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椎名由紀夫の「FXの方程式」

椎名由紀夫

現役ファンドマネジャー、椎名由紀夫氏がタイムリーに提供する「プロの目から見た」相場見通し、ぜひ皆様の投資戦略のご参考としてお役立てください。

2009年9月アーカイブ

イワイFX ウイークリーアウトルック2009年9月28日

 9月24日のFOMCは「MBS(住宅ローン担保証券)とエージンシー債(住宅関連機関債)の購入ペースを鈍化させ、当初は年末に終了する予定だった購入プログラムを3ヶ月延長する方針(購入総額は1兆4,500億ドルに据え置き)」を決定した。FRBは8月のFOMCで「長期国債買い入れを1ヶ月延長・10月末までに終了」することを決定して以来、金融正常化(出口戦略)に向けてゆっくりと動き出していると言えよう。現在のバブル相場はFRBのポートフォリオの膨張で成り立っているので、FOMCの決定はバブル減速要因だが、低金利政策は当分続くため市場は楽観しているようだ。

 現在の金融バブルに沸いている株式相場が金融正常化を経て「業績相場」に移行すれば問題がないが、これはかなりハードルが高いのではないかと筆者はみている。むしろ、過剰流動性を吸収することによって、金融相場が「逆金融相場」になるのではないかという懸念がある。

FRBのバランスシート(2008年1月~2009年9月)
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 9月14日の英テレブラフ紙に「米銀は貸し渋りを拡大しており、信用供給の総量が減少し、これを受けてドルの流通量も急減している。減少のスピードは大恐慌の1930年代初頭を思わせる激しさである」という「米景気のW底懸念」の記事があったが、どうもバブル相場の裏側で見えない金融収縮が始まっているような気がする。

 時価会計が凍結されているうちは、デリバティブの損失も表面化しないし、損切りも出てこないが、現在の株高が砂上の楼閣的な危うさを内包していることは頭に入れておきたい。デリバティブ商品の損失の多くは簿外(オフ・バランス)であり、決算発表の数字だけでは金融機関の全容が見えない。バーナンキFRB議長は「景気底打ち宣言」をしているが、話半分に聞き流しておくのがよいだろう。米CNNの世論調査で86%の米国民が「米国経済は景気後退に入っている」と答えているように、米国の実体経済は実質17%を超える大量失業や、米銀を直撃する商業用不動産の問題等、この先も難題だらけだ。

 一方、米銀は大口客となっているFRBを窓口に低利で資金調達が可能なため、行き場のない資金を金融市場に投入している。その結果、金融商品の世界だけはどんどんバブルが進んでいく。現状、このような二極化と楽観・悲観のせめぎあいの中で、筆者が何に注目しているかというと、それは米銀の株価である。米銀行株の指数が上がっているうちは金融バブル相場が継続するが、逆金融相場になったときには、この指数が最も敏感に反応するだろう。

フィラデルフィアKBW銀行株指数(日足)
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 通貨供給量を増やしすぎた結果としての株高の裏側で、外為市場ではドル安という副作用が露呈してきている。また、倍率という比較感からは、FRB以上にポートフォリオを膨らませているのがBOE(英中銀)である。8月あたりから英国の財政不安や英商業用不動産ローン問題が浮上し、ポンドは資金逃避と投機筋の売りで軟調な展開が続いている。通貨をプリンティングしすぎている米・英の通貨が売られているというのが、現在のドル安・ポンド安の構造で、ドルキャリーやポンドキャリーのトレードで通貨安になっているのではない。

中央銀行のポートフォリオの拡大比率=ドル安・ポンド安の構造
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 英銀はロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループとロイズ・バンキング・グループの2行が、英不動産市況の低迷から合計3兆円近い評価損を計上しており、英商業用不動産ローンの大半がデフォルト状態で借り換え困難と言われている。先週のレポートで「現在、ユーロ/ポンドに日足ベースでトレンドが発生(ユーロ買い・ポンド売り)しており、投機筋の注目を集めている」と述べたが、9月24日にキング英中銀総裁が「ポンド安が輸出促進による英経済リバランスの助けになる」と保護主義的発言をしたことで、ポンド売りに拍車がかかり、ユーロ/ポンドが急騰、ポンド/ドルは急落した。

