先週末の為替相場はドル買いが加速、ドル円においても一時92円台まで急進した。FRBによる公定歩合引き上げの発表を受け、異例の金融緩和を元に戻す「出口戦略」の早期実施が市場で意識されたことが大きな要因だ。ここで強く意識された出口戦略とは、米国の政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の引き上げであるが、「公定歩合とFF金利の違いは?」と問われると、答えることができない方が多いのではないだろうか?今後の為替相場を占う上でも重要なテーマとなるだけに、ここで二つの違いについて整理してみよう。
米国の民間銀行(正確には連邦準備加盟銀行)は、連邦準備銀行(米国の中央銀行)に預金残高の一定割合を準備金として預け入れることが義務付けられている。各銀行は、この預託金額を維持する為の資金が不足した場合、短期金融市場を通じて余剰資金のある銀行から資金調達を行う。この銀行間の短期金融市場で適用される金利がFF金利であり、住宅ローンなどの貸出金利に直接影響を与える為、最も重要視される金利である。FRBは政策金利としてFF金利の誘導目標を定め、日々市中の資金量をコントロールすることで、自身が決定した金利水準に誘導している。
一方の公定歩合とは、FRBが民間銀行に直接資金を貸し出す時に適用される金利である。上記の短期金融市場において、他の銀行から資金を調達することができなかった場合、FRBは「最後の貸し手」としてこの様な銀行を救済する。つまり、銀行がどこからもお金を借りることができないという「非常時」の金利が公定歩合である。よって、経済に直接影響を与えるものではない為、FF金利に比べ重要度は低いと言える。
一つ注意しておきたいのは、公定歩合にはFRBの景気の現状や先行きに対する考え方を市場に示すという間接的な効果(アナウンスメント効果)もある。先週末の為替相場の変動も、このアナウンスメント効果によるところが大きい。公定歩合発表後、FRB関係者が相次いで「金融引き締めではない」とコメントしたことで、一旦は市場が落ち着いた様相だが、今週はバーナンキFRB議長の議会証言を始めとして、FRB幹部の発言が続く。今回の公定歩合の引き上げ決定の背景、さらに今後の金融政策についても言及すると予想される為、引き続き注視する必要がありそうだ。
公定歩合引き上げの発表を受け上昇するドル/円相場
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