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椎名由紀夫の「FXの方程式」

椎名由紀夫

現役ファンドマネジャー、椎名由紀夫氏がタイムリーに提供する「プロの目から見た」相場見通し、ぜひ皆様の投資戦略のご参考としてお役立てください。

2009年11月アーカイブ

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イワイFXウイークリーアウトルック 2009年11月30日

 ドル/円相場が14年ぶりの安値をつけた。ドバイショックが原因で円高が進んでいるかのような報道もあるが、それはきっかけであって原因ではない。通貨の歴史を教えてくれる米国の通貨政策の結論は極めて単純である。米国は好景気の時はドル高政策を、不景気の時はドル安政策をとっている。

 米国では職探しをあきらめた人を含む“広義の失業率”が17.5%を超えて、1929年の大恐慌のときを上回る水準に達している。カリフォルニア州では失業率が20%を超えている。各国政府がなんのために経済政策をやっているかと言えば、それは雇用の安定である。株や資産価格を上げるためにやっているのではない。2009年は中央銀行バブルとも言うべき資産バブルが進展したが、雇用なき景気回復であり、雇用の問題が解決しないかぎり、先進国経済はまだ不景気の最中にある。このような不景気のご時世で、(ドル安のスピードを緩和する介入などはあるが)米国がドル高政策をとることは考えにくい。

 米国がドル安政策をとる理由は明確で、それはサマーズ国家経済会議(NEC)委員長が発言しているように「ドル安を誘導し、米国の輸出力を回復することで、米国経済の中心を消費から生産に戻したい」という一点に尽きる。一方で、ドル安政策については米国内で反対の意見もある。「ドル安は米国への投資を減少させ、それは景気悪化と雇用減につながる」という意見である。米国の輸出回復より、投資減少のデメリットを心配する声も多い。

 しかし、現在の米国がドル高政策をとることはないだろう。オバマ大統領は、11月21日のラジオ演説で、「米国はこれまでのような借金による消費で経済を回してはならず、アジア諸国への輸出で経済発展しなければならない」「米国のアジア輸出が5%増えるだけで米国の失業はかなり減る」「米国民は消費を控えて貯蓄を増やし、政府も財政赤字を減らさねばならない」と事実上のドル安歓迎発言をしている。アジアへの輸出で儲けて景気を回復させようというオバマ大統領の主張は、10月5日のレポート『G7からG20へのパワーシフトと米国の通貨政策』で述べたように、世界経済がG7からG20に取って代わったことを明確に示すものといえるだろう。

 G20で既に確認されているように、国際貿易不均衡を是正するにはドル安が不可欠であり、ドルの急落や暴落(要するにドル安のスピードが問題)が起こらない限り、ドルの穏やかな下落は米国にとって歓迎すべき現象なのである。この副作用はインフレであるが、現在の米国でインフレは起こりそうにない。ドル安の進行で米国の製造業や多国籍企業は恩恵を受けており、ドル安のなかで米株価が堅調なのはその証である。

 米国のドル安政策路線が明確なので、海外中央銀行や政府は、外貨準備の一部を、他の通貨やゴールドなどのコモディティ市場にシフトさせる動きをとっている。昨今のゴールド高は、このような実需の動きが引っ張っているので、押し目があるとすぐに買いが入ってくる。

 グローバル規模の資本家の商売がG7からG20に移行している経済の多極化のなかで、日本は無視されつつある。米国のドル安政策は、ペッグ制(ドルと連動する人民元)のおかげで中国に強力な輸出競争力を与えている。一方、日本は円高で輸出競争力を削がれ、政府がデフレ宣言をするなどデフレ圧力が高まっている。このままでは、日本全体が“シャッター商店街”になってしまいそうだ。どこかで介入を行う可能性があるが、市場ではドルインデックスの72ポイントやドル/円の82~80円が話題となっている。

 11月相場は眠くなるような凪(なぎ)相場が続いてきたが、11月の後半になって突如として相場は動き出した。相場で儲けるためには“大きなトレンドが出るタイミングをはずさない”ことが重要である。先週の相場は“トレンド・ウイーク”で、筆者のような職業トレーダーは必ずリスクテイクしなければならない局面であった。