ユーロ/ポンド(左)とポンド/ドル(右)の日足
上段:14日ADX(赤)と26日標準偏差ボラティリティ
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 今年のポンド相場は対ドルで比較的底堅い動きとなっていたが、現在の外為相場は紙幣の印刷需給相場である。ようやくポンド相場にも大量印刷のツケがまわってきたようだ。BOEの総裁がポンド安を望み、藤井財務大臣が円安政策はとらないと言っているのだから、投機筋はポンド/円の売りを仕掛けてくるだろう。ポンド/円相場の売りトレンドが大きな相場となるか注目したい。

ポンド/円(日足)21日ボリンジャーバンド1σの飛び出しと14日ADX
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ポンド/円(1時間足)21時間ボリンジャーバンド1σの飛び出しと14時間ADX
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 下のチャートは、今年の3月17日を100とした円相場の推移だが、もっとも出口に近いと言われ、今年の最強通貨となっている豪ドル/円は、円高局面でも下方硬直性があるので、円買い局面は他の通貨ペアを選択したほうがよいだろう。

2009年3月17日を100とした円相場の推移
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 ドル/円相場は、先週金曜日に近くて遠いと言われた90円を、4回目のトライでブレイクした。紙幣印刷需給相場が8月から継続しており、今後も循環的にドル安・ポンド安相場がつづくだろう。ポンド売り相場は現在、トレンドの自己強化プロセスに入っている。ドル/円相場は週初に90円を回復しない限り、87円をトライしにいくことになりそうだ。いずれにせよ、「相場に逆らわずについていく」というスタンスを維持したい。

 今週のドル/円、ユーロ/ドル、ユーロ/円、ポンド/円、豪ドル/円相場は、以下のチャートの「黄色の部分をコア・レンジ」とした上下の緑色の部分までの変動を予想している。黄色のコア・レンジをブレイクすると、緑色のレンジに相場の方向が移りやすい。

ドル/円 今週の予想レンジ
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ユーロ/ドル 今週の予想レンジ
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ユーロ/円 今週の予想レンジ
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ポンド/円 今週の予想レンジ
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豪ドル/円 今週の予想レンジ
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●円相場の相場変動幅(ATR)の動向(データは2009年9月25日まで)
 ドル/円およびクロス円市場は「円の上昇時に変動幅が拡大し、円の下落時に変動幅が縮小する」という市場の構造を持っている。(特に変動幅縮小の過程では円安になりやすいというのが円相場の特徴である)ドル/円やクロス円通貨は、ATR(アベレージトゥルーレンジ)が下がる過程で円安、上がる過程で円高となるパターンが多い。黄色の期間は円の売り放置やキャリー取引はリスクが高くなる。

豪ドル/円(左)とユーロ/円(右)の20日ATR
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ポンド/円(左)とドル/円(右)の20日ATR
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イワイFXウイークリーアウトルック2009年9月18日

 バブル環境にある現在の相場はすべて「いいとこ取り」をするので、ドル売りをドルキャリー取引と呼んでいる。しかし、その底流にはインフレ懸念、実質17%と言われる失業率、商業用不動産市場の下落に伴う金融機関の破綻予測など、ドルの信用力を失墜させるドル安バブルの萌芽をみることができよう。

 FRBが9月17日に発表したFRBのバランスシートをみると、FRBの総資産は住宅ローン担保証券(MBS)の買い入れで6週間連続の増加(前週比519億ドル増の2兆1,400億ドル)となっている。また9月15日には イングランド銀行のキング総裁が「商業銀行の準備預金の金利を引き下げることを検討している」ことを明らかにした。現在のJobless Recovery(雇用なき景気回復)を受けて、出口政策がとれないままバブル政策が続いていけば、市場にインフレ懸念が浮上するのは当然と言えよう。実際、現在の外為相場は過剰発行通貨(紙幣のプリント枚数が多い)が売られている。その結果としてのドル安・ポンド安というトレンドが現在発生中である。

