最近は改善を示す米国の経済指標が多く、そしてそれらが発表されると景気や企業業績の回復期待で米国株式市場が上昇する。とても自然な流れであろう。しかし、米株が買われても、必ずしも米ドル買いにはつながらない。リスク許容度を増した資金は、米ドルより金利の高い通貨へと向かうのである。米国のファンダメンタルズの改善がドル高につながらないというのは、米国経済の回復が世界経済の回復に直結するという理由と、もうひとつは「どうせ米国の金利が上がるわけがない」という昨年来定着してしまった一種の固定観念である。そして、市場における共通の固定観念がドル売りに安心感を与えていたのではないだろうか。確かに未曾有の金融不安が招いた景気の急落、そして失業率が2ケタ台を目指すような状況では利上げなどは考えようがない。 しかし、7月の米失業率が低下に転じたことで、状況は変わりつつあるように思われる。米国経済指標の改善が続けば、どこかの時点で利上げのスケジュールが意識されてくるはずである。そうなると、指標改善⇒米株高⇒米ドル売り、という現在のマネーの流れの図式には変化が生じるだろう。9月4日(現地時間)に発表される8月の米雇用統計などは十分に転換点になりうる可能性がある。
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