 先週のようなトレンド相場で威力を発揮するのが、これまでレポートで紹介してきた「ボリンジャーバンド1σ(1STD)のブレイクアウト手法」(相場がボリンジャーバンドの1σを飛び出したら新規ポジションを作り、相場が1σの中に入ってしまったら手仕舞うという手法)である。この手法は移動平均線に傾きのないときは相場に参入してはいけない。下のチャートは豪ドル/円相場の1時間足である。ボリンジャーバンドの拡大と移動平均線の傾きが確認された11月26日~11月27日の1σブレイクアウト局面が、赤枠の部分である。

豪ドル/円(1時間足)21時間ボリンジャーバンド
上段:移動平均線の傾きが確認され、1σ(緑のライン)をブレイクした局面
下段:14時間ADXの推移
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 この手法は、単純に取引を行うなら、移動平均線またはボリンジャーバンドの傾きと1σ抜けだけを注視していればよい。筆者は臆病なので、ADXをトレンド確認の補助ツールに使っている。ADXは相場のノイズを取る(相場のダマシに引っかからない)ための筆者の必須のツールである。実際の取引場面では、ボリンジャーバンドの傾きと、ADXの傾きだけに注目している。

 マーケットで儲けるためには、トレンドを探さなくてはならない。トレンドの発生を確認しても、常に「損をするのではないか」という懐疑心が生まれてくる。昨今の買われすぎのゴールド相場など、とても恐くて買えないことになる。この心理的抵抗を排除してくれるのが、ストップ・ロス注文(あらかじめ計算された損切り注文)である。相場を続ける以上は、損が避けられない。「まあ、やられてもいいか」という余裕がないと、相場に参入するのはむずかしいのである。ストップ・ロス注文を入れない投資家で、長期的に成功した人はいない。相場の要諦は防御にある。大局ドル安相場とはいっても、相場は上がったり下がったりの循環である。今後は介入などもあるかもしれない。資産管理上のストップ・ロス注文をかならず置いておきたい。

ドル/円(週足)とRSI 週足RSIが示唆する逆張りのタイミングは・・?
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〔今週の予想レンジ〕
 今週のドル/円、ユーロ/ドル、ユーロ/円、ポンド/円、豪ドル/円相場は、以下のチャートの「黄色の部分をコア・レンジ」とした上下の緑色の部分までの変動を予想している。黄色のコア・レンジをブレイクすると、緑色のレンジに相場の方向が移りやすい。

ドル/円 今週の予想レンジ
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ユーロ/ドル 今週の予想レンジ
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ユーロ/円 今週の予想レンジ
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ポンド/円 今週の予想レンジ
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豪ドル/円 今週の予想レンジ
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イワイFXウイークリーアウトルック 2009年11月23日

 平均足はローソク足の不規則なノイズ(相場の雑音)を取り払って、相場のトレンド(方向性)を見るのに最適な指標である。以下の2つのチャートは筆者の主力商品である豪ドル/円の1時間足である。

豪ドル/円(1時間足)【ローソク足】
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豪ドル/円(1時間足)【平均足】 赤が売り・緑が買い
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 これをみれば、ローソク足よりも平均足のほうが相場のトレンドが読みやすいことは明確であろう。ローソク足に比べて相場のノイズが圧倒的に少ない。

 以下の2つのチャートは2009年の豪ドル/円相場の日足である。

豪ドル/円(日足)【ローソク足】
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豪ドル/円(日足)【平均足】 赤が売り・緑が買い
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 日足の場合も1時間足と同様に、トレンドを読むことに関しては平均足に軍配が上がるだろう。どのようなタイムフレーム(時間枠)で取引しようと、【平均足】の優位性は変わらない。

 相場の大きなトレンドを読むのに【ジグザク】という指標がある。これは、相場が一定のパーセンテージの値幅を動くとラインを引いていくもので、下のチャートは5%の変動ラインを示している。

