イワイFXウイークリーアウトルック2010年5月17日
通貨危機の背後にはいつも黒幕がいるものだ。現在のユーロ売り相場をみると、1992年のポンド危機(G・ソロス対イングランド銀行)の構図と似ている。ユーロ圏の諸問題は発足当初から抱えている構造問題なので、何をいまさらという気がしないわけではないが、通貨というのは時に金融兵器として使われる。
ポンド危機やアジア通貨危機の時も、そして、今回のユーロ危機もそうだが、「市場が政府に規律回復を迫る」という催促相場が展開されている。ユーロ崩壊説やドイツ離脱説など報道がワイドショー的になってきているユーロ相場だが、相場というのは所詮循環で、いくところまでいけば落ち着くものだ。現在、ユーロが売られている最大の要因は、昨年までのユーロは買われすぎたからであろう。軍事力を考慮した通貨の実力からいって、ドルとユーロは1:1(パリティ)が本来の実力であり、ユーロが基軸通貨的な魅力をもつには英国がユーロに参加しないと話にならないが、昨年までのユーロはオーバーバリューの相場が続いていた。
今年の外為市場は「ユーロを収益の柱にしよう」という投機筋の暗黙の了解のようなものを感じるが、先週のユーロ/ドル相場は1.24を割り込み、今週は4.2%の下落となった。トレンドの自己強化プロセスに入っているユーロ/ドル相場の直近の動きは、1.25を下にブレイクしたことで、現在1.21~1.20台まで下値の視野が広がっている。
ユーロ/ドル(月足)20ヶ月移動平均線とフィボナッチの支持線
ユーロ/ドルの日足は5月17日現在、終値ベースで21日ボリンジャーバンドの1σの外での取引が継続されており、売りトレンドが継続中である。既に21日ボリンジャーバンド2σや13日移動平均線3%乖離と日足が接近しているので、ユーロは売られすぎの状態にあるが(反転リスクも高い)、14日ADXや26日標準偏差ボラティリティはピークアウトしておらず、浅いストップロス注文付きの損失覚悟の逆張りはともかく、値頃感からの買いは危険である。ユーロ/ドル相場の売り圧力がなくなるには、まず相場が21日ボリンジャーバンド1σの中に入り、大きくは1.31(直近の戻り高値)を上抜ける必要があろう。
ユーロ/ドル(日足)
上段:21日ボリンジャーバンド2σ(緑)・13日移動平均線3%乖離(黄)
中段:14日ADX(赤)
下段:26日標準偏差ボラティリティ(青)
20ヶ月移動平均線を1月に下抜けたことで、ユーロ/ドルは勢いよく下げているが、ドル/円相場の方は4月終値で20ヶ月移動平均線を抜くことができずに、124円からの下げ幅の23.6%戻しを壁に5月相場に入ってしまった。
ドル/円(月足)20ヶ月移動平均線とフィボナッチの抵抗線
一目均衡表週足の<雲>の抵抗も週足終値で大きく上抜くことが出来ず、こちらも大きな抵抗となっている。日足は、5月17日現在、21日ボリンジャーバンド1σ外に飛び出しており、円高へのリスクを警戒するべき動きとなってきた。
ドル/円(週足)一目均衡表の<雲>
ドル/円(日足)
上段:21日ボリンジャーバンド2σ(緑)1σ(白)・13日移動平均線3%乖離(黄)
中段:14日ADX(赤)
下段:26日標準偏差ボラティリティ(青)
現在の金融市場は市場間の相関関係が急激に失われている。注意すべきは、このような相場になるとファンドから大きな損切り注文が出やすいということだ。相場の波乱に備えて資産管理上(証拠金がなくならないように)のストップロス注文は必ず置いておきたい。運用の基本は破産の管理と、その具体的な作業であるストップロス注文である。相場は明日もある。
〔今週の予想レンジ〕
今週のドル/円、ユーロ/ドル、ユーロ/円、ポンド/円、豪ドル/円相場は、以下のチャートの「黄色の部分をコア・レンジ」とした上下の緑色の部分までの変動を予想している。黄色のコア・レンジをブレイクすると、緑色のレンジに相場の方向が移りやすい。(日足データは2010年5月17日まで)
<チャートの見方>
上段:ADX方向性指数(緑) 保ち合い期間とトレンド期間の判定
ATR相場変動幅(赤) 相場リスクの計測
Dynamic Momentum Index(黄) 売られすぎ・買われすぎをみるオシレーター
下段:ゾーントレード=逆張りゾーン(黄)・順張りゾーン(緑)
ドル/円 今週の予想レンジ
ユーロ/ドル 今週の予想レンジ
ユーロ/円 今週の予想レンジ 
ポンド/円 今週の予想レンジ
豪ドル/円 今週の予想レンジ








