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有沢正一のマーケット・ナビ

有沢正一

日々激しく変化する内外の経済。しっかりと押さえておきたいポイントをアナリストの視点で解説します。

2010年8月アーカイブ

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 日本では円高、円高と大騒ぎしているが、おそらく米国では「為替相場はマーケットが決めているのだから仕方がない」ということになるのだろう。では一体、適正な為替水準というのはどうやったら導かれるのか?そこで、2国間の為替レートは、各国通貨による同一財の購買力比で決定されるという為替相場決定理論が「購買力平価説」であり、この発展形として英エコノミスト誌が提唱したのが「ビッグマック指数」だ。これは、マクドナルドが世界100ヵ国以上で、ほぼ同一の品質とサービスで提供しているビッグマックの価格を使って為替相場を算出しようとするものである。
 8月22日の日経新聞によると、米国のビッグマックは3.73ドルで、日本では320円。このビッグマックの値段をもとに円ドル相場を計算すると(320÷3.73)で1ドル85円79銭になる。まずまず現在の為替相場は妥当な水準ということか。しかし、日本マクドナルドは期間限定でビッグマックを200円に値下げするという。となるとビッグマック指数に基づいた円ドル相場は(200÷3.73)、1ドル53円62銭となって、さらなる円高の進行を〝容認〟する数字になってしまう。まさか、「5年間で輸出を倍増する」というオバマ大統領の意を受けての為替介入ではないだろうが、マックさん、お願いだからビッグマックの値段だけは下げないでください!

本資料は情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようにお願いいたします。本資料の記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本資料の記載内容は、予告なしに変更することがあります。

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 15年ぶりの1ドル85円台割れという水準まで円高が進んだ後、依然として「危険水域」をウロウロしている円相場。政府・日銀の対応に関して、「介入すべき」「市場に委ねるべき」と意見も別れるが、今のところは介入支持派が多いように思われる。
 スイス国立銀行(中央銀行)は先日、保有するユーロが外国為替市場で大幅に下落した結果、1-6月期に143億スイスフラン(約1兆1,700億円)の損失が発生したと発表した。スイスフランのユーロに対する上昇を防ぐため、同行は積極的にスイスフランを売ってユーロを買う「為替介入」を実施したが、ユーロ安が一段と進んで裏目に出てしまったという。こういう報道を見ると、介入は失敗するケースもあり、下手をすると効果が上がらずに損だけが残るなどと考えてしまうかもしれない。失敗した時に厳しい批判に晒されることも、当局を介入から遠ざけている一因かもしれない。しかし、スイス国立銀行のジョルダン副総裁は「為替介入はスイス経済の重荷になっていたデフレ圧力を緩和した」と述べて、介入の正当性を強調している。介入によって売った円を市場から回収せずに、そのまま流通させれば(不胎化)、金融の量的緩和によるデフレ対策になるかもしれない。
 とにかく、現在の円相場が「非常事態」を意味していることは間違いないだろう。失敗を怖れずに動くべきではないだろうか。

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 1998年の外為法改正で登場したFXだが、徐々に個人投資家の間に浸透し、それまではプロの市場だった外為市場において個人投資家の存在感が強まっていった。2007年6月に1ドル124円台をつけた円安局面では、低金利の円を売って他の高金利通貨を買う個人投資家の「円キャリー取引」が円の下落を演出したと見られている。そして、自宅にいながら円を売り続ける日本の主婦投資家は、無視することのできない投資主体として「ミセス・ワタナベ」と海外メディアから称された。
 さて、今月1日からFX取引のレバレッジが50倍以下に制限された。レバレッジ規制の強化はFXに参加する個人の投資行動に少なからず影響を及ぼすかもしれない。金融先物取引業協会が参加会員57社の協力により取りまとめた店頭FX月次速報値によると、円売り建て玉から円買い建て玉を差し引いたネットの「円キャリー額」は6月末に1兆8,825億円に達したという。売り建ての対象通貨としては対米ドルが42%、豪ドル23%、ユーロ17%などとなっている。市場の規模から考えると対豪ドル相場における個人投資家の存在感が大きいと思われる。レバレッジ規制の強化によってポジション縮小を余儀なくされる個人投資家も多いと思われる。つまり、円売りポジションを手仕舞う必要が出てくるわけだ。対円での豪ドル相場の動きを振り返ってみると、7月半ばの75円近辺を底に反発に転じて80円近くまで上昇したのだが、月末にかけては値を崩した。もしかしたら、月末にかけての豪ドルの下落は個人投資家のポジション整理、レバレッジ縮小に備えた「ミセス・ワタナベ」の持ち高ダイエットの影響だったのかもしれない。しばらくの間は、レバレッジ規制が及ぼす市場への影響にも注意しておかなければならないだろう。

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