ドル/円(日足)【ジグザク】
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 【平均足】のトレンド転換は相場の“実践ツール”となるが、【ジグザク】のような指標は、相場の実践においてはあまり役に立たない。なぜなら、後追いで現在の相場の大きなトレンドを確認することは出来るが、相場が5%も変動すれば、レバレッジ20倍で証拠金がなくなってしまうからである。

 次に【ATR】を使って、現在の相場のリスクを計測してみよう。豪ドル/円を例に取ると、2009年11月23日AM9:45現在の【ATR】は日足の20日平均値幅が1円34銭、週足の20週平均値幅が3円49銭、月足の20ヶ月平均値幅が7円43銭となっている。大雑把に言えば、豪ドル/円のポジションを1日放置した場合は、1円34銭の変動幅リスクにさらされていることになる。筆者は【ATR】の変動幅を定点観測することで相場のリスクを認識し、1回のトレードのポジション金額を調整している。

 持ち値から2ATR(ATRの2倍)離したところにストップ注文を置いて、2ATRの損失額が1回の取引で証拠金の2%以下になるようにポジション金額を決める(上記の豪ドル/円日足ベースの取引では、1円34銭×2=2円68銭幅をストップ・ポイントとし、2円68銭幅の損切りによる損失額が証拠金(元本)の2%となるようにポジションを調整する)のが、マネー・マネージメント(資産管理)の教科書的なルールである。

豪ドル/円(日足)とATR(20日)
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豪ドル/円(週足)とATR(20週)
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豪ドル/円(月足)とATR(20ヶ月)
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 【平均足】を見ることによって相場のトレンドが把握でき、【ATR】を見ることによって相場の変動幅=(リスク)の輪郭が見えてくる。この2つの指標を“定点観測”(同じ指標を継続的に観察していくことで過去との違いをみる)することで、投資家は相場の息づかいを聞くことになるだろう。

 [注意:【平均足】や【ATR】は相場の指針となってくれるが、相場に絶対はないし、絶対のテクニカル指標もない。投資家を守ってくれるのは、ストップ・ロス注文(あらかじめ計算された損切り注文)だけである]

〔今週の予想レンジ〕
 今週のドル/円、ユーロ/ドル、ユーロ/円、ポンド/円、豪ドル/円相場は、以下のチャートの「黄色の部分をコア・レンジ」とした上下の緑色の部分までの変動を予想している。黄色のコア・レンジをブレイクすると、緑色のレンジに相場の方向が移りやすい。

ドル/円 今週の予想レンジ
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ユーロ/ドル 今週の予想レンジ
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ユーロ/円 今週の予想レンジ
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ポンド/円 今週の予想レンジ
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豪ドル/円 今週の予想レンジ
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イワイFX ウイークリーアウトルック2009年11月16日

 実体経済悪と資産バブルの辻褄を合わせる局面がいずれ到来するであろう。しかし、現在の市場ではバブル効果が働いているため、悪材料の表面化はゆっくりとしか進まない。ドル安も同じである。米国はドル安(容認)政策をとっているが、ドル基軸通貨体制にある現在、急速なドル崩壊は世界経済を混乱に陥れる。ドルの崩壊を歓迎する国はないのである。来日したガイトナー長官と会談した藤井財務相は「足元のドル安については米国の問題。円高やユーロ高はドル安からきている。ドル安は米国の経済政策だ」「ガイトナー長官からドル安を懸念する発言もなかった」と発言しているが、市場はほとんど反応していない。バブル相場の中ではドル安も穏やかにしか進まない。
 
  このような状況の中で、最も得をしているのは中国である。中国は自国の通貨相場を米ドルと連動させるペッグ制(固定相場制)をとっているので、人民元はドルと一緒に下落している。ドルと連動する人民元のおかげで、中国は輸出競争力で強力なアドバンテージを持っている。ペッグ制の国は米国の低金利が長期化すると、金利水準が経済成長率に比べて低くなり、自ずとバブルが発生するのである。今年の中国や香港の不動産バブルは起こるべくして起きている。加えて言えば、ドルと人民元のペッグ制が続く限り、ドルの大暴落も起こりにくいといえるだろう。
 
