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有沢正一のマーケット・ナビ

有沢正一

日々激しく変化する内外の経済。しっかりと押さえておきたいポイントをアナリストの視点で解説します。

2009年8月アーカイブ

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 最近は改善を示す米国の経済指標が多く、そしてそれらが発表されると景気や企業業績の回復期待で米国株式市場が上昇する。とても自然な流れであろう。しかし、米株が買われても、必ずしも米ドル買いにはつながらない。リスク許容度を増した資金は、米ドルより金利の高い通貨へと向かうのである。米国のファンダメンタルズの改善がドル高につながらないというのは、米国経済の回復が世界経済の回復に直結するという理由と、もうひとつは「どうせ米国の金利が上がるわけがない」という昨年来定着してしまった一種の固定観念である。そして、市場における共通の固定観念がドル売りに安心感を与えていたのではないだろうか。確かに未曾有の金融不安が招いた景気の急落、そして失業率が2ケタ台を目指すような状況では利上げなどは考えようがない。  しかし、7月の米失業率が低下に転じたことで、状況は変わりつつあるように思われる。米国経済指標の改善が続けば、どこかの時点で利上げのスケジュールが意識されてくるはずである。そうなると、指標改善⇒米株高⇒米ドル売り、という現在のマネーの流れの図式には変化が生じるだろう。9月4日(現地時間)に発表される8月の米雇用統計などは十分に転換点になりうる可能性がある。

本資料は情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようにお願いいたします。本資料の記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本資料の記載内容は、予告なしに変更することがあります。

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3月初めの2000ポイントあたりから、ほぼ一貫して上昇を続けていた中国の上海総合株価指数が、このところ調整色を強めている。8月4日に3478ポイントの高値をつけた後、下げに転じて17日には3000ポイントを大きく割り込み2870ポイントで取引を終了した。およそ5ヶ月間で70%超の上昇を演じたあと、2週間で17.5%の急落である。この上海株式市場の俄かな変調は、少なからずグローバルレベルでのマネーの流れに影響を与えているのではないだろうか。日米欧を始め世界中の株式市場の下落を招くだけではなく、原油相場の急落、そして為替市場においてもリスク回避の動きが強まり、円がじりじりと下値を切り上げているほか、このところ上値を試していた豪ドルは急落している。
リーマン・ショックで縮み上がっていたリスクマネーが春先から動き出していたのは、中国経済の成長回復期待に負うところが大きい。「家電下郷」「汽車下郷」という中国の経済対策は自国の個人消費を促すだけでなく、素材の需要を喚起し、世界的にも商品市況を引き締めた。予想以上に好調であった日米企業の四半期決算発表時のコメントの中にも「サンキュー・チャイナ」のフレーズが聞かれた。
リスク回避の円買いがどのあたりまで進むのか、豪ドルを始めとする高金利通貨は再び上値を試すのか、しばらくは中国の株価動向が大きな鍵を握ることになりそうだ。

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注目されていた米国7月の雇用統計は予想外の強い数字を示してマーケットにサプライズを与えた。非農業部門雇用者の減少数は24.7万人と6月に比べて減少幅を縮め、失業率も9.4%と低下に転じた。ちなみに市場の事前予想は失業率で9.6%、非農業部門就業者数の減少幅で32万人というものだった。この結果を受けて米国の株式市場は上昇し、為替相場ではドル高が進んだが、予想以上に米国雇用の回復が示されたことで、今週に開催される米FOMC(連邦公開市場委員会)に対する関心が一気に高まりそうだ。これまでのかなり一般的な認識として「失業率が上昇している間は金融政策の変更はない」という考え方があったのだが、その失業率が低下したのである。もちろん、今回の失業率低下をもって米国の雇用が改善に向かっているとは決して判断できないし、これを手掛かりにFRBが金融政策を変更することはないだろう。それでも、会合後に示されるFRBのコメントに対する注目度は一段と高まることになる。雇用の改善についてどう考えるのか、そして米国経済の足もとの状況に対する判断は?さらに、ゼロ金利という非常時対応の金融政策の「出口戦略」について言及があるかどうか?
日本時間で13日午前3時過ぎに発表される予定のFRBのコメントは、場合によっては雇用統計の数字以上に為替市場に大きなインパクトを与えるかもしれない。

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7月のサプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数が前月比4.1ポイント上昇の48.9と市場予想を上回る改善を示した。7ヶ月連続の上昇で、景況感の境目となる50まであと一歩という水準になった。最近、米国の経済指標には明るさが目立っており、徐々に景況感も改善してきたように思われる。このような中、今週の週末には雇用統計が発表されるが、これは場合によっては当面の米国の景況感を決定付けるかもしれないほど重要な意味を持つだろう。事前の予想では、7月の失業率は9.6%、非農業部門就業者数の減少幅は32万人とみられている。
ただ、ここで気をつけなければならないことは景況感が改善しているのは米国だけでなく、ほぼ世界中で景況感が改善に向かっていることである。仮に雇用統計が米国の雇用改善を示す内容となった場合、普通に考えれば米ドルの買い材料になるはずである。しかし、米国の雇用改善は世界経済の回復にとって強い支援材料となり、投機マネーのリスク選好を促す可能性が強い。となると、金利の低い米ドルから高金利通貨や株式、商品などへの資金シフトが進むだろう。結果的に米国の強い景気指標が米ドルからの資金逃避を誘うことになる。
米雇用統計については、もちろん第一義的にはその内容が注目されるのだが、それに対する為替相場の反応も非常に興味深い。米経済の回復を、為替相場はどのように捉えるのか、先行きマネーの流れを占う意味でも注意が必要になるだろう。

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