1998年の外為法改正で登場したFXだが、徐々に個人投資家の間に浸透し、それまではプロの市場だった外為市場において個人投資家の存在感が強まっていった。2007年6月に1ドル124円台をつけた円安局面では、低金利の円を売って他の高金利通貨を買う個人投資家の「円キャリー取引」が円の下落を演出したと見られている。そして、自宅にいながら円を売り続ける日本の主婦投資家は、無視することのできない投資主体として「ミセス・ワタナベ」と海外メディアから称された。
さて、今月1日からFX取引のレバレッジが50倍以下に制限された。レバレッジ規制の強化はFXに参加する個人の投資行動に少なからず影響を及ぼすかもしれない。金融先物取引業協会が参加会員57社の協力により取りまとめた店頭FX月次速報値によると、円売り建て玉から円買い建て玉を差し引いたネットの「円キャリー額」は6月末に1兆8,825億円に達したという。売り建ての対象通貨としては対米ドルが42%、豪ドル23%、ユーロ17%などとなっている。市場の規模から考えると対豪ドル相場における個人投資家の存在感が大きいと思われる。レバレッジ規制の強化によってポジション縮小を余儀なくされる個人投資家も多いと思われる。つまり、円売りポジションを手仕舞う必要が出てくるわけだ。対円での豪ドル相場の動きを振り返ってみると、7月半ばの75円近辺を底に反発に転じて80円近くまで上昇したのだが、月末にかけては値を崩した。もしかしたら、月末にかけての豪ドルの下落は個人投資家のポジション整理、レバレッジ縮小に備えた「ミセス・ワタナベ」の持ち高ダイエットの影響だったのかもしれない。しばらくの間は、レバレッジ規制が及ぼす市場への影響にも注意しておかなければならないだろう。
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