2009年1月を100としたドルインデックス(黄)とドル/人民元(赤)の推移weekly1116_1.gif
 
 
 11月11日、世界銀行のゼーリック総裁は「世界的な失業率の上昇で消費者の債務返済が一段と困難になるため、世界各国・地域の金融機関は新たなリスクに直面している」「景気回復ペースは緩慢なものとなる公算が大きいが、世界の経済と金融市場は回復しつつある。ただ、その回復は世界で均衡の取れたものとはならない」と発言している。「世界で均衡の取れたものとはならない」という言葉の意味は、潜在成長率の低い先進国経済はダメだということだ。
 
 G20の時代、マネーの世界はいまや規制が取り払われ、グローバル化が急速に進んでいる。ヒト・モノ・カネのうち、カネは最もフットワークが軽い。そして、お金は単純なロジックでしか動かない。潜在成長率の低い日本の日経平均株価がよほど暴落しない限りは(割安感が出ない限りは)、投資家は金利や期待収益が大きいブラジルや中国の金融商品を買うことを選好するのである。
 
 外為市場もなんだかんだで、金利相場が続いている。金利というのは経済成長の配当のようなものであり、配当のない国の通貨は買われない。金利見通しから言えば、日本は2010年も唯一金利の上がらない国といわれている。米国の量的緩和と低金利が続くうちは、豪ドル/円か豪ドル/ドルの押し目を買っておくのが正解なのだろう。
 
 高値恐怖症とバブル環境の板挟みでボラティリティの失われた市場環境では、ファンドマネーがオプション市場に資金を移動させており、誰もが“相場がレンジに入っていれば儲かるポジション”を構築している。株式・外為・商品の市場を問わず現在の金融市場は、世界規模で“相場をレンジに押し込めよう“とする投機筋の防戦の売り買いが多く見られる。穏やかなドル安サイクルは継続しているが、相場を動かす決定的な材料がなく、今週も日々の相場では方向性のはっきりしない展開が続くのではないだろうか?
 
〔今週の予想レンジ〕
 今週のドル/円、ユーロ/ドル、ユーロ/円、ポンド/円、豪ドル/円相場は、以下のチャートの「黄色の部分をコア・レンジ」とした上下の緑色の部分までの変動を予想している。黄色のコア・レンジをブレイクすると、緑色のレンジに相場の方向が移りやすい。
 
ドル/円 今週の予想レンジ weekly1116_2.gif
 
ユーロ/ドル 今週の予想レンジweekly1116_3.gif  
  
ユーロ/円 今週の予想レンジ weekly1116_4.gif
 
ポンド/円 今週の予想レンジweekly1116_5.gif
 
豪ドル/円 今週の予想レンジweekly1116_6.gif
 
円相場の相場変動幅(ATR)の動向(データは2009年11月13日まで)

 ドル/円およびクロス円市場は「円の上昇時に変動幅が拡大し、円の下落時に変動幅が縮小する」という市場の構造を持っている。(特に変動幅縮小の過程では円安になりやすいというのが円相場の特徴である)ドル/円やクロス円通貨は、ATR(アベレージトゥルーレンジ)が下がる過程で円安、上がる過程で円高となるパターンが多い。黄色の期間は円の売り放置やキャリー取引はリスクが高くなる。
 
豪ドル/円(左)とユーロ/円(右)の20日ATR
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ポンド/円(左)とドル/円(右)の20日ATR
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イワイFXウイークリーアウトルック2009年11月9日

 アメリカのCFR(外交問題評議会)によって創刊された外交・国際政治専門誌であるフォーリン・アフェアーズの最新号は、『ドル覇権の終わりとグローバル・インバランス』という特集を組んでいる。『ドルとアメリカの赤字-次なる危機を回避するには』C・フレッド・バーグステン、『CFRミーティング インフレかデフレか、それとも・・・』チャールズ・L・エバンス、『CFRブリーフィング グローバル・インバランスがなくならない理由』マーク・レビンソンなどの論客による興味深いドル安論が展開されており、とりわけ「諸外国がアメリカの大規模な財政赤字を(米国債の購入などを通して)ファイナンスし続けるとすれば、現在の危機をもたらした状況が再現され、金融メルトダウンのリスクが再び生じる」と指摘するバーグステンの『ドルとアメリカの赤字』が市場関係者の注目を集めている。

