欧各国が戦後復興から経済成長を成し遂げたことでアメリカの手持ちのドルが海外へ流出して国際収支が赤字になる「流動性のジレンマ」に悩まされるようになります。

さらに1960年代のベトナム戦争への介入をきっかけに、アメリカの財政赤字とインフレを原因とするドル不安がささやかれ、金・ドル本位制の維持が困難となりました。

その不安が最高潮に達した1971年、アメリカにとって一番望ましいかたちでドルを切り下げられるよう、ドル・金ないし他の準備金との交換を一時停止することを発表します(ニクソン・ショック)。

ニクソン・ショックにより金本位制に基づいた固定相場制は崩壊、新しい為替レートで固定相場制の維持を図ったスミソニアン体制が構築されましたが、スミソニアン体制も数年足らずで崩壊したことで各国は変動為替相場制の導入に走ります。

最終的に1976年1月に開催されたIMF(International Monetary Fund = 国際通貨基金)暫定委員会で変動相場を基本とする外国為替市場は「キングストン体制」として承認され、現在の外国為替市場の基本的な仕組みができあがりました。

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変動為替相場制の特徴とメリット・デメリット

このような経緯を経て現在の外国為替市場の基本として導入された変動為替相場制とはどのような仕組みであり、メリットやデメリットがあるのでしょうか。

需要と供給に左右される変動為替相場制の基本

フロートあるいはフロート制とも呼ばれる変動相場制は、為替レートを外国為替市場における外貨の需要と供給の関係に任せて自由に決める仕組みとして知られています。

変動為替相場制では、外国為替市場で外国通貨を対価とする自国通貨の売りが増えれば自国通貨の対外価値は下がり(通貨安)、逆に外国通貨の売りが増えれば自国通貨の対外価値が上昇(通貨高)することで知られています。

メリット…「自由な資本移動」と「独立した金融政策」の確保

変動為替相場制を導入することで生じるメリットはいくつかありますが、「国際金融のトリレンマ」仮説により、「為替相場の安定」を放棄するかわりに「自由な資本移動」と「独立した金融政策」を確保することで金融政策の自由度が極めて大きくなることがあげられます。

「独立した金融政策」は、中央銀行が独立した金融政策の権限を持つことが経済安定につながると考えられている現在では重要な要素であり、「自由な資本移動」が保証されている限り、固定相場制度と比べて外需の拡大がしやすいとされていることもメリットの一つとして数えられます。

デメリット…為替レートの急変リスク

このように資本主義社会の仕組みに合致した変動為替相場制ですが、いくつかのデメリットもあります。

そのもっとも大きなものとしては、「自由な資本移動」ができるために貿易環境や資本移動が安定していないことや、為替レートの決定を完全に需給に任せていることで外部要因による為替レートの急変リスクが無視できないことがあげられます。

各国政府や中央銀行では、為替レートの変動をゆるやかにするために様々な規制や市場への直接介入を度々おこなっていますが、「国際金融のトリレンマ」にとらわれて実効性のある為替政策の実施に苦労しているのが実情です。

おわりに

1971年のニクソン・ショックをきっかけとして変動為替相場制を導入する国が圧倒的に主流であり、わずかに残る固定相場制度を採用している国も、徐々に変動為替相場制に移行しています。

最近では中国が管理フロート制と通貨バスケット制を組み合わせた変則的な変動為替相場制に移行するなど、今後も為替制度の動向には要注目と言えるでしょう。

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