イワイFXウイークリーアウトルック 2010年7月26日
相場のトレンドが発生する可能性のある局面は、標準偏差ボラティリティとADXが共に上昇し、ボリンジャーバンドの1σをブレイクしたときである。当然ダマシもあるが、年2回程度は大きなトレンドに発展する確率が高いので、リスクを取るに値する局面といえよう。
この手法を使う上での注意点は、標準偏差ボラティリティやADXの位置が高いときは、相場が再度ボリンジャーバンドの1σをブレイクしてもリエントリー(再度ポジションをとる)しないほうが良いということだ。筆者の経験で言えば、ボラティリティ(相場変動率)レベルが高い局面は、リスク/リターン比が合わないことが多い。即ち、リターンを得るのに大きなリスクをとる必要があるということだ。
直近のドル/円相場が良い例で、標準偏差ボラティリティやADXがピークアウト(天井を付けた)後に、再度、標準偏差ボラティリティやADXが上昇し、相場が1σの外に飛び出す局面があったが、筆者はポジションを取らなかった(このような局面でもポジションを取ることはあるが、ポジション量はボラティリティレベルにあわせて小さくなっている)。
相場の美味しいところは、標準偏差ボラティリティやADXや低い位置から上がっていく局面で、これを相場用語では「保ち合い放れ」・「レンジ・ブレイク」・「ボラティリティ・ブレイクアウト」などと呼んでいる。
ドル/円(日足)
上段:21日ボリンジャーバンド1σ
中段:14日ADX(赤)
下段: 26日標準偏差ボラティリティ(青)
現在、個別企業の決算などのミクロの数字は悪くないのであるが、米国の経済指標等のマクロデータが弱いので、投資家は売っていいのか、買っていいのかの判断に苦しんでいる。また、リーマン危機後の対策でカネ余りが続いているものの、金融機関はボルカールールによってレバレッジを縮小する“ニューノーマル”運用に傾斜しつつある。
リーマンショック後の金融機関は、「カネは貸さない・リスクはとらない」といった有様で、存在意義は決済機能しか残っていない。カネ余りと運用難の狭間で、リスクを取らなくなった金融機関のカネの行き場は国債しかないのである。これは日本の銀行と同じで、日本は“ニューノーマルの先進国”などと変な評価を受けている。
カネ余りと2番底懸念の不透明感のなかで、外為市場も気迷い商状だ。ユーロ/円も豪ドル/円も標準偏差ボラティリティやADXが低下中で典型的なレンジ相場となっている。このような局面で儲けるのはオプションの売り手であり、彼らは標準偏差ボラティリティが低下中は、相場が上がるとコールを売り、下がるとプットを売っている。それでますます相場がレンジ推移となってしまう。
ユーロ/円(日足)
上段:21日ボリンジャーバンド1σ
中段:14日ADX(赤)
下段:26日標準偏差ボラティリティ(青)
豪ドル/円(日足)
上段:21日ボリンジャーバンド1σ
中段:14日ADX(赤)
下段:26日標準偏差ボラティリティ(青)
一方で、今年のユーロ/ドルは最高の相場が続いているが、先週、ボリンジャーバンドの1σの内側に相場が入ったので、筆者はポジションを手仕舞った。
ユーロ/ドル(日足)
上段:21日ボリンジャーバンド1σ
中段:14日ADX(赤)
下段: 26日標準偏差ボラティリティ(青)
5月以降、ヘッジファンドなどもリスク資産を圧縮する動きに出ている。ファンド勢はユーロの美味しい相場が終わり、株もあまり儲からないので、次の儲け話を探しているところだ。
不透明感の強い年後半相場だが、筆者はやや慎重に相場をみている。相場を年前半・年後半という括りで分けると、ドル/円は年前半(6月)までに年間高値(黄色の○)をつけるパターンが非常に多い。これはドル/円の周期特性である。1990年~2009年までの過去20年間で“明らかに”年後半ドル高のパターンになった年は1995年、1996年、1997年、2001年、2005年の5回しかない。
ドル/円(月足)
上段:年前半にドルが高値をつけるパターンの年(黄色の○)年後半ドル高パターン(緑の年)
下段:ドル/円相場のハイ・ロー・ウエーブ(高値波動=赤・安値波動=青)年末・年始相場はトレンドの転換が起こりやすい
日経平均株価も年前半(6月)までに年間高値(黄色)をつけるパターンが非常に多い。ドル/円と同様の周期特性と言ってもいいだろう。1990年~2009年までの過去20年間で年後半株高のパターンになった年は1995年、1999年、2003年、2005年、2009年の5回しかない。今年の相場はまだ強気パターンをどうにか維持しているが、相場が9,000円を割れると年後半は弱気パターンとなる可能性が高くなる。
日経平均株価(月足)
年前半に株が高値をつけるパターンの年(黄色の○)年後半株高パターン(緑の年)
カネ余りは続いているので、何かのきっかけでまたバブル相場になるかもしれない。7月以降の相場で、日経平均株価の11,400円ブレイク、ドル/円の95円ブレイクが実現されると、その可能性は高まる。しかし、確率論で言えば、「年後半相場のドル/円や日本株は買っても報われないことのほうが多い」ことを、頭の片隅に置いておきたい。相場とは確率に賭けるゲームである。
[今週の予想レンジ〕
今週のドル/円、ユーロ/ドル、ユーロ/円、ポンド/円、豪ドル/円相場は、以下のチャートの「黄色の部分をコア・レンジ」とした上下の緑色の部分までの変動を予想している。黄色のコア・レンジをブレイクすると、緑色のレンジに相場の方向が移りやすい(日足データは2010年7月23日まで)。
お手盛り批判も出ているが、欧州のストレステストは無事通過した。「異例に不透明」とバーナンキ議長が指摘するなか、市場の目は既に米主要経済指標に向いている。26日の住宅指標や28日のベージュブック、さらには来週の雇用統計の結果で一喜一憂する相場が続きそうだ。
<チャートの見方>
上段:9日ADX方向性指数(緑) 保ち合い期間とトレンド期間の判定
20日ATR相場変動幅(赤) 相場リスクの計測
Dynamic Momentum Index(黄) 売られすぎ・買われすぎをみるオシレーター
下段:ゾーントレード=逆張りゾーン(黄)・順張りゾーン(緑)
ドル/円 今週の予想レンジ 
ユーロ/ドル 今週の予想レンジ 
ユーロ/円 今週の予想レンジ 
ポンド/円 今週の予想レンジ
豪ドル/円 今週の予想レンジ




