 一方、日本のほうでも日経ビジネス11月2日号が『ドル最終章「1ドル=50円」の恐怖』というタイトルで『ドルが紙くずになる日』という14ページの特集を組んでいる。今年のドル相場はドルインデックスをみると、3月高値から10月安値まで16%の下落を示現したが、果たして、今後ドルが紙くずになるような日がくるのだろうか?

 上記のようなドル安論が浮上している背景には、G20で確認されたグローバル・インバランス(グローバルな不均衡)の是正という長期的な構造改革(ドル安という痛みをともなう)と、資本家のグローバル投資で儲けようという資本の論理がある

ドルインデックス(日足)とフィボナッチのライン
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 また、11月3日にインド準備銀行(RBI)がIMFの保有するゴールド200トンを67億ドルで買ったことで、外貨準備の多様化等の思惑を呼んでいる。これを受けてゴールドは史上最高値を更新し、ゴールド高=ドル安見通しが増えている。

ゴールド先物の日足
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 日経ビジネスの記事を読んだ方から、筆者のところにも「ドル/円は1ドル=50円になりますか?」という照会が来ているが、筆者は「わかりません」と答えている。いずれにせよ、現在のドル安を誘導しているのは米国であり、米国が望んでいるのは“穏やかなドル安”である。この事はしっかり頭に入れておきたい。

 ドルが50円になるかどうかはわからないが、「円高になる条件」なら筆者は答えることができる。

 それは、①米国株が大幅に下がること、②金融市場の変動率が大幅に上がること、の2つである。恐らく、この2つの条件がそろわないと、本格的な円高は到来しない。

 では、この2つの条件を点検してみよう。

●米国株は下がっていない
 現在、米国株は上げトレンドを継続している。相場は市場参加者の1~3ヶ月のコストである移動平均リボンの上にあり、米国株は下げていない。

NYダウ(日足)と移動平均リボン
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日経平均株価(日足)
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〔NYダウ、日経平均ともにストキャスティクスの<ダブル・ループ・パターン>(緑枠)が出ている。目先は株が下落しにくいか・・?〕

●相場の変動率は上がっていない
 シカゴ・オプション取引所のVIX(米S&P500株価指数オプションのボラティリティ・インデックス)恐怖指数は、今年の相場では下落基調が続いている。今後、VIXが35を超えてこない限り、下落トレンドが反転したとは言えないだろう。

VIX恐怖指数(日足) ボラティリティ(変動率)が上がりそうで上がらない・・
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 下のチャートは日経平均株価のヒストリカル・ボラティリティ(20日)だが、昨年のリーマン危機時に121%という100年に1回の変動率を記録して以来、変動率は低下している。VIXのチャートと瓜二つで、日本株と米国株は動きがまったく同じである(外国人が日本株を買わない理由=分散投資が効かない)

日経225のヒストリカル・ボラティリティ(日足)
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 本格的な円高が到来する2つの条件が満たされていないので、11月9日現在は大きな円高トレンドが発生する環境にないと言えるだろう。NYダウが上げ基調、VIX恐怖指数が下げ基調のうちは、本格的な円高サイクルは到来しないと思われる。

2009年1月末を100としたNYダウ(青)・VIX(赤)・豪ドル/円(緑)の推移
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 2009年の相場も11月に入った。シカゴ市場では、今年の相場で最も効率よく稼いだのはオプションの売り手(変動率=ボラティリティの売り手)であったと言われている。昨年のリーマン危機でオプション価格は暴騰(=変動率が急上昇)したが、2009年は中央銀行のバブル政策で金融危機がいったん終息し、オプション価格は暴落した。相場はオプション市場で“変動率”を売ったり買ったりすることも出来るのである。

