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椎名由紀夫の「FXの方程式」

椎名由紀夫

現役ファンドマネジャー、椎名由紀夫氏がタイムリーに提供する「プロの目から見た」相場見通し、ぜひ皆様の投資戦略のご参考としてお役立てください。

損失パターンの認識と相場変動予測

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イワイFXウイークリーアウトルック 2010年6月7日

 筆者の「順張り(トレンドフォロー)」取引におけるメインの取引手法は、この連載で何度もとりあげている「ボリンジャーバンド1σブレイク+ADXと標準偏差ボラティリティの上昇局面」である。下のチャートは、ユーロ/ドルの日足である。筆者がポジションを持っている局面は、相場が21日のボリンジャーバンド1σを飛び出し、14日ADXとボリンジャーバンドが上昇している局面である。

ユーロ/ドル(日足)
上段:四角い枠の部分がトレンド相場
下段:21日ボリンジャーバンド1σの飛び出し局面
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 この順張り手法で筆者が損をするのは黄色の枠で囲った部分で、14日ADXと26日標準偏差ボラティリティが上昇し、相場も21日のボリンジャーバンド1σを飛び出したものの、大きなトレンドに発展しなかったケースである。この損失について筆者は何の防御もしていない。相場が21日のボリンジャーバンド1σの内側に入ったら相場から撤退してしまうため、損失が比較的軽微だからである。

 では、トレンドのない相場、すなわち14日ADXと26日標準偏差ボラティリティの下落局面をみてみよう。黄色の枠で囲った14日ADXと26日標準偏差ボラティリティの下落局面は、筆者の独断と偏見で「相場にトレンドはない」と決めつけている。上げては下げのランダム相場、“往って来い”的なジグザグ相場になりやすく、大きなレンジ相場が形成されやすい。この局面で相場を深追いすると、カウンターパンチでノックアウトされることが多い。

ユーロ/ドル(日足)
上段:黄色い枠の部分が方向性のない相場 6月4日のユーロ急落で、トレンドの短期ダブル・ループ(ボラティリティが高い位置からさらに上がる)の危険性がある
下段:ランダムなレンジ相場
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豪ドル/円(日足)現在、26日標準偏差ボラティリティの下落局面
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ドル/円(日足)現在、26日標準偏差ボラティリティの下落局面
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 相場の醍醐味はトレンドをとることであり、一番上のチャートの緑の部分で収益を上げるのが王道である。黄色の枠のトレンドがない局面では、筆者は方向性に賭ける大きなポジションをとっていない。代わりに相場の変動率(ボラティリティ)を売るか、相場が一定のレンジに収まれば儲かるポジション(オプション取引)を作っている。この黄色の枠の部分は順張りが機能しにくいので、調子に乗って大きなポジションを持つと痛い目にあうことが多い。言い換えれば、この黄枠の部分は押し目買いや戻り売りがワークしやすい局面である。

 昨今のユーロ/ドル相場はトレンドが明確で組みしやすい。しかし、相場は時々異常な振る舞いを見せる。「大きなトレンド相場の後はしばらく調整が必要で、大きなトレンド相場のすぐ後に大きなトレンド相場は発生しない」というのが筆者の基本的相場認識なのであるが、これを覆すような相場が結構ある。以下のチャートはドル/円相場の日足で、2004年前半の強烈な“往って来い”相場の記録である。チャートの黄色のところで、筆者はレンジ相場を想定した商いをしていたが、円安トレンドの直後に大きな円高トレンドが発生して散々な目にあった。大きなトレンドがピークアウトしかけたあと、すぐに大きなトレンドが出る場合、筆者のトレードは大きな損を被りやすい。

ドル/円(日足)トレンドがピークアウトしたと思ったら・・
トレンドの短期ダブル・ループ(こういう局面はATRも長期上昇中であることが多い)
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 標準偏差ボラティリティやADXなど、筆者の相場予測の基本となっているのはボラティリティや方向性指数の推移である。この2004年のドル/円相場の損失以降、新しいポジションを取るときは、必ず「未来の価格変動が標準偏差ボラティリティやADXにどのような変動をもたらすかのシミュレーション」をおこなっている。以下は、筆者が表計算ソフト(EXCEL)のシートに、6月18日までのユーロ下げ相場を想定したランダムな値段を入力したシートである。

ユーロ/ドル(日足) 標準偏差ボラティリティの計算シートとシミュレーションの一例
6月7日以降の終値は筆者が入力した仮想値段
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(標準偏差ボラティリティの計算は、相場の終値のデータがあれば、表計算ソフト「エクセル」のSTDEVPという関数で簡単に計算できる)

ユーロ/ドル(日足) 26日標準偏差ボラティリティのグラフ
黄色の部分は筆者が入力した仮想値段
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6月7日時点の26日標準偏差ボラティリティ
イワイFX ユーロ/ドル(日足)
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 今週の相場でユーロがさらに売り込まれると、週末までに標準偏差ボラティリティが底打ちから上昇する確率が高くなる(大きなトレンドがピークアウトしかけたあと、すぐに大きなトレンドが出るという、ボックス圏での収益を狙うオプショントレーダーにとってはありがたくないパターンである)。筆者は、ボラティリティが高い位置からさらに上がる相場はリスクが高いので基本的にポジションは持たない。

 標準偏差ボラティリティやADXが上昇中は「トレンド相場」だが、このトレンドがいつ終わるのかもおおよそ想定が付く。標準偏差ボラティリティに天井感が出たとき、5日~10日先の価格に、上げ相場なら過去2週間程度の高値や、下げ相場なら過去2週間程度の安値を入力すればよい。それで標準偏差ボラティリティが上がらなければ、トレンド相場は最終局面である。

〔今週の予想レンジ〕
 今週のドル/円、ユーロ/ドル、ユーロ/円、ポンド/円、豪ドル/円相場は、以下のチャートの「黄色の部分をコア・レンジ」とした上下の緑色の部分までの変動を予想している。黄色のコア・レンジをブレイクすると、緑色のレンジに相場の方向が移りやすい。(日足データは2010年6月4日まで)
<チャートの見方>
上段:9日ADX方向性指数(緑) 保ち合い期間とトレンド期間の判定
   20日ATR相場変動幅(赤) 相場リスクの計測
   Dynamic Momentum Index(黄) 売られすぎ・買われすぎをみるオシレーター
下段:ゾーントレード=逆張りゾーン(黄)・順張りゾーン(緑)

ドル/円 今週の予想レンジ
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ユーロ/ドル 今週の予想レンジ 
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ユーロ/円 今週の予想レンジ
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ポンド/円 今週の予想レンジ
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豪ドル/円 今週の予想レンジ
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