最近の外国為替市場では米国の財政赤字の拡大報道でドル売りが膨らみ、円相場では1ドル95円台と円高ドル安水準が続いています(2009年5月時点)。しかし、豪ドルやNZドルをはじめ新興国通貨は高値圏での取引が続いていて米ドルとは対照的な展開が見られます。そんな中、高止まりする米長期金利の動向に注目が集まっています。これまでの景気後退局面では、安全資産である米国債へ資金が入って、長期金利が低下するのが一般的でした。しかし、現在の米長期金利は高止まりの様相を見せています。そこで今回のお役立ちコラムでは、米長期金利の高止まりの背景を少し覗いてみたいと思います。
まず一般的に長期金利とは、期間1年以上の金融取引を行う際に適用される金利を指しますが、新聞紙上等で報じられる長期金利は長期国債の利回りを用いるケースがほとんどです。これは、債券を売る(供給する)ということは長期資金を調達(需要)する、債券を買う(需要する)ということは運用(供給)するということなので、債券の動きが長期金利の動きをそのまま表すからです。債券価格が上昇すれば利回り(長期金利)は低下し、債券価格が下落すれば利回り(長期金利)は上昇するというように債券価格と利回りは逆の関係にあります。つまり、米長期金利が高止まりしているということは、米長期国債の価格は下落しているということなのです。
さて、その背景には米国の財政悪化があります。100年に1度といわれる世界的な金融危機の中、米国では大規模な景気刺激策に伴う財政負担から、国債の発行が急増しています。国債の増発が続くと、国債の供給が増加して価格が下落し、利回り(長期金利)が上昇します。長期金利が上昇すれば、一般的に銀行の企業向け貸し出し金利が高くなるので、企業の資金調達が難しくなり(資金の流れが悪くなり)、企業活動の活性化の妨げになります。
さらに米国は財政赤字に伴う資金不足を国債の発行を通じて中国や日本をはじめとする海外の資金で賄っています。国債の増発から米国債購入に各国が慎重な姿勢を示せば、さらなる長期金利の上昇や高止まりが解消されない状況が続き、安全資産であった米国債が格下げとなる可能性もあります。そんな中、リスクテイクできる投資家は資源などを持つ新興国に資金を振り向けるのではとの声もあります。もちろん今後の動向は誰にも分かりませんが、米国の財政出動の動向が債券市場の需給関係に影響を与え、それに伴う長期金利の動向が今後の為替相場を占う上でも重要なポイントになるのかも知れません。
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