シカゴのあるオプション専門ファンドの運用成績(2005~2009年)
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〔今週の予想レンジ〕
 今週のドル/円、ユーロ/ドル、ユーロ/円、ポンド/円、豪ドル/円相場は、以下のチャートの「黄色の部分をコア・レンジ」とした上下の緑色の部分までの変動を予想している。黄色のコア・レンジをブレイクすると、緑色のレンジに相場の方向が移りやすい。

 クロス円相場は米国株連動なので下値が堅くなっている。ドル/円は<戻り売りの周期>に入っているが、現在のところクロス円相場の影響で下げは緩慢である。オシレーターをみるとクロス円相場の日足の<モメンタムは中立>で、今週の相場は上下どちらに振れてもおかしくない。

ドル/円 今週の予想レンジ 
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ユーロ/ドル 今週の予想レンジ 
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ユーロ/円 今週の予想レンジ
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ポンド/円 今週の予想レンジ
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豪ドル/円 今週の予想レンジ
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円相場の相場変動幅(ATR)の動向(データは2009年11月6日まで)
 ドル/円およびクロス円市場は「円の上昇時に変動幅が拡大し、円の下落時に変動幅が縮小する」という市場の構造を持っている。(特に変動幅縮小の過程では円安になりやすいというのが円相場の特徴である)ドル/円やクロス円通貨は、ATR(アベレージトゥルーレンジ)が下がる過程で円安、上がる過程で円高となるパターンが多い。黄色の期間は円の売り放置やキャリー取引はリスクが高くなる。

豪ドル/円(左)とユーロ/円(右)の20日ATR
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ポンド/円(左)とドル/円(右)の20日ATR
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イワイFX ウイークリーアウトルック 2009 年11月2日

 現在の相場は「世界の株式相場が8ヶ月に及ぶ上昇で68%高となっても、投資家やアナリストが一段のリスクを取る時機だと確信したり、米経済政策や銀行システムへの懸念を解消することができていない」(ブルームバーグ端末利用者調査)と報道されているように、実体経済悪と金融市場の乖離が激しいので、売っても買っても投資家は「恐怖」に支配されている。楽観と悲観の繰り返しだ。

 相場が荒れている理由は、(1)出口政策あるいは出口後に対する不安、(2)ファンドの決算要因、の2つを指摘する声が多い。現在の景気回復は、各国政府による対策に負うところが大きく、来年以降の2番底不安が常につきまとう。また、11月15日にヘッジファンドの決算が集中しており、10月後半から利益確定の売買が目立っている。

 今週の相場の焦点は11月4日のFOMCとなろう。「FRB 当局者が来月、利上げの可能性を示すシグナルを出す方法やその時期について議論するだろう」「FRB 当局者は長期にわたる超低金利が終了することを市場に知らせる最善策の検討を開始している。この問題は11 月3、4 両日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議題となる公算がある」(ウォールストリート・ジャーナル)、「FOMC が3 月から声明で使ってきた、経済状況が“長期にわたって”異例な低金利を正当化する可能性が高いという文言を変更する可能性がある」(フィナンシャル・タイムズ)という報道から、米国の低金利長期化観測に変化が出るのか否かが11 月4日のFOMC の焦点となっている。

 筆者はバーナンキFRB 議長が本当にインフレを警戒しているとは思っていないし、低金利を早期に解除するとも思っていない。しかし、このままバブルを放置すれば、グリーンスパン時代の二の舞になるので、市場に対してなんらかのブラフをかける可能性がある。2006年以降、米金利との連動性が高いドル相場がここで動くのは間違いないだろう。

 上記の材料に注目しながらも、ここはテクニカル重視で、相場についていくという姿勢を堅持したい。

 下のチャートはトレンド・フォロー(順張り)の代表的なシステムである「タートル・ブレイクアウト1」である。

ドル/円(日足)「タートル・ブレイクアウト1」
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豪ドル/円(日足)「タートル・ブレイクアウト1」
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 「タートル・ブレイクアウト1」は別名ドンチャン・モデルと呼ばれるリチャード・ドンチャン氏考案の売買モデルを改良したもので、「相場の終値が過去20日間の高値を上回れば買い、過去10日間の安値を下回れば手仕舞い」「相場の終値が過去20日間の安値を下回れば売り、過去10日間の高値を上回れば手仕舞い」という単純な順張りブレイクアウト・システムである。

