IWAIFXウイークリーアウトルック 2010年6月21日
週末6月19日に中国人民銀行が「人民元の柔軟性を一段と高める方針」を表明した。本日6月21日の市場では早朝こそ円買いが優勢となったが、中国人民銀行が日本時間午前10時過ぎに発表した人民元の対ドル基準値が6月18日と変わらずの1$=6.8275元となったことを受けて、ショートカバー(ドル買い戻し)が進んでいるようだ。
今回の人民元の柔軟化については、6月のG20前がタイムリミットと以前から言われていたが、「米国やG20の顔を立てた」というパフォーマンス的な感じが強い(オバマ米大統領は人民元相場の弾力化について建設的な一歩との声明を発表)。中国人民銀行も「一度に大幅な切り上げはしない」と強調していることから、得意の牛歩のごとき“ちんたら路線”で、人民元の上昇幅は小幅にとどまる可能性が高い。
中国が米国債を大量に買ってドルを防衛するのは、今の態勢(人民元安路線)を続ける事が、中国の経済成長にとって最もコスト安だからである。今回の人民元柔軟化の最重要ポイントは、人民元が2008年7月以来、3年ぶりに<ドルペッグ>から<通貨バスケットに対するペッグ>に転換することである。「人民銀の金融政策委員会で学識経験者として委員を務める李稲葵氏は、対ドルでの持続的なユーロ下落は、対ドルでの人民元下落につながる可能性があると指摘している」(ロイター)ように、皮肉にもこの転換によって対ドルの人民元相場は人民元安になる可能性もある。
いずれにせよ、人民元問題は、変動幅や政策転換の時期が明確でなく、もう少し様子をみる必要があるだろう。
さて、先週の6月17日に実施されたスペインの10年と30年国債入札は、市場関係者注目のリスクイベントであったが、この入札は無難に通過した。皆が危機に構えているときは、往々にして相場は逆に行く。ECBは5月末の時点で約350億ユーロの政府債を購入しているが、昨日もユーロ圏の各国中銀や政府系ファンドなどがスペイン国債を落札したようだ。ECBは現在も毎日約20億ユーロのギリシャ国債を買っており、投機筋も最近は腰が引けている。ユーロの下値では買い戻しの注文が厚くなってきており、今後は意外な戻りもあるかもしれない。
この連載でたびたび取り上げてきたように、ユーロ売りのおいしいトレンド部分は、日足ベースでは5月で一旦終わっており、現在は典型的な調整相場だ。即ち、ユーロ安トレンドがピークを打った後の反動相場なので、ユーロが戻し気味の大きなレンジ相場になる。この局面は順張りがワークしにくい。下のチャートはユーロ/ドルの日足であるが、チャート上段の緑の部分がトレンド期間である。中段の矢印は過去2日間のレンジをブレイクしたときに点灯する売買シグナルである。下段は9日のRSIだ。
ユーロ/ドル(日足)
上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
中段:過去2日間のレンジブレイクのシグナル
下段:9日RSI
この売買シグナルに盲目的に従ってもあまり意味がないが、緑のトレンド期間は比較的値幅が抜ける。では、現在のようなトレンドのない(順張りがワークしない)期間の売買手法はどうすべきか?ここで参考になるのは9日のRSIである。RSIが30以下にあり、30を上回った時が(逆張りの)買いのシグナルである。昨年9月以降、このような局面は6回あった。しかし、今回の2010年6月のシグナルを除いて、筆者はユーロを買っていない。RSIを使った逆張りが機能するには、相場にトレンドがないことが前提である。RSIが30以下であっても、チャートの水色の部分はすべてトレンド期間であった。
また、通貨の市場では、21日ボリンジャーバンド2σと13日移動平均3%乖離と相場の値段が交差したときが相場の短期的な転換点になりやすいが、このような局面での逆張りもやはり相場にトレンドがないことが必須の条件となる。
ユーロ/ドル(日足)
上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド2σ(赤)・13日移動平均3%乖離(青)
水色部分での逆張りは危険!
現在のユーロ/ドル相場の買い戻しがどこまで続くかはわからないが、オプションでレンジを組んでいれば、ユーロ/ドルが1.25を超えてくると苦しくなる。その場合は、5月高値1.2670をトライする可能性は十分あるだろう。
最近、通貨ファンドのトレーダーと話すと、必ずドル/円相場に対する愚痴が出る。全くトレンドが出ないので、儲からないという文句だ。現在、ドル/円相場は大きな三角保合形成中で、これを終値でブレイクするか、20ヶ月移動平均線を抜かないと埒があかないのである。もっと言えば、95円と88円をブレイクしないと大相場には発展しない。動かない通貨に固執してもしょうがない。同じ円相場をやるなら、豪ドル/円をトレードするほうがよいだろう。今年の豪ドル/円相場は、まずまず順張りがワークしている。
ドル/円(日足)とMACDの売買シグナル
豪ドル/円のATR(1日)1日の変動幅
ドル/円(右)のATR(1日)1日の変動幅:ドル/円は1日に1円動かない日が多い
豪ドル/円(日足)とMACDのシグナル
2010年の豪ドル/円と日経平均はMACDの当たり年?
〔今週の予想レンジ〕
今週のドル/円、ユーロ/ドル、ユーロ/円、ポンド/円、豪ドル/円相場は、以下のチャートの「黄色の部分をコア・レンジ」とした上下の緑色の部分までの変動を予想している。黄色のコア・レンジをブレイクすると、緑色のレンジに相場の方向が移りやすい(日足データは2010年6月18日まで)。
<チャートの見方>
上段:9日ADX方向性指数(緑) 保ち合い期間とトレンド期間の判定
20日ATR相場変動幅(赤) 相場リスクの計測
Dynamic Momentum Index(黄) 売られすぎ・買われすぎをみるオシレーター
下段:ゾーントレード=逆張りゾーン(黄)・順張りゾーン(緑)
ドル/円 今週の予想レンジ
ユーロ/ドル 今週の予想レンジ
ユーロ/円 今週の予想レンジ 
ポンド/円 今週の予想レンジ
豪ドル/円 今週の予想レンジ