 現在の外為市場はドル売りを中心にまわっており、円相場はドル/円を除くとトレンドがはっきりしない。ドルインデックスをみると、5月以降はドル売りトレンドが明確である。このトレンドが消滅するには協調介入が必要となるが、筆者のみるところ下のチャートの黄色いゾーンまではその可能性は小さい。

ドルインデックス(日足)
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 対ドルの通貨ペアは、大雑把に言えば(英ポンドを除いて)すべての主要通貨でドル安となっている。

ユーロ/ドル(左)とドル/円(右)の日足
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ドル/スイス(左)とポンド/ドル(右)の日足
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豪ドル/ドル(左)とドル/ランド(右)の日足
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 上記の通貨ペアの中で、筆者はユーロ/ドルと豪ドル/ドルの取引を好む。ファンドや投機筋の間で人気があるからだ。以前のレポートで、当たり屋のファンドが「豪ドル/ドルが0.85を上抜いてくると利益が出るポジションを組んでいる」ことを紹介したが、豪ドル/ドルは9月17日には0.8775まで上昇し、このポジションは評価益となっている。次は0.8950をターゲットに豪ドル買いのポジションを構築しているようだ。また、ドル安・ポンド安相場を映して、現在ユーロ/ポンドに日足ベースでトレンドが発生(ユーロ買い・ポンド売り)しており、投機筋の注目を集めている。

ユーロ/ポンド(日足) 21日ボリンジャーバンド1σとADXの推移
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 クロス円相場は、(ポンド/円を除いて)ドル売りとドル円の円高で方向感が乏しい展開が続いている。日足ベースでは相場がどっちを向いているのかわからない状況だ。

豪ドル/円(左)とユーロ/円(右)の日足
上段:21日ボリンジャーバンド1σ 下段:14日ADX
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ポンド/円(左)とランド/円(右)の日足
上段:21日ボリンジャーバンド1σ 下段:14日ADX
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 ドル安相場なので、現在比較的わかりやすい動きとなっているのはドルストレートの通貨ペアである。ユーロ/ドルやドル/円は日足ベースでもトレンドが発生しやすい状況となっており、久しぶりにトレンドにつく相場環境となっている。

ユーロ/ドル(日足) 21日ボリンジャーバンドと14日ADXの推移
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ドル/円(日足) 21日ボリンジャーバンドと14日ADXの推移
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 上に述べたように、クロス円相場はトレンドレスである。日足ベースで豪ドル/円をみても、移動平均は横這い、14日ADXは低下中で、売りでも買いでもない状況だ。

豪ドル/円(日足) 21日ボリンジャーバンドと14日ADXの推移
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 今週はオプションがらみの防戦買いが多くて、相場の変動率が上がらなかった。とくに直近の相場は相場の値幅が小さく、筆者の好きな1時間足の取引も面白くない相場となっている。

豪ドル/円(時間足) 21時間ボリンジャーバンド1σと14時間ADXの推移
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 現在の外為相場は紙幣の印刷需給相場である。それ以上のファンダメンタルズを考えると動けなくなってしまう。現在、世界経済が今後インフレになるのか、デフレになるのかエコノミストの間でも見方が分かれている。現状は大きなデフレ相場(債券が売られない)の中のインフレ期待相場となっているようだが、バブル環境は温存されているので、今年一杯はインフレ期待相場が継続する可能性があるだろう。この先、インフレになるのかデフレになるのか見当がつかないが、筆者はどちらになろうとドル安トレンドはしばらく継続されると考えている。