 チャートの赤が売りの期間、緑が買いの期間であるが、今年は“日足ベース”では大きなトレンドは出ていない。相場のダマシを避けるために「タートル・ブレイクアウト1」では「25日移動平均と350日移動平均のクロス方向でしかポジション」をとらないという“フィルター”をかけることがあるが、この手法だと、現在、ドル/円は「円買いシグナルのみ」に追随するルールとなる。2008年の大相場では「タートル・ブレイクアウト1」モデルは大きな収益を上げたが、2009年の相場ではあまり儲かっていない。

 「タートル・ブレイクアウト1」のようなシンプルなモデルが機能しない2009年のこれまでの相場は、どのような順張りシステムを使っても、日足ベースではあまり儲からないと思われる。それはATR(アベレージ・トゥルー・レンジ)の低下傾向(相場変動幅縮小)をみても明らかだ。したがって、筆者の今年の相場は「1時間足」が主役となっている。

 「1時間足」で相場の流れをみるのには、「平均足」を活用するのがよいだろう。あらゆるチャートのなかで、トレンドを読むのに最も適したチャートである。

豪ドル/円(1時間足)の平均足
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 先週のようなランダムな相場でも、1時間足のトレンドフォローにとっては絶好の収益機会となる。相場の変動率が上がらない今年の相場では、「21時間ボリンジャーバンド1σブレイク・システム」はトレンドを取るのに最適のツールと言えるだろう。

豪ドル/円(1時間足)
21時間ボリンジャーバンドの1σの飛び出し局面と20時間ATRの推移
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 利食い・損切りをどこに置くかは、相場の変動幅と密接に関連してくる。相場の“変動幅”こそ、投資家が取っている“リスク”の輪郭と言えるだろう。そして、このリスクの大きさによってポジションの増減を調整しなければ、相場を続けていくことは難しいのである。

 筆者は毎日、「20日ATR チャンネル」(相場の現在値に20日ATR をプラスマイナスしたバンド)を見ている。これは短期の利食いや逆張りに有効なツールだ。

ドル/円(日足)と20日ATR
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ドル/円(日足)と20日ATRチャンネル
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 また、このレポートで「今週の予測レンジ」を発表しているが、これにも相場変動幅の平均というATR のコンセプトが流用されている。

 イベントや経済指標絡みで当面ランダムな相場が続きそうだ。シカゴの恐怖指数が上昇しているが、格安や相場変動率の上昇は、クロス円の下落要因なので注意したい。一本調子で上げ下げしてくれればよいが、現在の過剰流動性下における不景気の株高の環境では外為市場も乱暴な相場にならざるを得ない。不確実性相場でリスクを抑えながらトレンドを抜き取るのは1 時間足でのトレードが一番良いだろう。

シカゴオプション取引所 VIX恐怖指数(日足)
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〔今週の予想レンジ〕
 今週のドル/円、ユーロ/ドル、ユーロ/円、ポンド/円、豪ドル/円相場は、以下のチャートの「黄色の部分をコア・レンジ」とした上下の緑色の部分までの変動を予想している。黄色のコア・レンジをブレイクすると、緑色のレンジに相場の方向が移りやすい。現在、外為市場のボラティリティ(変動率)が上昇している。1時間足のボリンジャーバンドの拡大局面は相場が大きく動く可能性があり、1σ(シグマ)ブレイク時(相場が1σの外にあるとき)の安易な逆張りは慎みたい。

ドル/円 今週の予想レンジ
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ユーロ/ドル 今週の予想レンジ
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ユーロ/円 今週の予想レンジ
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ポンド/円 今週の予想レンジ
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豪ドル/円 今週の予想レンジ
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