現在の為替制度の主流。「変動相場制」の仕組みとは

現在の為替制度の主流。「変動相場制」の仕組みとは

外国為替証拠金取引(FX)で取引される通貨は外国為替市場で取引されている通貨であり、さまざまな利用により時々刻々と値動きをする「変動相場制」を導入している通貨がほとんどです。

日常生活や普段の取引では意識する機会がない変動相場制ですが、その成り立ちと導入の経緯を知っておくことは取引のプラスにもなります。

今回は誕生から半世紀足らずの変動相場制の概要と、メリット・デメリットについて見てみましょう。

変動相場制の導入にいたるまでの歴史

変動相場制の導入の経緯を知るためには、国際金融の移り変わりを追うことが欠かせません。その歴史を大まかに追いかけてみましょう。

「ブレトン・ウッズ体制」と戦後国際金融

1944年(昭和19年)、アメリカ・ニュージャージー州ブレトン・ウッズに連合国44カ国の代表が集まり、第2次世界対戦後の国際通貨体制に関する会議(連合国通貨金融会議)を開催しました。

この会議は開催場所から「ブレトン・ウッズ会議」と呼ばれ、取り決めにもとづいた戦後の国際通貨体制は「ブレトン・ウッズ体制」と名付けられます。

ブレトン・ウッズ体制の特徴はいくつかありますが、もっとも重要なものとして、「金本位制(固定相場制)」の導入があげられます。これは、金1オンス(28.3495グラム)の価格を35米ドルと定め、ドルに対する各国通貨の交換比率(為替レート)を定めることで、安定した外国為替市場の構築を目指したものでした。

この固定相場制度には、サンフランシスコ平和条約により国際社会に復帰した日本も参加、長らく1ドル = 360円の固定レートが維持されることとなります。

「ニクソン・ショック」と変動相場制

固定相場制はその仕組み上、アメリカからのドル流出が避けられない仕組みです。当時のアメリカの経済力は圧倒的であり、固定相場制の開始当初は、ドル流出は大きな問題と思われていませんでした。

しかし各国が戦後復興から経済成長を成し遂げたことで、ドル流出が急激に増大、国際収支が赤字になる「流動性のジレンマ」に悩まされるようになります。1960年代に入るとアメリカの財政赤字とインフレを原因とするドル不安がささやかれ、金本位制の維持はますます難しくなります。

1971年(昭和46年)、ニクソン大統領(当時)が金とドルの交換停止を発表した「ニクソン・ショック」により金本位制は崩壊します。よりゆるやかな固定相場制(スミソニアン体制)を経て、主要国は現在の為替制度である変動相場制へと移行することとなりました。

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変動相場制の特徴とメリット・デメリット

このような経緯を経て導入された変動相場制には、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。その仕組みと合わせて見てみましょう。。

需要と供給に左右される変動相場制の基本

フロート(フロート制)と呼ばれる変動相場制は、為替レートを外国為替市場における外貨の需要と供給の関係に任せて決める仕組みです。

変動相場制では、外国為替市場で外国通貨を対価とする自国通貨の売りが増えれば自国通貨の対外価値は下がり(通貨安)、反対に外国通貨の売りが増えれば自国通貨の対外価値が上昇(通貨高)します。

メリット…「自由な資本移動」と「独立した金融政策」の確保

変動相場制のメリットはいくつかありますが、大きなものとして「国際金融のトリレンマ」仮説により、「自由な資本移動」と「独立した金融政策」が確保できるため、金融政策の自由度が大きくなることがあげられます。

中央銀行が独立した金融政策の権限を持つことが経済安定につながると考えられている現在、「独立した金融政策」は重要な要素の一つです。また、「自由な資本移動」が保証されている限り、外需の拡大がしやすいのもメリットとしてあげられます。

デメリット…為替レートの急変リスク

固定相場制と比べて金融政策や資本移動の面で自由度の高い変動相場制ですが、いくつかのデメリットもあります。

デメリットとして、「自由な資本移動」により貿易環境や資本移動が安定しないことや、為替レートの決定を完全に需給に任せていることで為替レートの急変リスクが無視できないことがあげられます。

各国政府や中央銀行は、為替レートの変動にあわせて、規制や市場への直接介入などの対策を実施しています。しかし「国際金融のトリレンマ」にとらわれて、実効性のある為替政策の実施は難しいのが実情です。

おわりに

ニクソン・ショックをきっかけとして主要国が導入した変動相場制は、またたくまに為替制度の主流となり、現在でも固定相場制を導入している国も、徐々に変動相場制に移行しています。

為替制度の変更は政治・経済の重要なトピックとなるのはもちろん、取引の重要な材料にもなります。各国が導入している為替制度には、注目する必要があると言えるでしょう。

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