米10年国債利回り(日足) 世界経済はインフレとデフレのどちらに向かうのか・・
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 リーマンショックから1年が経過したが、次の火種は商業用不動産と言われている。8,000行ある米銀の1,000行程度が破たんするという予測があるように、金融危機はいまだ去っていない。日本では9月17日に亀井静香郵政問題・金融担当相の「中小企業や個人の住宅ローンについて債務返済を最長で3年程度猶予する制度を創設する」というモラトリアム発言があったが、平成の徳政令と言うべき内容だ。これでは銀行のビジネスモデルが成り立たない。これは円売り要因だが、円安になる前にリスク収縮による円高(ストップ・ロス相場)が起こるのが相場の常である。また、同じ日に英国では「英金融大手ロイズ・バンキング・グループが英金融サービス機構(FSA)の厳格な健全性基準を満たせるだけの十分な増資計画を提示できず、財務省の資産保証スキーム(APS)からの離脱を断念せざるを得なくなった」(英紙テレグラフ)と報道されている。また、「米銀の貸し渋りが加速しており、信用供給の総量の減少スピードは、大恐慌の1930年代以来となっている」(英紙テレグラフ)ようだ。

 このような不安定・不透明環境では、今後、何起こるかわからない。大局的な相場観は必要だが、相場の実践においては「相場についていくという姿勢」と「ストップ・ロス」を徹底したい。

 筆者は、週足・日足・時間足など、どのようなタイムフレームにおいても、
(1) 移動平均の傾きを確認する。(移動平均に傾きがないときはトレードしない)
(2) 相場が終値でボリンジャーバンドの1σをブレイクしたら、相場に参入する。
(3) 相場が終値でボリンジャーバンドの1σの内側に入ってしまったら手仕舞う。
  (利食いポイントは人それぞれ)
さらに手堅く相場をやるには、
(4) (1)と(2)の条件を満たし、ADXが上昇している局面のみ相場に参入する。
という売買ルールを実践しているが、タイムフレーム(時間枠)が大きくなるほどリスクは大きくなる。その際、重要なのはリスクコントロールである。相場観が当たっていても、レバレッジを上げすぎると相場が続けられなくなってしまう。オーバー・トレードは厳に慎みたい。

 中間期末を控えているなか、日本はこれから大型連休に入る。連休中は円相場の流動性が落ちるので、相場の乱高下に注意したい。

●円相場の相場変動幅(ATR)の動向(データは2009年9月17日まで)
 ドル/円およびクロス円市場は「円の上昇時に変動幅が拡大し、円の下落時に変動幅が縮小する」という市場の構造を持っている。(特に変動幅縮小の過程では円安になりやすいというのが円相場の特徴である)ドル/円やクロス円通貨は、ATR(アベレージトゥルーレンジ)が下がる過程で円安、上がる過程で円高となるパターンが多い。黄色の期間は円の売り放置やキャリー取引はリスクが高くなる。

豪ドル/円(左)とユーロ/円(右)の20日ATR
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ポンド/円(左)とドル/円(右)の20日ATR
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イワイFXウイークリーアウトルック2009年9月14日

 ゴールドが三角保合いを上方にブレイクし、1,000ドルを付けた。同時にドル安トレンドに拍車がかかっている。8-9月と株の動きがやや鈍くなってきたので、投機筋がコモディティで仕掛けに出たと言われている。この動きと歩調を合わせるようにユーロ/ドルも三角保合いをブレイクしており、秋相場が久々の大相場になるのではないかとファンド勢の期待が高まっている。

ドルインデックス(左)とゴールド先物(右)の日足
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原油先物(左)とユーロ/ドル(右)の日足
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 これまでも述べてきたように、通貨をプリンティングしすぎているドルやポンドは需給的に売られやすくなっている。中央銀行のバランスシートが急激な資産増となっている通貨が買われることは常識的におかしいからだ。

リーマンショック後の昨年9月に、FRBは前人未踏の資金供給を行った。

米国(FRBのバランスシート)
8,690億ドル=約81兆円(08年8月8日)→2兆2,000億ドル=約204兆円(09年8月26日)

日本(日本銀行のバランスシート)
109兆円(08年8月10日)→118兆円(09年8月24日)

