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椎名由紀夫の「FXの方程式」

椎名由紀夫

現役ファンドマネジャー、椎名由紀夫氏がタイムリーに提供する「プロの目から見た」相場見通し、ぜひ皆様の投資戦略のご参考としてお役立てください。

現在の外為市場で収益を上げるポイントと投機筋の動き

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イワイFXウイークリーアウトルック2009年12月28日

 現在の外為市場で収益を上げるポイントと投機筋の戦略をチェックしてみよう。現在の外為市場で一番単純な動きとなっているのは、ドル/円相場である。米10年国債の金利と連動しているので、米国の金利が上がっているうちはドル買いを放置しておけばよい。米金利とドル/円の相似パターンを投機筋が見逃すわけがない。「米金利上昇はドル買い・米金利低下はドル売り」という単純なロジックを背景に、投機筋は下のようなアナログチャートだけをみてドル/円相場に参入している。ドル/円は、現在、最も稼ぎやすい通貨ペアの一つである。何も難しい理屈を考える必要はない。チャートだけ見ていればよいのである。

米10年国債金利とドル/円(日足)
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 日足ベースの取引でチェックするポイントは、「前日より金利が上がっているか下がっているか」だけである。もちろん、相場に絶対はなく、現在の市場では「「米金利上昇はドル買い・米金利低下はドル売り」というバイアス(傾向)があるとの認識にとどめておきたい。「量的緩和をやめる」という米国の「出口戦略」と長期金利上昇を警戒した米国のファンドマネーは、世界から資金を一部引き上げる動きに出ている。これがドル堅調の背景だが、この動きが継続するか否かは来週1 月1 週の動きが重要である。ドル/円相場は米国金利連動相場となっているが、今週は米国債の入札にからむ米金利動向やドル需要に注目したい。

 米金利上昇とドル高が連動するなか、12月の相場はユーロが突然の変調をきたした。これはドバイ危機がギリシャの国家破綻懸念に波及したことが大きい。投機筋は「ユーロ/ドルの売り」・「ユーロ/スイスの売り」(ユーロ売り・スイス買い)といった仕掛けを行ったようだ。

ユーロ/ドル(日足)
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ユーロ売りの材料となっている2009年度赤字と累積財政赤字(対GDP比、出所:IMF)
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 これらの動きの仕掛け人はグローバルマクロ(マクロ経済分析に基づき、集中的に買い上げたり、売り浴びせたりする手法)とよばれるファンド勢である。ギリシャの経済規模はユーロ圏全体の1.9%にすぎない。また、ドバイ・スペイン・東欧の危機は市場参加者には以前より周知の事実である。欧州のシンクタンクの一部は、「ドバイ危機以降の一連の財政破綻懸念報道は、一部の資本筋が画策したドル防衛(急激なドル安を防ぐ)のための策略である」と述べている。それが事実かどうか筆者は知らないが、ドバイ、ギリシャなどの国家破綻報道やユーロが危ないという報道が、米国の量的緩和の解除(観測)とともに噴出しているのが面白いところである。

 米国の金融政策(出口戦略)は経済基盤の脆弱な国にとっては恐怖であろう。現在、多くの先進国で、巨額の財政赤字と公的債務の急増に依存する政策がとられているが、グリーンスパン前FRB議長が「米国は恐るべき財政危機に直面」と発言しているように、これを持続し続けることは不可能である。米国の出口戦略は2010年の世界経済にとって最大のリスクとなることは間違いない。

FRBのバランスシートの行方は・・(出所:クリーブランド連銀)
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 その出口戦略だが、12月15日「バーナンキFRB議長:米国株、バブルでない、インフレ懸念弱いと認識。株価指数はピークの2007年に比べかなり低い水準で、投資家はまだ楽天的になっていない」、12月15日「米ガイトナー財務長官:まだ多くの仕事必要、中小貸し付け・雇用状況」、12月18日、「オバマ大統領:増税などの引締策、来年からは時期尚早」といった当局者の発言を聞いている限り、出口戦略は来年後半以降となりそうだ。下がりそうで下がらないNYダウのバブル相場的な上昇はその証左であろう。

 2009年は各国の政府や中央銀行による未曾有の金融緩和と景気刺激策、金融システム支援策によって、実体経済はともかく金融市場はバブル相場が復活した。こうした異例の財政出動や非伝統的な金融緩和(量的緩和)策を平時に戻す出口戦略が実行に移された時に、現在のバブル相場がどうなるかを市場参加者の誰もが心配している。2010年の為替相場の展望は、この「出口戦略の実施スケジュールの予測」が鍵を握っているといえよう。

各国政策金利 日本だけ出口がない?(出所:各国中央銀行)
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〔今週の予想レンジ〕
 今週のドル/円、ユーロ/ドル、ユーロ/円、ポンド/円、豪ドル/円相場は、以下のチャートの「黄色の部分をコア・レンジ」とした上下の緑色の部分までの変動を予想している。黄色のコア・レンジをブレイクすると、緑色のレンジに相場の方向が移りやすい。(データは2009年12月25日まで)

ドル/円 今週の予想レンジ
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ユーロ/ドル 今週の予想レンジ
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ユーロ/円 今週の予想レンジ
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ポンド/円 今週の予想レンジ
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豪ドル/円 今週の予想レンジ

 このレポートは本年最終号となります。本当にあっという間に1年が過ぎてしまいました。新年のレポートは1月12日からスタートします。来る2010年が皆様にとって実り多き最良の年になりますように! (椎名由紀夫)

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