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椎名由紀夫の「FXの方程式」

椎名由紀夫

現役ファンドマネジャー、椎名由紀夫氏がタイムリーに提供する「プロの目から見た」相場見通し、ぜひ皆様の投資戦略のご参考としてお役立てください。

トレンドをとるには?/ATR と相場の輪郭

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イワイFX ウイークリーアウトルック 2009 年11月2日

 現在の相場は「世界の株式相場が8ヶ月に及ぶ上昇で68%高となっても、投資家やアナリストが一段のリスクを取る時機だと確信したり、米経済政策や銀行システムへの懸念を解消することができていない」(ブルームバーグ端末利用者調査)と報道されているように、実体経済悪と金融市場の乖離が激しいので、売っても買っても投資家は「恐怖」に支配されている。楽観と悲観の繰り返しだ。

 相場が荒れている理由は、(1)出口政策あるいは出口後に対する不安、(2)ファンドの決算要因、の2つを指摘する声が多い。現在の景気回復は、各国政府による対策に負うところが大きく、来年以降の2番底不安が常につきまとう。また、11月15日にヘッジファンドの決算が集中しており、10月後半から利益確定の売買が目立っている。

 今週の相場の焦点は11月4日のFOMCとなろう。「FRB 当局者が来月、利上げの可能性を示すシグナルを出す方法やその時期について議論するだろう」「FRB 当局者は長期にわたる超低金利が終了することを市場に知らせる最善策の検討を開始している。この問題は11 月3、4 両日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議題となる公算がある」(ウォールストリート・ジャーナル)、「FOMC が3 月から声明で使ってきた、経済状況が“長期にわたって”異例な低金利を正当化する可能性が高いという文言を変更する可能性がある」(フィナンシャル・タイムズ)という報道から、米国の低金利長期化観測に変化が出るのか否かが11 月4日のFOMC の焦点となっている。

 筆者はバーナンキFRB 議長が本当にインフレを警戒しているとは思っていないし、低金利を早期に解除するとも思っていない。しかし、このままバブルを放置すれば、グリーンスパン時代の二の舞になるので、市場に対してなんらかのブラフをかける可能性がある。2006年以降、米金利との連動性が高いドル相場がここで動くのは間違いないだろう。

 上記の材料に注目しながらも、ここはテクニカル重視で、相場についていくという姿勢を堅持したい。

 下のチャートはトレンド・フォロー(順張り)の代表的なシステムである「タートル・ブレイクアウト1」である。

ドル/円(日足)「タートル・ブレイクアウト1」
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豪ドル/円(日足)「タートル・ブレイクアウト1」
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 「タートル・ブレイクアウト1」は別名ドンチャン・モデルと呼ばれるリチャード・ドンチャン氏考案の売買モデルを改良したもので、「相場の終値が過去20日間の高値を上回れば買い、過去10日間の安値を下回れば手仕舞い」「相場の終値が過去20日間の安値を下回れば売り、過去10日間の高値を上回れば手仕舞い」という単純な順張りブレイクアウト・システムである。

 チャートの赤が売りの期間、緑が買いの期間であるが、今年は“日足ベース”では大きなトレンドは出ていない。相場のダマシを避けるために「タートル・ブレイクアウト1」では「25日移動平均と350日移動平均のクロス方向でしかポジション」をとらないという“フィルター”をかけることがあるが、この手法だと、現在、ドル/円は「円買いシグナルのみ」に追随するルールとなる。2008年の大相場では「タートル・ブレイクアウト1」モデルは大きな収益を上げたが、2009年の相場ではあまり儲かっていない。

 「タートル・ブレイクアウト1」のようなシンプルなモデルが機能しない2009年のこれまでの相場は、どのような順張りシステムを使っても、日足ベースではあまり儲からないと思われる。それはATR(アベレージ・トゥルー・レンジ)の低下傾向(相場変動幅縮小)をみても明らかだ。したがって、筆者の今年の相場は「1時間足」が主役となっている。

 「1時間足」で相場の流れをみるのには、「平均足」を活用するのがよいだろう。あらゆるチャートのなかで、トレンドを読むのに最も適したチャートである。

豪ドル/円(1時間足)の平均足
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 先週のようなランダムな相場でも、1時間足のトレンドフォローにとっては絶好の収益機会となる。相場の変動率が上がらない今年の相場では、「21時間ボリンジャーバンド1σブレイク・システム」はトレンドを取るのに最適のツールと言えるだろう。

豪ドル/円(1時間足)
21時間ボリンジャーバンドの1σの飛び出し局面と20時間ATRの推移
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 利食い・損切りをどこに置くかは、相場の変動幅と密接に関連してくる。相場の“変動幅”こそ、投資家が取っている“リスク”の輪郭と言えるだろう。そして、このリスクの大きさによってポジションの増減を調整しなければ、相場を続けていくことは難しいのである。

 筆者は毎日、「20日ATR チャンネル」(相場の現在値に20日ATR をプラスマイナスしたバンド)を見ている。これは短期の利食いや逆張りに有効なツールだ。

ドル/円(日足)と20日ATR
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ドル/円(日足)と20日ATRチャンネル
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 また、このレポートで「今週の予測レンジ」を発表しているが、これにも相場変動幅の平均というATR のコンセプトが流用されている。

 イベントや経済指標絡みで当面ランダムな相場が続きそうだ。シカゴの恐怖指数が上昇しているが、格安や相場変動率の上昇は、クロス円の下落要因なので注意したい。一本調子で上げ下げしてくれればよいが、現在の過剰流動性下における不景気の株高の環境では外為市場も乱暴な相場にならざるを得ない。不確実性相場でリスクを抑えながらトレンドを抜き取るのは1 時間足でのトレードが一番良いだろう。

シカゴオプション取引所 VIX恐怖指数(日足)
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〔今週の予想レンジ〕
 今週のドル/円、ユーロ/ドル、ユーロ/円、ポンド/円、豪ドル/円相場は、以下のチャートの「黄色の部分をコア・レンジ」とした上下の緑色の部分までの変動を予想している。黄色のコア・レンジをブレイクすると、緑色のレンジに相場の方向が移りやすい。現在、外為市場のボラティリティ(変動率)が上昇している。1時間足のボリンジャーバンドの拡大局面は相場が大きく動く可能性があり、1σ(シグマ)ブレイク時(相場が1σの外にあるとき)の安易な逆張りは慎みたい。

ドル/円 今週の予想レンジ
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ユーロ/ドル 今週の予想レンジ
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ユーロ/円 今週の予想レンジ
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ポンド/円 今週の予想レンジ
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豪ドル/円 今週の予想レンジ
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