 大増刷されているドルにくらべて、日本の資金供給はわずかなものである。この数字を単純に比較すれば、ファンダメンタルズからみた相場の大局は円高・ドル安であろう。

 FRBによって供給されたジャブジャブの流動性が、現在資産バブルをもたらしているが、経済対策を何のためにやっているのかと言えば、究極は雇用(失業対策)のためである。しかし、バーナンキFRB議長も認めている通り、現在は「雇用なき景気回復」となっている。市場には「米国の高失業率が5年は続く」との観測もあり、出口政策をやるにしても、<過去の水準>と比べれば高水準の財政出動と超低金利の時代が長期化するだろう。表面的にはインフレ期待値の上昇を懸念している“ヘリコプター・ベン”バーナンキFRB議長がインフレ軽視であることを市場は見抜いている。一方、ECBのトリシェ総裁は、英FT紙で「通貨政策と財政政策は分離すべきだ。欧州中銀は原則を守り、国債買い取りをやっていない」と述べており、暗に米英を批判している。中央銀行に対する信任という意味ではECBのほうが上である。これがユーロ高の背景である。

 このようなインフレ期待による相場が長続きするかどうかは疑問もある。現在、米国の銀行は本業である貸し出しが伸びず(不動産をはじめとする貸し渋り状況)、銀行の機能は決済機能と相場参戦だけである。時価会計棚上げの状況下で貸し出しが抑制されているため、行き場のない余剰資金が国債市場にむかっている。米国の長期金利を見る限り、現在はデフレと呼ぶにふさわしい。しかし、現在の経済状況は<2重構造>(インフレとデフレの共存)となっており、世界経済がインフレになるのかデフレになるのかについての明確な回答は誰も持っていない。

米国10年国債利回り(日足) 2007~2009年とギャン・アングル
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デフレの象徴である日本10年国債利回り (日足)1988~2009年
長期にわたる低金利 日本に出口政策はあるのか?
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 FRBによる<人為的なバブル政策>はこれまでは副作用もなくうまくワークしてきた。しかし、オバマ大統領の支持率が低下する中で、米議会が今後のバブル相場の命運を握ると言われており、先行きは不透明だ。
 
 いつもそうだが、株が上昇(バブル)傾向にあるうちは負の問題は隠蔽されている。著名投資家ウォーレン・バフェット氏は「大量の金融特効薬が引き続き投与されており、遠からず副作用が出てくるだろう。今のところ副作用の大半は顕在化していないし、実際、潜伏期間は長いかもしれない。しかしながら、その脅威は金融危機自体と同じくらい不気味だ」(NYタイムズ)と述べている。

 いずれにせよ、我々はこのような不確かなファンダメンタルズの下で、相場に参戦しなければならない。中・長期の見通しが不確かなうちは、<短期取引>と<相場技術>で乗り切るしかないだろう。

 投資家は「現在、マーケットが何を相場のテーマとしているのか?」を知っておく必要がある。投資対象と分散投資に関わる重要な要素だからである。しかし、相場の実践(売買)では難しいことを考えても不安やストレスが増大するだけだ。

筆者は、
(1)移動平均の傾きを確認する(移動平均に傾きがないときはトレードしない)。
(2)相場が終値で21時間ボリンジャーバンドの1σをブレイクしたら、相場に参入する。
(3)相場が終値で21時間ボリンジャーバンドの1σの内側に入ってしまったら手仕舞う(利食いポイントは人それぞれ)。

さらに収益の確率を上げるには、
(4)(1)と(2)の条件を満たし、かつ14時間ADXが上昇している局面(下の1時間チャートの緑色の枠の部分)のみ相場に参入する。

という売買手法を淡々と実行していくだけである。

イワイFX ドル/円(1時間足)21時間ボリンジャーバンド1σと14時間ADX
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イワイFX 豪ドル/円(1時間足)21時間ボリンジャーバンド1σと14時間ADX
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 今週のドル/円、ユーロ/ドル、ユーロ/円、ポンド/円、豪ドル/円相場は、以下のチャートの「黄色の部分をコア・レンジ」とした上下の緑色の部分までの変動を予想している。黄色のコア・レンジをブレイクすると、緑色のレンジに相場の方向が移りやすい(ドル/円相場は7月安値を割り込んだことで、本格的なドル弱気相場に入った可能性がある。短期周期的には、今週から来週にかけてドルが短期的な底をつける可能性もあるが、ドル売り圧力は強い)。

