28億スイスフラン(約2300億円)。スイス中央銀行が13日に発表した2010年上半期決算の損失の数字だ。損失の要因は、輸出産業を守るため自国通貨高を抑えようと本年から積極的に介入した単独為替介入によるものである。USD/JPYの85円割れ、EUR/JPYの110円割れを目の当たりにして、日本の経済界からも為替介入待望論が台頭している。まさに催促相場の様相である。「行き過ぎた自国通貨高を食い止める為に為替介入を行い、輸出産業を守るべき」と言う状況はスイスと同じ状況である。
以前に為替介入を行った際のブッシュ=小泉政権の良好な日米関係と違い、現在は普天間問題をはじめオバマ=菅政権の日米関係はガタガタの状況にある。ましてや、オバマ大統領は「5年間での輸出倍増計画」を唱えており、達成には自国通貨安は既定路線となっている。そんな中での協調介入は不可能であろうし、単独介入の恐ろしさは前述のスイスの例が示している。また、2003年から04年にかけて実施した介入を受けて外貨資産が急増した外国為替資金特別会計の為替評価損は、今回の急速な円高を受けて過去最大の31兆円に達している模様である。
前述のスイス中央銀行の決算における損失は、一国の中央銀行の損失としては一見少なく見えるかも知れないが、為替変動による損失額だけをみると、143億スイスフラン(約1兆1600億円)に昇っている。スイス国内のメディアは挙って、「スイス中銀の失敗」「介入の成果なし」などと批判を強めている。こんな中で、政府が介入を決断できる度量があるのか注目してみたい。(2010/08/25)
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