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有沢正一のマーケット・ナビ

有沢正一

日々激しく変化する内外の経済。しっかりと押さえておきたいポイントをアナリストの視点で解説します。

2009年12月アーカイブ

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ここ数ヶ月ほど、米国の株式市場の上昇局面ではドルが下落することが多かった。しかし、最近は米株の上昇とともにドルが買われるケースが目立っている。これまでの図式は「米株高→リスク許容度の上昇→高金利通貨への資金シフトによるドル売り」であったが、最近は「米株高→米国景気の回復期待→米金利上昇観測によるドル買い」になっているようだ。確かに12月に入ってからは米国で雇用統計を始め予想を上回る強い内容の経済指標が相次いでいる。ファンダメンタルズの改善が顕著なだけに、米国の利上げは、あとは当局の腹次第との感も浮上してくる。今のところ、円に対する米ドルの反発は、基本的に売られ過ぎたドルの水準訂正の範囲と言えるだろう。しかし、日銀がデフレへの警戒感を強く示しており、日米の金利差拡大に対する関心が高まってくれば、ドル高がトレンドとして定着する可能性も強い。そのためには、醸成されつつあるドル買いに対する安心感を覆すような指標が出ないことが大きな前提になる。まずは、年明けの米雇用統計あたりが要注意か。イベントの隙間にもなる年末年始、とりあえずドルが試す上値は92.5円辺りだろうか。

本資料は情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようにお願いいたします。本資料の記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本資料の記載内容は、予告なしに変更することがあります。

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11月の米小売売上高が前月比1.3%増と増加率は市場予想(0.7%程度)を上回り、12月の消費者態度指数(速報値、ミシガン大調べ)は73.4と予想(68.5程度)より高水準だった。雇用統計に続き市場予想を上回る指標が相次いだことで米国の利上げ時期が早まるとの思惑が当然、市場では浮上している。そして、そのような状況で15-16日(米国時間)に今年最後となるFOMC(連邦公開市場委員会)が開催される。はたして、FRBはどのような文言で今年の金融政策を締めくくるのだろうか。金融政策に変更がないことはまず間違いないが、会合後のコメントが大いに気になるところだ。
大方の予想では、最近の景気面で一部に明るい兆しが出ていることは認めるものの、政策金利については「長期にわたり異例な低水準」に維持する方針を重ねて表明すると見られている。しかし、FRBが昨年12月以来政策金利をゼロ近くに据え置き、1年が経つ。経済状況はかなり改善しているように見えるし、それを裏付けるような指標も出始めてきた。超低金利政策の出口に関して、なんらかのサインが示されるのかどうか?やはり注目が怠れないだろう。今年最後のFRBからのメッセージは、日本時間の17日午前4時15分に発表される予定である。

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米労働省が4日(米国時間)発表した11月の雇用統計で、失業率10.0%、前月に比べて0.2ポイント低下して4ヵ月ぶりの改善となった。また、非農業部門の雇用者数は1万1000人の減少にとどまり、前月の改定値(11万1000人減)からマイナス幅が縮小した。失業率が市場予測の平均(10.2%)を下回り、雇用者数の減少も予測(12万5000人減)を大きく下回った。こうなると、俄然、FRBによる超低金利政策の出口戦略、つまり金利の引き上げ観測が強まってくる。「失業率が上昇を続け、しかも2ケタ台に乗せている間はFRBは利上げには動けない」との見方は非常に多かっただけに、11月の雇用統計は少なからぬサプライズをもたらすことになった。もちろん、単月の雇用統計だけでFRBが金融政策を変更することなどありえないだろう。しかし、来年1月8日に発表される12月の数字次第で状況は一変する。さらに失業率の改善が進んだとしたら…2ヵ月連続の改善は失業率の上昇トレンドに歯止めがかかったとの印象を与えるし、失業率は1ケタ台になる。
11月の雇用統計で示された米雇用の改善に対して為替を始めとするマーケットには、「半信半疑」との思いも根強いようだ。潮目を変える可能性を秘めた年明け早々の雇用統計が大いに注目されることになる。

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ドバイ政府系企業による返済延期要請、いわゆる「ドバイ・ショック」によって対米ドルで14年ぶりの円高水準をつけるなど為替相場では一気に円高が進んだ。それまでじりじりと円高が進んでいた局面と、ドバイ・ショック以降は分けて考える必要があるだろう。大雑把に言えば1ドル88円台あたりまでの円高は、投資家のリスク選好に伴う低金利の米ドル離れが背景にあった。米ドルが相対的に金利の高いユーロや、豪ドル、あるいは金などの商品に対して売られたあおりで円高が進んだと考えるべきである。つまり、円高というよりは米ドル安といったほうが正しいのではないか。一方、ドバイ・ショック以降の円高局面においては、ユーロや資源国通貨に向かっていた資金がリスクを避けるために円に逃避してきた側面が強い。したがって、それまでは横ばい圏で推移していた円・ユーロ相場も円高に傾いている。これは、米ドル安ではなく、まさに円高と言える。
そして、いずれの円高局面でも、それを加速させるのが短期的な投機資金の動きである。為替相場が実体経済に与える影響を考えれば、行き過ぎた投機資金の流れには、金融当局がブレーキをかけても良い。為替相場への介入もひとつの手段だ。しかし、米ドル安の局面では日本の当局が単独で実施できる手段はない。ただ、ドバイ・ショック以降の円高は、米ドル安ではなく、正真正銘の円高である。投機資金による円高の加速を防ぐために、日本の当局にはまだまだ打つべき手が残っているのではないだろうか。

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