ドル/円 今週の予想レンジ
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ユーロ/ドル 今週の予想レンジ
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ユーロ/円 今週の予想レンジ
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ポンド/円 今週の予想レンジ
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豪ドル/円 今週の予想レンジ
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●円相場の相場変動幅(ATR)の動向(データは2009年9月11日まで)
 ドル/円およびクロス円市場は「円の上昇時に変動幅が拡大し、円の下落時に変動幅が縮小する」という市場の構造を持っている。(特に変動幅縮小の過程では円安になりやすいというのが円相場の特徴である)ドル/円やクロス円通貨は、ATR(アベレージトゥルーレンジ)が下がる過程で円安、上がる過程で円高となるパターンが多い。黄色の期間は円の売り放置やキャリー取引はリスクが高くなる。

豪ドル/円(左)とユーロ/円(右)の20日ATR
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ポンド/円(左)とドル/円(右)の20日ATR
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イワイFX ウイークリーアウトルック2009年9月7日

 政策総動員の効果で景気指標や企業業績は多少改善しているが、株価はそれ以上に買われてしまっている。それが現在の相場の足踏みの理由であろう。現在の相場は「業績相場」ではなく「金融相場」(不景気の株高)である。したがって、各国の中央銀行、とりわけ世界の中央銀行とも言えるFRBの政策が相場の将来を決めていくのである。現在、FRBがジャブジャブの「需給相場」をいつまで続けるのか、この先の金融引き締めがどのような時間軸で行われるのか(金融緩和サイクルはいつ終わるのか)という問題がファンドマネジャーの間で議論の的となっている。

 金融緩和を背景にした過剰流動性相場の胴元であるFRBの総資産は、リーマンショック後の不良債権の買い取りによって昨年の9月に急拡大し、80兆円から220兆円と2倍以上になった。それ以外にFRBは簿外で500兆円規模の保証勘定を持っており、現在700兆円規模の流動性を供給している。この歴史上類をみない過剰流動性が世界的なバブル相場を演出しているわけであるが、8月のFOMCでFRBが3,000億ドル規模の長期米国債購入プログラムを10月で終了すると発表したころから株価の上値は重くなってきている。量的緩和を徐々に後退させていくと、反動の「逆金融相場」が到来する(おそらく簡単には業績相場に移行しない)可能性が大きいので、出口政策は相当難しい舵取りとなるだろう。

 FRBの流動性供給プログラムは、日本が得意とする「資産」と「負債」の両方を膨らまして景気を押し上げる手法であるが、言い換えれば借金バブルであり負債の先送りである。FRBのかかえる負債をいつまでロールオーバーできるかを不安視する声もある。しかし、時価会計が棚上げとなっている現在、巨額の含み損の先送りは可能である。ただし、時価評価をしない(損切りをしない)金融機関の利益の計上などなんの意味もない。いずれツケが廻ってくるだろう。

 現在の金融相場は「資産」と「負債」の両建てである。現在、あり余るマネーに焦点を当てるか、その裏にある負債に焦点を当てるかによって、この先の相場観がはっきり分かれてきている。

 著名投資家であるポール・チューダー・ジョーンズ氏のチューダーファンドは、8月3日付の顧客向け書簡で「米国株高を弱気相場の中での上昇だと指摘。家計所得の弱い伸びなどを理由に、株高が継続する可能性は疑問だとした」(ブルームバーグ)と報道されている。一方、ゴールドマンサックスのシニア投資ストラテジスト、アビー・ジョセフ・コーエン氏は8月17日、ブルームバーグラジオのインタビューで、「米リセッションは“今、終息しつつある”との見解を示したほか、2010年の米成長率を2%と予想。モルガン・スタンレーのエコノミストらは過去1カ月で09年7-9月期の成長率見通しを引き上げて年率4.8%としている」(ブルームバーグ)といった報道にあるように、金融機関は軒並み強気の見通しである。一体、どちらが正しいのであろうか?

