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椎名由紀夫の「FXの方程式」

椎名由紀夫

現役ファンドマネジャー、椎名由紀夫氏がタイムリーに提供する「プロの目から見た」相場見通し、ぜひ皆様の投資戦略のご参考としてお役立てください。

高値恐怖症とバブル環境の板挟み

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イワイFX ウイークリーアウトルック2009年11月16日

 実体経済悪と資産バブルの辻褄を合わせる局面がいずれ到来するであろう。しかし、現在の市場ではバブル効果が働いているため、悪材料の表面化はゆっくりとしか進まない。ドル安も同じである。米国はドル安(容認)政策をとっているが、ドル基軸通貨体制にある現在、急速なドル崩壊は世界経済を混乱に陥れる。ドルの崩壊を歓迎する国はないのである。来日したガイトナー長官と会談した藤井財務相は「足元のドル安については米国の問題。円高やユーロ高はドル安からきている。ドル安は米国の経済政策だ」「ガイトナー長官からドル安を懸念する発言もなかった」と発言しているが、市場はほとんど反応していない。バブル相場の中ではドル安も穏やかにしか進まない。
 
  このような状況の中で、最も得をしているのは中国である。中国は自国の通貨相場を米ドルと連動させるペッグ制(固定相場制)をとっているので、人民元はドルと一緒に下落している。ドルと連動する人民元のおかげで、中国は輸出競争力で強力なアドバンテージを持っている。ペッグ制の国は米国の低金利が長期化すると、金利水準が経済成長率に比べて低くなり、自ずとバブルが発生するのである。今年の中国や香港の不動産バブルは起こるべくして起きている。加えて言えば、ドルと人民元のペッグ制が続く限り、ドルの大暴落も起こりにくいといえるだろう。
 
2009年1月を100としたドルインデックス(黄)とドル/人民元(赤)の推移weekly1116_1.gif
 
 
 11月11日、世界銀行のゼーリック総裁は「世界的な失業率の上昇で消費者の債務返済が一段と困難になるため、世界各国・地域の金融機関は新たなリスクに直面している」「景気回復ペースは緩慢なものとなる公算が大きいが、世界の経済と金融市場は回復しつつある。ただ、その回復は世界で均衡の取れたものとはならない」と発言している。「世界で均衡の取れたものとはならない」という言葉の意味は、潜在成長率の低い先進国経済はダメだということだ。
 
 G20の時代、マネーの世界はいまや規制が取り払われ、グローバル化が急速に進んでいる。ヒト・モノ・カネのうち、カネは最もフットワークが軽い。そして、お金は単純なロジックでしか動かない。潜在成長率の低い日本の日経平均株価がよほど暴落しない限りは(割安感が出ない限りは)、投資家は金利や期待収益が大きいブラジルや中国の金融商品を買うことを選好するのである。
 
 外為市場もなんだかんだで、金利相場が続いている。金利というのは経済成長の配当のようなものであり、配当のない国の通貨は買われない。金利見通しから言えば、日本は2010年も唯一金利の上がらない国といわれている。米国の量的緩和と低金利が続くうちは、豪ドル/円か豪ドル/ドルの押し目を買っておくのが正解なのだろう。
 
 高値恐怖症とバブル環境の板挟みでボラティリティの失われた市場環境では、ファンドマネーがオプション市場に資金を移動させており、誰もが“相場がレンジに入っていれば儲かるポジション”を構築している。株式・外為・商品の市場を問わず現在の金融市場は、世界規模で“相場をレンジに押し込めよう“とする投機筋の防戦の売り買いが多く見られる。穏やかなドル安サイクルは継続しているが、相場を動かす決定的な材料がなく、今週も日々の相場では方向性のはっきりしない展開が続くのではないだろうか?
 
〔今週の予想レンジ〕
 今週のドル/円、ユーロ/ドル、ユーロ/円、ポンド/円、豪ドル/円相場は、以下のチャートの「黄色の部分をコア・レンジ」とした上下の緑色の部分までの変動を予想している。黄色のコア・レンジをブレイクすると、緑色のレンジに相場の方向が移りやすい。
 
ドル/円 今週の予想レンジ weekly1116_2.gif
 
ユーロ/ドル 今週の予想レンジweekly1116_3.gif  
  
ユーロ/円 今週の予想レンジ weekly1116_4.gif
 
ポンド/円 今週の予想レンジweekly1116_5.gif
 
豪ドル/円 今週の予想レンジweekly1116_6.gif
 
円相場の相場変動幅(ATR)の動向(データは2009年11月13日まで)

 ドル/円およびクロス円市場は「円の上昇時に変動幅が拡大し、円の下落時に変動幅が縮小する」という市場の構造を持っている。(特に変動幅縮小の過程では円安になりやすいというのが円相場の特徴である)ドル/円やクロス円通貨は、ATR(アベレージトゥルーレンジ)が下がる過程で円安、上がる過程で円高となるパターンが多い。黄色の期間は円の売り放置やキャリー取引はリスクが高くなる。
 
豪ドル/円(左)とユーロ/円(右)の20日ATR
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ポンド/円(左)とドル/円(右)の20日ATR
weekly1116_8.gif
 


 
 
 

 

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