 市場の一部で噂されているようにFRBの量的緩和からの脱却=金融正常化(金利の引き上げではない)が2010年初頭に行われるなら、チューダー氏のシナリオが実現する可能性の方が高いだろう。2010年の米国のGDPの伸び率は強気なストラテジストは2%、弱気なストラテジスト1%と予測している。日本やユーロ圏は1%以下がコンセンサスとなっている。このような低成長下で株が大幅に上昇するには、FRBの資産をさらに拡大させなければならないが、出口戦略うんぬんが議論されている現状ではそのようなシナリオは描けない。リーマンショック後の政策総動員の効果は10-12月期には薄れてくるだろう。おそらく10-12月期がバブル相場持続の正念場となるのではないだろうか?

 筆者の観測では、FRBはそう簡単には出口戦略などとれないとみている。中央銀行に失敗は許されないからだ。FRBの総資産が220兆円となり腰を抜かしている筆者であるが、ゴールドマンサックスの米国担当主任エコノミストであるジャン・ハッチウス氏は「FRBのバランスシートが4兆ドル(約380兆円)規模まで膨張することは可能性としてある」(ブルームバーグ)と発言している。このようなことが実現するには、株が急落し米銀が1,000行くらい破綻するなどの大義名分が必要だが、いずれにせよ、実体経済の不況は長いトンネルとなりそうだ。

 ドル/円相場は現在、トレンド形成期に入っている。久々に14日ADXと26日標準偏差ボラティリティが上昇しており、穏やかな円高トレンドが発生している。2月から3月に大相場をやってから、ドル/円相場は久しく大きなトレンドが出ていない。バブル下の相場であることからレンジ推移を予測している市場参加者が多いが、この9月相場が90円を下回る円高相場になるのか注目されるこころだ。7月安値の91円70銭にストップ注文が集中しているので注意したい。

ドル/円(日足)14日ADX(赤)と26日標準偏差ボラティリティ(青)の推移
3月以来の大きなトレンドは発生するのか?それとも短期で消滅か・・
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 また、歴史的に9月は米国株のパフォーマンスがさえない月であること、ファンドの解約が9月は大きいといわれていることも考慮する必要がある。

NYダウの9月(↑)の月足 1999年~2009年
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 バブル相場の最もおいしい半年間は8月で終わった。これからの相場は不確実性が増していくだろう。思惑がはずれると大きな損失を被る時間帯に入っている。したがって、過剰な思い込みを排除して、相場についていくというスタンスをとりたい。

 筆者が相場についていく具体的な方法は、先週のレポートでも紹介した「21時間ボリンジャーバンドの1σ+14時間ADXを併用した順張りトレード」手法である。この手法は筆者が考案し、筆者の周辺の20人以上の職業トレーダーが実践しているが、最も手堅くケガの少ない売買手法と思われる。なにより、相場から受けるストレスが小さい。

9月7日11時30分現在の豪ドル/円(1時間足) 
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 今週のドル/円、ユーロ/ドル、ユーロ/円、ポンド/円、豪ドル/円相場は、以下のチャートの「黄色の部分をコア・レンジ」とした上下の緑色の部分までの変動を予想している。黄色のコア・レンジをブレイクすると、緑色のレンジに相場の方向が移りやすい(先週、7月安値トライに失敗しており、ドル/円相場が91円80銭を維持している限り、今週のクロス円相場は短期的な戻りを試すことになりそうである)。

ドル/円 今週の予想レンジ
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ユーロ/ドル 今週の予想レンジ
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ユーロ/円 今週の予想レンジ
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ポンド/円 今週の予想レンジ
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豪ドル/円 今週の予想レンジ
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●円相場の相場変動幅(ATR)の動向(データは2009年9月4日まで)
 ドル/円およびクロス円市場は「円の上昇時に変動幅が拡大し、円の下落時に変動幅が縮小する」という市場の構造を持っている。(特に変動幅縮小の過程では円安になりやすいというのが円相場の特徴である)ドル/円やクロス円通貨は、ATR(アベレージトゥルーレンジ)が下がる過程で円安、上がる過程で円高となるパターンが多い。黄色の期間は円の売り放置やキャリー取引はリスクが高くなる。

豪ドル/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯

ユーロ/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯
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ポンド/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯
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ドル/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯
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